2011年5月31日火曜日

中国の旱魃と三峡ダム

 久々に中国のホットな話です。毎日こうやって寸評だけでもいいから取り上げた方がいいのかもという気もしますが、長文が売りなんだしそこまで気にしなくてもいいと自分に言い聞かせてます。

消える川・干上がる湖…旱魃ますます深刻に=湖北・安徽・湖南(サーチナ)

 上記リンク先のサーチナの記事では現在中国では雨が全く降らないことによる旱魃が深刻化していることが報じられていますが、こっちの報道でも今一番主要な話題と言ったらこれです。具体的にどれくらいの規模かと言うと上海市に限って言えば今日の朝刊だと、降雨推量はここ138年(そんな昔の記録がどこにあるのか疑問だけど)で最も低く、なおかつ気温も先々週に最高で38度まで上昇するなど例年にない異常気象だと報じられております。実際に先々週は暑くて溶けそうで、雨も先週にちょこっとふっただけです。
 ただ上海市は他のところから水を引いてこれますし、またここより南部であればまだ状況はマシです。一番深刻なのはサーチなの記事にもある通りに湖北、安徽、湖南省といった中部地域以北の地域で、農村では農繁期にもかかわらず全く雨が降らないことから早くも食糧難を懸念する声が出ております。

 それでこの旱魃についての現地新聞報道ですが、原因は三峡ダムではないかと複数紙が連日取り上げています。

三峡ダム(Wikipedia)

 三峡ダムとは中国が誇る世界最大級のダムで、90年代に建設が決まるや文字通り国の威信をかけて作られ2009年に完成しました。しかしこの三峡ダム、建設前からそのあまりの巨大な規模から周辺環境に多大な負荷を与えるとの予測が中国内でも出ており、また建設に伴い移転する住民の桁違いの多さ(140万人)などから議論は紛糾し、1992年の全国人民代表大会での建設決議でも「出席者2633名中、賛成1767名、反対177名、棄権664名、無投票25名」という、全会一致で当たり前の中国の議会としては異例とも言えるほど反対者がでたほどいわくつきのダムでした。
 そんな過程を経て建設には至ったものの、中国に限らず日本でも大体そうですが完成までに当初予定していた予算は数倍にまで膨れ上がり、また建設途中であれこれ問題が出てきたことから水位も最大にまで高めることが出来なくなって予定発電量に達せず、なおかつダムが出来たにもかかわらず周辺地域では水害の被害が年々増加しており、「治水にも発電にも役に立たない」と現地報道でもかなり厳しく批判され続けております。

 というのもこの三峡ダムは表向きは膨大な電力需要を賄うためとして建設されましたが、実際には最初に計画したのが孫文であり、どちらかと言えば「あの孫文が抱いた遠大な計画を今ここに実現する」という国威発揚的な目的の方が強かったと言われます。実際にこの三峡ダムがどれほどの性能を持っているかは生憎専門家ではないのでわかりませんが、日本での報道やコメントを見る限りだと誉めている人は確かにいません。

 それでこの三峡ダムがどうして旱魃に関係するのかですが、三峡ダムに限らず巨大なダムはその建設によって周辺の気候を変えてしまいます。あのエジプトのアスワン・ハイ・ダムも建設の前後でその地域の気候が変化したそうですが、因果関係ははっきりと証明することは出来ないまでも現地報道では三峡ダムが出来たことで降雨量が激減したと指摘されております。
 またそれと合わせて三峡ダムで致命的だったのは、当初農業用水の確保も計画に入れられていたものの、その巨大さゆえか水をうまく利水することが出来ずにいることです。

 現実に本当に三峡ダムが原因かどうかは断定することは出来ませんが、あれほどの大きなダムであれば自然への影響も多く、多少は関係しているのではというのが私の考えです。ただ旱魃に関してはこれ以外にもたくさん原因は考えられ、なんでもかんでもダムのせいにするべきではないと思います。
 しかし中国国内でこれほどまで三峡ダムに批判的な声が上がっているとは日本にいた頃は全く知らず、今回の旱魃で拍車がかかっていることを一応紹介しておこうと思って筆を取った次第です。

経産省の一般家庭への節電促進策について

節電目標達成の家庭に景品 15%削減でLEDや映画鑑賞券(産経新聞)

 今日たまたま見つけたニュースですが、勘に触る内容なので取り上げます。
 上記リンク先のニュース内容を簡単に説明すると、電力不足が懸念される今年の猛暑期の対策として経産省はこのほど、前年比15%削減の節電を達成した一般家庭に対して景品を進呈する促進策を計画しているそうです。具体的にどこが癇に障るかというと、前年比で節電の指標を作るのであれば去年まで電気を浪費していたほど15%削減することは容易く、逆に去年以前から積極的に節電を実施していた人は達成が困難になるからです。勘のいい人ならわかるでしょうがこの構図は京都議定書におけるCO2削減目標と一緒で、主導するのが経産省なだけにいろいろと腹が立ちます。

 それであるのであれば二番煎じと言われようとも、冷蔵庫やエアコンといった消費電力の大きい白物家電に対して家電エコポイントなどと言わず、直接国が購入額を補助する政策を実施することの方が個人的にお勧めです。この二つの家電における技術の進歩は凄まじく、十年前と最新のとでは消費電力は数十%変わると聞きますし、また家庭で使用する電力の半分程度が冷蔵庫に使われることも考慮すると再実施する価値はあると思います。

 ちなみに私が日本で一人暮らししていた頃は冷房、暖房なんて使わないのでエアコンはコンセントごと外していました。実家ではうちのお袋が気を利かして私の部屋に窓付けのエアコンをつけてくれましたが、元々エアコンなんて使わないし窓が開閉できなくなったと愚痴を言ったことからかなり激しいケンカとなりました。その後私はその部屋から移り、現在は客室として使われているので結果オーライとはなりましたが。

国初、薬ネット通販立件=対面販売命令を無視―業者を書類送検・大阪府警(時事通信)
 もう一件気になったニュースとして、ネットでの医薬品販売で摘発があったというこの報道を取り上げます。
 内容については詳しく語りませんがこれだけネットが発達しているのだし、離村離島の状況を考えるととっとと薬事法を改正してネット販売を認めるべきだと思います。どうもこの辺はいろいろと権益が絡んでそうで、きな臭い話です。

2011年5月30日月曜日

山幸彦と日本人のアイデンティティ

 古代史シリーズ第三弾です。何も反響がありませんが気にせず書いてきます。ぶっちゃけ書きながら勉強することが多いです。

 さて山幸彦と海幸彦の話ときたら、名前くらいなら知っている方も多いと思います。実はこの二人は前回の天孫降臨のところで紹介したニニギノミコトの子供で、名目上は天皇家の先祖です。
 それでこの兄弟の物語ですが、ほかの世界の神話同様に兄弟同士で何やかんやとやりあう話です。旧約聖書で言えばアベルとカインの話に似ており、兄より優れた弟はいないと北斗の拳でジャギは言ってましたが神話では割かし弟のほうが優秀性を披露することが多いです。

 この二人はその名前同様にそれぞれ山と海とで獲物を狩って暮らしていましたが、ある日お互いの得物を交換しようじゃないかといって弓矢と釣り針を交換してそれぞれ出かけましたが、海に出かけた山幸彦ことホオリノミコトは兄から受け取った釣り針をなくしてしまいます。山幸彦は兄に素直に詫びて自分の剣を鋳潰して千個もの釣り針を代わりに差し出しましたが、兄の海幸彦ことホデリノミコトは「元の釣り針じゃなきゃ駄目だ(#゚Д゚) プンスコ!」と言って機嫌を直すことはありませんでした。嫌な兄ちゃんだ。
 困った山幸彦が海で途方にくれていると海から潮の神様が現れ、海神の宮殿に行けば何とかなるよと教えてくれます。その助言に従って山幸彦は海神の宮殿に赴くとそこで出会った海神の娘の豊玉毘売命と互いに一目ぼれし、海神の許可を得て結婚すると兄の釣り針のことなんか忘れて三年間楽しく暮らしていました。こっちはこっちで調子のいい弟だ。

 しかし海で暮らして三年後、何故だか突然釣り針のことを思い出した山幸彦は海神にわけを話して釣り針をのどに引っ掛けていた鯛から回収すると陸地に戻ろうとしました。山幸彦が戻る間際、何を思ったのか海神は兄の海幸彦への呪いを伝授し、山幸彦も何故だか言われた通りに釣り針を返す際に兄を呪い、そのせいで兄ちゃんの海幸彦はやることなすこと全部が空回りするようになってしまいました。怒った海幸彦(当然だ)は弟の山幸彦に襲い掛かろうとしましたがあらかじめ海神が山幸彦に持たせていた宝玉で見事に返り討ちに遭い、それからは完全に弟の家来のような身分になってしまいます。

 そうやって兄弟の争いに一件落着(?)した頃、海から豊玉毘売命が山幸彦の子供が出来たと陸に上がってきます。正直なところ山幸彦の子供かどうか怪しいものですが山幸彦はそんなの気にせずに出産の準備として小屋を建てたところ、豊玉毘売命は出産時は決して覗かないようにと言って出産に入ったのですが、覗くなと言われて覗かなかったら神話にならないだけあって山幸彦は言いつけを破って覗いてしまいます。ひい婆ちゃんの天照大神も覗き癖あったしなぁ。
 すると小屋の中ではさっきまでの豊玉毘売命の姿はなく、因幡の白兎以来の再登場となるワニがのたうっていて山幸彦は腰を抜かします。言うまでもありませんがそのワニこそ豊玉毘売命の真の姿で、見られた恥ずかしさから豊玉毘売命は生んだ子供を置いて海に出帰りしてしまいました。その時残された子供はウガヤフキアエズノミコト(鵜草葺不合命・盧茲草葺不合尊)といって、初代天皇である神武天皇の父となります。

 ざっとこんなところが山幸彦と海幸彦の話ですが、読んでてわかると思いますが恐らくこの話をベースに御伽噺の「浦島太郎」と「鶴の恩返し」が生まれたと言われております。成立年代からしてもそう考えるのが普通ですが、何故古事記の話を作った人はこうもワニが好きなんだろうというところがちょっと気になるところです。
 それでこの神話の意義ですが、婉曲に天皇家は山側の民ということが強く訴えられているように思えます。もちろん途中で海神の娘と結婚こそするものの、山側の民が海側の民を圧倒するということが全体を通して語られているように思われ、日本の山岳信仰などとも比較すると面白いかもしれません。

 ただここで話を現代人に戻すと、少なくとも今の世代の日本人は山国の人には悪いですが私は明らかに海洋民族的性質が強いと考えております。食生活では魚介類が当たり前のように存在しており、日本人のアイデンティティも地域にも寄りますが富士山以上に海への意識の方が強いと思います。
 特にそれをはっきりと認識するのはサッカーの国際試合で、全日本のユニフォームはヒロシゲブルーこと鮮やかな藍色がトレードカラーとして使用されており、日本の色はと聞かれるならやはりこういった海の色を私は連想します。

  おまけ
 うちのお袋に聞くと女性の出産シーンは何もワニに変身しなくとも相当すごい光景らしく、見る人によっては大きなショックを受けるそうです。何でも私の出産時にお袋が病院に入院した際、近くの病室で顔を合わせていた方が分娩に入ったそうなのですが、
「殺せー、早く殺せー!!。゚(゚´Д`゚)゚。」
 という戦争映画も真っ青なダミ声の恐ろしい叫び声が病院中に響いたらしく、後日その方と顔を合わせ辛くなったと話してました。

2011年5月29日日曜日

福島原発の海水注入中断報道について

首相の意向で海水注入中断…震災翌日に55分間(読売新聞)

 ほぼ先週いっぱい、上記20日のニュースが発端となった一連の報道が政界を大きく騒がせていたかと思います。このニュースは私が確認する限りでは読売が最初に報じたように思えますが、なんかいろいろネットを見ているとTBSが最初にやったともいう話もあるようで、さすがに細かい確認まで出来ないのでひとまず読売が活字メディアで第一報を告げたという前提で話を進めさせていただきます。

 ニュース内容を簡単に説明すると東日本大震災翌日の3月12日、事故を起こした福島原発への海水注入作業中に管首相が再臨界の可能性を懸念したことから55分間、注入が中断されたと報じられました。このニュースが発端となって本来適切な作業であった海水注入を中断して事態を余計に悪化させたとして自民党を始めとした野党は政府の糾弾を始めたのですが、率直に言って私はこのニュースを見た時に「火中の栗」と考え、多分自民は余計に騒いで罰が悪くなるのではと考えました。

 私がこのニュースを見て最初に疑ったのは、本当に海水注入中断があったのかということです。そりゃ確かにあの状況で中断していれば大きく叩かれることは目に見えているために中断してれば政府や東電は隠そうとするでしょうが、仮に隠そうとしても実際に隠し切れるかという点で疑問を感じました。仮に中断されていればそれこそ実際に注入作業をした人たちはそれを目にするわけですから下手すりゃ当日、遅くとも数日間内にこの中断の事実は報じられているはずで、どうして二ヶ月以上もたった今になってこの事実が突然出てきたのかという点で怪しいと感じました
 その上で真偽を強く疑わせたもう一点は、管首相が再臨界を懸念して中断を指示したという点です。こういっては何ですが私には管首相が状況に応じて即断できるほど決断力があるようには思えず、すでに実施されている作業を途中で止めるなんてことはまずしない、というかできないだろうと思いました。仮にそうだとしても東電側からの強烈なミスリードを受けてでしか考えられませんし、そもそも当時は政府側が早期の海水注入を東電に要請したところ東電側が渋っていたという報道を以前に聞いているだけにつじつまが合わないように思いました。

 その上でこの記事の信憑性を強く疑ったのか、どうも全体的に根拠がかけている点です。先ほど書いたように本当に中断がされていたのであれば現場の作業員らからの証言があると思うのに記事中にはこれが全く触れられておらず、また情報ソースも「政府関係者から」とだけしか書かれておらず、どうも出処が怪しいように感じました。注入中断だけの事実だけであれば「政府関係者」でもわかるでしょうがそれが管首相の意向によるものかどうかとなるとそれこそ大臣クラスや東電の幹部でなければわからないように思え、そのような人間がわざわざ自分たちに不利となるような情報を明かすとは思えません。

 極め付けが、この記事を書いたのが読売新聞だからです。読売新聞は自民党寄りのスタンスを取っていることは明々白々で、なおかつ原発についても推進派の立場から震災以後も社説などで管理を強くした上で増設するべきという主張を産経とともに繰り返しております。
 その読売が原発行政において不利となるようなこのようなニュースをどうして流すのかと考えると、やはり主目的は民主党の管政権を叩くためにあることは間違いありません。逆を言えば管政権を叩くためになりふり構わない報道をしてくると言われていただけに、この記事を見た時にはこれもその一種かと私は思ったわけです。現実にこれまで妙な批判の仕方をしていましたし。

 そんなわけで、ただでさえネタに困っていただけに普通であればこのようなニュースはこのブログで取り上げるのですが、この記事については信憑性が怪しいことから敢えて静観する立場をとりました。すると予想通りというかこの記事が出た翌日には管首相に再臨界の懸念を主張したとされる原子力安全委員会の斑目委員長が「そのような意味で言ったのではないし、中断を進言したつもりはない」と反応したのを皮切りに、管首相周辺もそのような指示はしていないと言った、言わないで事実関係が紛糾しました。その後も当時の状況についても報道が二転三転するようになり、細かく書いても仕方ありませんが大まかな流れで書くと、

1、政府の了承の元で海水注入が始まったのを政府が途中で止めた
2、実は東電側が政府に何も伝えないまま海水注入を始めており、管首相が懸念したのを見て東電側が中断させた
3、実は中断の指示が来てたけど、現場の吉田所長の判断で続けられていた

 という具合で、結局のところ最初の発端となった海水注入中断という事実自体がなかったというのが真相でした。自分は最初からこの一連の報道は怪しいとは思ってはいたもののここまでどんでん返しが起こるとまでは予想せず、自民党の大島幹事長なんか、「止めたのは菅直人首相だ。その結果、こんな大きな災害になったならば辞任するのが当然だ」とまで言い切っちゃってて、なんていうかもう少し事実関係確かめようとはしなかったのかと思います。読売だけに。
 結果的にこの報道のおかげで政界は約一週間にもわたって無用な議論を繰り返したことになります。ただ一つ、本当に海水注入中断があったかどうかを確認しさえすればよかったと考えると、実に余計な騒動を引き起こしてくれたものだなと感じます。

 最後にこの記事について、自分がデスクなら絶対にこんな根拠のはっきりしない記事は載せません。ただでさえ近頃の読売は原発や大連立関係になると妙な記事やはっきりしない報道を繰り返しており、管政権をよく批判していますが読売の方こそ私は近頃ガバナンス能力が欠けているのではないかと疑っています。私は何も読売が嫌いと言うわけじゃありませんしそのスタンスは悪くはないと思いますが、最近の記事はちょっと目に余るものが多いのでこうしてわざわざ記事にまとめました。
 蛇足ですが、多分来週以降は読売はこの件についてわざと触れないようにするのではないでしょうか。

飛ばないボールと今年のプロ野球

 現在中国にいるせいでなかなか一試合ごとの内容を楽しむことが出来ませんが、日本のプロ野球の話です。
 現在セパ交流戦が開催されていますが例年の如くパリーグのチームがセリーグチームに圧勝している構図は変わらないまでも、どうもニュースを見ていると去年と今年で各チームの試合内容が大きく変化しているように思えます。具体的に何が変化しているのかと言うと投手と打者の成績で、投手防御率はトップは1点台がずらりと並ぶほど好調な一方で打者は打率が3割に達する選手はほとんどおらず、それどころか往年の名打者たちが不振に苦しむことが多くなっております。代表的な選手を挙げると巨人の小笠原選手、阪神の城島選手などで、まだ開幕してそれほど時間が経っていないもののホームランを量産する長距離打者ほど目に見えて成績が下降しているように思えます。

 一体何故このようなことになっているのか、結論を言えば私はやはり今年から導入された統一球こと「飛ばないボール」が影響しているように思えます。日本のプロ野球界ではこれまで各球団ごとに反発係数の異なるボールをそれぞれ勝手に使っていたのですが。WBCなど国際対抗戦が増えてきたことを受けて米国でも使用されているボールの仕様に今年から統一することになりました。
 その結果これまでより打っても飛ばないボールになり、長距離打者の多い巨人を筆頭に開幕したらどうなることやらとささやかれていましたが、案の定というか開幕前に有力視されていたチームほど苦しみ、逆に注目されてなかったヤクルトが現在セリーグで首位となるなど見事な番狂わせが起こっております。

飛ばないボール「低反発球」でプロ野球はどう変わる?(週プレニュース)

 リンクに貼ったニュースは3月22日のニュース記事ですが、このニュースの中で野球解説者の大塚光二氏のコメントとして以下のような内容が引用されております。

「セなら中日、パなら日本ハムが最も有利でしょうね。言うまでもなく、ともに打線のつながりで勝つスタイルが定着したチーム。また、昨年リーグ最多の148盗塁を記録したソフトバンクも力を発揮するでしょう」

 またこのコメントを受けこの記事を書いた記者も、

「また、本塁打が減るということは、「投手有利」ということ。岩隈、田中将の両エースを抱える楽天や、前田健太を有する広島が浮上する一方で、巨人や西武のような大砲揃いのチームが苦戦するかもしれない。その結果、僅差の試合も増え、最終回まで緊張感が持続するだろう。」

 開幕前ながら見事なまでの予想というべきか、両者が言うように打線のつながりを重視する小技が強いチームが確かに現在上位についております。ヤクルトなんか典型的ですし、日ハムやソフトバンクなんか交流戦入ってからも調子がいいままです。逆に巨人、西武、阪神などと去年まで強打で鳴らしたチームは前評判と比べて低い順位に喘いでいます。楽天については岩隈選手、田中選手という球界屈指のエースピッチャー二人がいるのに弱いのは監督のせいのように思えますが。

 さらに今日ちょっと個人成績をいくつか見てましたが、やはりホームランバッターが低い打率に苦しんでいる傾向が強いです。意外と言っては可哀想ですが選手層の割には健闘している広島カープも去年の主軸を担った梵選手の打率は未だ二割台前半で、好調を保っているホームランバッターと言ったら巨人のラミレス選手くらいしかいないように思えます。逆に元から安打の多かったヤクルトの青木選手は好調を維持しており、さすがと言うところです。
 またこのほかにも、どうも成績が急落する選手はパリーグよりセリーグの方が多いような気がします。パリーグは去年も打っていた選手は今年もよく打ってますし、比較的ボールへの対応を見せております。

 その中でも一際目を引くのは今年横浜ベイスターズからソフトバンクホークスに移籍してきた内川選手です。目下打率はパリーグ一の三割後半という恐ろしい成績もさることながら、通常セリーグからパリーグへ移った打者は成績が下降しやすいのに(その逆は上がりやすい)、並みいるエースピッチャーを相手に変わらぬアベレージヒッターぶりを見せています。
 前回WBC決勝戦ではイチロー選手の勝ち越し安打がよく取り上げられることが多いですが、私個人的にあの試合の最大の見せ場はレフトに飛んできたボールを内川選手が見事なグラブ捌きでワンバウンドキャッチして返球するシーンで、あの日から内川選手のファンとなりましたが自分が贔屓するソフトバンクで活躍していてうれしい限りです。折角だから統一球になっても比較的成績を保っている村田選手も来年来てくれればいいのに(´∀`*)ウフフ

2011年5月28日土曜日

産業ガス販売カルテルと高圧ガス業界

産業ガス販売でカルテル認定 4社に課徴金141億円(朝日新聞)

 このニュース自体は一昨日に出ていて本当なら昨日のうちに片付けてしまいたかったのですが、昨日は私の部屋で突然ネットが仕えなくなってしまってそれも叶いませんでした。部屋の管理業者の人に見てもらって今朝修復したけど、何が理由だったんだろうか。

 それでニュースの内容ですが、リンク先を見てもらえばわかるとおりに産業ガスメーカー4社が2007年頃から直接会合を以って価格を調整するカルテルを結んでたことがばれて、公正取引委員会に総額約141億円の課徴金を課されたそうです。この産業ガスメーカーのカルテル自体は実は2009年の段階で取り沙汰されており、当時はリーマンショック後の大引けによる価格下落を防ぐためあちこちの業界で結ばれたのか、景気が悪いのでカルテルを取り締まっても経済に大きく影響しないと当局が判断したのかはわかりませんが世界各国でこのような取締りが相次ぎました。
 もともとこのようなカルテル系のニュースは大メディアはスポンサーの関係からあまり取り上げようとしない傾向があるので、以前の陽月秘話では縛りがないのだからと積極的に取り上げていて今でもどのようなカルテルがあったのか多少なら覚えています。ただそうして取り上げた中に、実はこの産業ガスカルテルについては私は知ってて敢えて取り上げませんでした。

 理由を話すとなかなか情けない限りなのですが、実は当時日本で私が在籍していた会社というのはここで取り上げられているガスメーカー四社からガスを購入して卸すガスディーラーだったからです。人物が特定されるはずはないだろうし会社にばれてもだからなんだという風には考えていましたが、万一私の行動で当時在籍していた会社が影響を受けることとなってはよくないと考え、大人の事情でこのカルテルについては手を触れませんでした。
 内心ではカルテルを結んでいたガスメーカーに対して自分らディーラーに高い値段をふっかけやがってという腹立たしい気持ちがあり取り上げたいのも山々でしたが、その勤めていた会社には本当にお世話になっており、軽はずみな行動で迷惑をかけるようなことはしてはならないと自重する気持ちが勝りました。

 すでに何度も書いている通りにお世話になったといいながらも私は去年にその在籍していた会社を辞めて中国へ転職にきましたが、今でもその会社への感謝の気持ちは一日たりとも忘れてはいません。実際に辞めるかどうか当時非常に悩みましたが、こうして海外へ転職できるのも若いうちだけだという年齢の壁と、恩を返すことは未来にも出来ると踏ん切りをつけたのが決め手となりました。
 奇しくも私が退職した日は新入社員の頃から、下手すれば面接の時から明らかに私を取り立ててくれた役員の方の退社日と重なりました。私が退職の意思を伝えた際にはその役員の方にもわざわざ引き止めてもらい、今でもその時のことを思うとあの時の決断は正しかったのかと悩むのと同時に非常に心が痛みます。

 人間、心ならずも折角知り合った人間と別れなければならない場面が人生には数多くあると思います。その別れる理由も引越しなどの物理的な理由による別れから、喧嘩や考えの相違などといった不和による別れもあるでしょう。ただどの別れにも別れ方というような最低限の礼儀という作法が存在するように思え、過去の事例を引用すれば諸葛亮が尊敬していた楽毅の例でもあるように、別れる際には余計な怨恨などを互いに残さぬようにして別れる必要があると思います。自分はお世話になったその会社へはそのように別れられたのか、未だ納得する結論は出ません。

2011年5月26日木曜日

今日のニュースについて

 最近社会関係の記事を書こうとしても全くニュースがなくて困っていましたが、今日は気になるニュースが二つもあったので早速取り上げたいと思います。

新潮社に賠償命令 部数水増し訴訟「真実相当性なし」(産経新聞)

 以前の陽月秘話でも取り上げていた新聞社の押紙の問題です。押紙というのは新聞社が新聞を印刷、販売する新聞店に対して実際の講読者数より余計に増刷させて無理矢理買い取らせる慣習のことですが、これのどこが悪いのかと言うとまず新聞店は新聞社に対して売れるはずのない新聞を無理矢理刷らされただけ余計な費用を払わなければなりません。断ればもう印刷させてもらえないし。
 これだけでも新聞点側としては小銭が入ってきますが、それ以上に大きいのは広告費の問題です。というのも広告費というのは「どれだけの人間に対して見られているか」というのが価格を決めるため、新聞や雑誌では購読者数や発行部数が大きな指標となります。そのため部数が多ければ多いほど新聞社は広告費を多く取れるため、売られることはなく刷られた後にすぐ捨てられる押紙でも環境を気にせず無駄に刷って部数を大きく見せようとするわけです。

 それで今日のこのニュースですが、なんでも週刊新潮でこの押紙を取り上げて、「読売新聞の公称部数約1千万部のうち、30~40%が実際は販売店から読者に販売されず処理されていると指摘」したところ、逆に読売に訴えられて賠償金の支払い命令が新潮社に出されたそうです。実際の週刊新潮の記事を見ていないのではっきりとは言い切れず、新潮は以前にも偽の赤報隊事件犯人を仕立てたこともあるので会社としてあまり信用しておりませんが、きちんと証拠を押さえられなかったんだろうなと私は思いました。
 押紙についてははっきり断言しても言いますが確実に存在します。新潮はその量は全発行部数の30~40%と言っているようですが私の感覚でもそのくらいです。というのも昔は本気で50%近くが押紙だったそうでしたが、世間の目が厳しくなったのと新聞店側から猛抗議を受けるなどして徐々に減っていたと聞いており、現状であちこちから話を聞くとやはりこの30~40%という数値を上げる人が多いからです。

 何を根拠にそんなことを言い切れるんだと思われるかもしれませんが、これについては私は一切譲るつもりはありません。というのもうちのお袋が実際に新聞店で働いててこの押紙の問題を始めとして新聞拡張員、販売促進費といったブラック企業も真っ青な新聞社の実態について直接見聞きしているからです。多分この辺だったら下手な新聞社員より詳しいと思います。

 そういうわけで今回新潮社に言いたいことは、去年朝日新聞が検察の証拠捏造事件を暴いたようにぐぅの音も出せないような証拠を頑張って揃えて記事にしてほしいということです。むしろ新潮にとどまらず、文春から現代まで雑誌メディアはスクラム組んでこの問題をしっかりと追及したほうがいいでしょう。新聞店取材すりゃすぐ出てきそうなんだし。

「虚偽証言強要」選挙違反事件で有権者 埼玉県警は反論(朝日新聞)

 このニュースを見た時の私の最初の感想は、「第二の志布志事件だ」ということでした。

 志布志事件を説明するより今回のこの埼玉の事件を説明したほうが早いのでこっちのニュースを先に解説しますが、今年行われた埼玉県深谷市議選にて有権者を飲食にて接待したとして市議二人が公職選挙法違反で埼玉県警に逮捕されたところ、この市議二人から無料にて接待を受けたとした有権者らが「飲食費は払った」と証言して反論していると報じられています。確かに選挙期間中に候補が無料にて飲食を振舞えば公職選挙法違反になりますが、今回反論している有権者が言うようにまともな額の会費をきちんと支払っていれば何も問題ありません。
 今回私が問題視しているのは事の真偽以上に警察の捜査の仕方です。志布志事件という悪例がありなおかつ去年には検察が厚生労働省の村木さんの事件で証拠を偽造するという前代未聞の不祥事を起こしていながらも、またも自白を強要する、自白を唯一の証拠として頼る捜査をしていることです。現時点でここまで書くのは急ぎ過ぎな気もしますが、警察のこのような無茶な捜査ぶりと、別の報道では当日の会費支払いを家計簿に記入している有権者もいると報じられていることから、この事件は冤罪の線が高いと見ております。鹿児島で起きた志布志事件と全く構図が似ているのもありますし。

 最後に、現在ある大きなニュースが連日連夜報じられておりますが敢えて私は無視して取り上げていません。理由は発端となった記事からして背景に曖昧さを強く感じさせられる内容で、思った通りにその後の報道が二転三転していて結論や構図がはっきりしてから取り上げたほうがいいだろうと考えたからです。
 なおその発端となる記事を書いたのは読売ですが、このところの読売の記事はそれに限らず怪しいものばかりです。元々怪しい産経はおいといてこの読売の迷走ぶりは目に余り、今騒がせているニュースが落ち着いたらまとめて書き上げます。

 逆に、今私の中で急激に株を上げているのは朝日新聞です。今日取り上げた志布志事件も朝日が大きく取り上げたことで日の目を浴びた事件であり、系列テレビ局の朝日放送はニュース内容が一番まとまってて日本にいた頃は指定チャンネルにしていました。その上、なんといっても凄まじかったのはちょっと太鼓叩き過ぎな気もしますが、これも今日取り上げた去年の検察の証拠偽造事件で、多分裁判を追ってれば誰でも気がついた可能性のある糸口を丹念に調査して一撃で検察を降伏させたのは壮絶そのものでした。高校時代までは一番嫌いな新聞で、悪口言い過ぎて今度名古屋に栄転する親父にまで「もう許したってや」とまで言われたのに人間変わるものだ。

2011年5月25日水曜日

ゲームレビュー「428」

 最近語尾に「あの地球人のように……」をつけると何でも面白くなることに気がつき、スカイプで話す際に多用するようになりました。元ネタはドラゴンボールですが、同年代の友人はちゃんとわかってくれました。

 先日親父が上海に遊びに来た際に、PSPソフトの「428」(チュンソフト)を持ってきてもらいました。このゲームは一部では伝説扱いされている「街」というゲームと同じシステムを持っていることから発売前には話題になり、私の友人も早々に手に入れて遊んでおりました。「428」と「街」はサウンドノベルというジャンルに属するアドベンチャーゲームで、どちらも現代の渋谷を舞台に複数の人間の話を同時並行で進めていくシステムこそ共通しているものの、ストーリー本体には関連はありません。

 まず先に「街」について話すと、このゲームについては当時子供だった私も大いにハマって、プレイ当時はリアルに姉と奪い合いになりました。ある日なんかたまたま帰りの電車で鉢合わせちゃって、自転車を漕ぐ速度の差で私が先行を握った程でした。
 具体的にこの「街」のどこがよかったのかと言うと、実際にプレイしてみないとわかり辛いのですがアドベンチャーゲームとしては現時点で最高峰とも言える革新的なシステムに加えて盛り込まれたストーリーも趣深く、なおかつゲーム内の登場キャラクターを演じた俳優らがどれもキャラが立っていたことなどが挙げられます。この「街」に出演した俳優らはその後有名になった人間もいくつか出ており、あの窪塚洋介氏もヨースケという古い芸名で脇役ではありますが出演してます。

 それで本日の本題の「428」についてですが、現時点ではメインシナリオを終えた段階でサブシナリオはまだ未プレイですが、結論から言うと確かに見事な出来ではあるもののとうとう「街」は超えられなかったというのが私の感想です。「街」の発売年は1998年で、「428」はちょうど十年後の2008年であることからゲームにおける表現技術などは格段に改善されたことを推しても、先にやってた友人が「期待すんなよ」と言ってた通りの結果となりました。

 具体的に不満というか気になった点を挙げると、プレイしていて「余計だなぁ」と思う演出がちらほら見られたことがまず挙げられます。なんていうか、しつこいというかやらなくてもいいだろと突っ込みたくなるような画面効果などが多く、年寄りくさいですがアドベンチャーゲームなんだからもっとシンプルに作って欲しかったです。
 次に、個人的にこれが一番でかいのですがキャラクターに全く感情移入が出来ませんでした。「街」では八人の主人公がそれぞれ癖があってどれもこれもゲームをしていて応援したくなるようなキャラクターたちばかりだったのに対し、今度の「428」では一応キャラ付けはされてはいるものの、刑事の加納というキャラクターを除いて最後までどれも好きにはなれませんでした。御法川というキャラに至っては最初から最後まで嫌いだったし、脇役も見ていてイライラするのばかりだったし。

 とはいえ、メインシナリオとそれを形作る選択肢の内容は秀逸そのものでさすがはチュンソフトと思わせられました。まぁ「街」を越えろといってもあまりの完成度の高さからそうそうできるものじゃないんだし、高望みしてもしょうがないとは思いつつも、やや残念さが残るゲームでした。
 さて、今度は「テイルズオブエターニア」に取り掛からないと……。

2011年5月24日火曜日

大国主と天孫降臨について

 前回の歴史記事で因幡の白兎を取り上げましたが、今日はその話に出てくる大国主について解説します。

大国主(Wikipedia)

 大国主は出雲神話における主人公ともいえる人物で、出雲大社にて祭られています。大国主がどんな人物かと言うとちょっと一言では言い表し辛く、この辺が神話のいい加減なところなのですが複数の人物を無理やり一人の人物に仕立て上げられているところがあり、古事記と日本書紀ではその立ち位置や経歴が異なってしまいます。
 特にはっきりしなくてちょっと私もイライラする点としては、大国主はヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトとの関係です。ある史料ではスサノオの子孫とされていますが別の史料ではスサノオの娘婿と書かれており、どちらかと言えば後者のほうが一般的なエピソードとしては幅を利かせております。

 さてそんなスサノオ関係者の大国主ですが、彼の大まかな経歴を話すとありがちな話ですが若い頃には苦労したけどその甲斐あって日本(出雲)の国王となります。ただ国王となったのもつかの間、天界とされる高天原にいる天照大神が孫のニニギに地上を治めるように命令し、その露払いとばかりに高天原からはタケミカヅチなどといった神々が大国主の下に送られ、国の統治権を譲るように大国主を脅します。大国主はこの時に素直に国を譲りましたがその息子のタケミナカタは延々と反抗したそうで、あんまりにも粘るもんだから最後は長野県で降伏したとされます。こうして地上が平定されたのを受けてニニギは地上に降りてきて統治を開始し、その子孫が後々に天皇家となるのが古事記の大まかな流れです。

 結論をとっとと言ってしまうと、天界こと高天原というのは現在の朝鮮半島でほぼ間違いないと思われます。この大国主の国譲り、そして天孫降臨の過程というのはあまり表立っては言えませんが、元々日本を治めていた豪族に対して朝鮮半島から来た豪族が侵略し、征服した過程を指しているのだろうと考えられています。この話でミソなのは大国主はスサノオの親類縁者という前提が作られていることで、降りて来るニニギの遠い親戚であるために一方的な征服じゃないとフォローを入れている点です。
 ただこうしたフォローが入れられている点に加えその他の好意的なエピソードから考えるに、大国主は比較的従順に降伏したのではないかと私は思います。最後まで抵抗してたりすると土蜘蛛とか鬼などといった悪者に描かれて退治されてしまうのが神話の常で、それに比べると大国主の扱いは破格と言ってもいいでしょう。

 この朝鮮半島からの侵略については私はほぼ間違いないと私は考えていますが、その侵略ルートとなるとまだ議論の余地があります。資料に書かれた地名通りならば朝鮮から北九州、そして山陰へという侵略ルートですが、遺跡などから考えると山陰などより北九州の方が当時は文明も発達しており国のような集団が存在してそうな気がします。となると資料に書かれている大国主が治めていた国は現在の島根県ではなく北九州のどこかだったのかということになるのですが、となると後の大和朝廷を始めとした政権は何故近畿に本拠地を構えていたのかということになります。
 進入口は北九州で間違いはなさそうですが、そのまま山陰へ進撃したのかそれとも最初は九州にとどまったのか、これがどっちかというのはかなりミステリーです。というのも中国の後漢時代には北九州の奴国から使者が来たとはっきりと歴史書にも書かれており、その時に授与された金印は実際に江戸時代に出土(見つけたのは権兵衛)して現在までも伝わっています。この奴国は征服王朝なのか、それとも征服される前の王朝なのかも考えねばなりません。多分私は後者だと思うけど。

2011年5月23日月曜日

グッドウィルを振り返る

グッドウィル(Wikipedia)

 当時にも取り上げていますが、ちょっと思うことがあるのでまた取り上げます。
 グッドウィルというのはかつて存在した企業グループで、介護人材サービスのさきがけとなったコムスンを含む人材派遣業を中核事業として一時期急成長し、2008年に破産した会社です。今ではすっかり当たり前となった日雇い人材派遣ですが、小渕政権時の規制緩和を受けて2000年ごろから同業のフルキャストともに急拡大し、会長の折口氏は一時は政財界にも顔を出すなど大きな影響力を持つようになりました。

 しかし平家も久しからずと言うべきか、2007年に「データ装備費」という、一回の派遣労働につき労働者から200円のマージンを取っていたことが突然槍玉に挙げられ、その後も次々と同社の事業を糾弾する訴訟や摘発が相次いで最初の「データ装備費」の問題が表面化してからたった一年後の2008年には廃業に追い込まれることとなりました。以下に当時問題とされたグッドウィルが行っていた事業内容を列記します。

・「データ装備費」という中間マージンの搾取(二重取り)
・労災隠し
・二重派遣
・製造現場(工場)への派遣

 細かいのを洗えばほかにもありますが、代表的なものは以上四つです。ただこれははっきりいいますが、確かにこれらの違法行為はそれ以前から法律で規制されてはいたものの、グッドウィルに限らずどこの派遣会社でもさも当然のようにやられていたことで、これらが違法であるならば日雇い派遣業はすべてが違法だったというくらいに一般化していたものでした。現実に私の周りでも普通に工場へ派遣されて作業をしてた友人もいますし、「データ装備費」についてはフルキャストも同時期に摘発を受けています。
 私自身はグッドウィルが摘発される以前からNHKが作って見事に普及させたワーキングプア問題を調べていた関係でこれら日雇い人材派遣会社を比較的激しく批判していた立場でしたが、2007年の突然のルール変更によるグッドウィル叩きに対しては悪いことだとは思わなかったものの、運が悪かったなと気の毒には思いました。

 私が何故この話を三年も経った現在に掘り返したかと言うと、当時はまだ景気がよかったことからああいったワーキングプア問題も取りざたされたものの、現在に至っては派遣でも仕事があるだけマシと言うべきか、人材派遣会社への批判がほとんど聞こえなくなったことからでした。もちろんこれらの違法行為が完全に根絶されたから批判が起きないというのであればそれに越したことはないのですが、どうも人から話を聞いていると当時はあれだけ叩かれたのに工場への日雇い派遣はまだ続いているそうですし、誰もケチをつけなくなりましたが二重派遣もまた堂々とまかり通っているからです。

 久々にこの言い回しをしますが、勘のいい人ならもう察しがついているでしょうが私が今回この記事を書こうと思ったもうひとつのきっかけは東電の原発作業員です。東電の原発作業員は福島原発の事故が深刻化している現在はもとより以前からも危険な作業ゆえになり手が見つからないため、非常に複雑な経路と幾重ものの仲介業者を経由してホームレスなどといった人を半ばだますような形でつれてきていたと言われております。実際に先日、関西での募集を受けたある男性が当初受けていた説明とは異なり福島原発につれていかれて作業をさせされたというニュースが報じられましたが、これについて男性を雇った仲介業者は「複数からの募集を裁いていて派遣先の割り振りを間違えてしまった」などというコメントをしていましたが、はっきりとは言ってはいないもののこれは普通に二重派遣で問題ないのかとと頭を抱えました。

 さらにこれの何が一番怖いのかって言うのは、かつてグッドウィルが摘発された際に散々批判していたメディア達がこの原発作業員らの二重派遣についてはなにも違法性を言及していないことです。もちろん今はそんなこと言ってられる場合じゃないってことはわかりますが、かねてからも指摘されていたように原発での作業は東電本社は一切手につけず、協力会社と呼ばれる企業がさらに人材派遣を雇って実施していたのは周知の事実で、私にはそれが本社と現場の情報疎通の齟齬や本社の危機管理に影響しているのではないかと思うがゆえに放っておくべきではないと考えています。それが何故か、不気味なくらいに大メディアは二重派遣問題については揃い合わせたかのように指摘がありません。

 私は何も一部で言われているようにこれだけの問題を起こしたのだから東電社員自らが直接原発に行って作業しろとまでは言いません。ただ非常に重要な作業をやるのだから、下手な派遣業者や協力会社を通すのではなく東電が直接ハローワークなりで募集してマージンを抜かさず作業員に給金を渡すべきなのではないか、というのが本日言いたかったことです。

2011年5月21日土曜日

2011年5月、私の現在の立ち位置

 時期も時期なのでそろそろ白状しますが、実はこのブログを通して私は一つ嘘をついてきました。

 このブログは中国への転職に伴い、以前から続けてきた「陽月秘話」を引き継ぐ形で去年の十二月から開始しましたが、その際に私は勤務地を「上海近郊」と敢えてぼかして書いてきましたが、実際には上海市ではなく浙江省のどこかで働いていました。一体何故このような嘘をついたかというと、その浙江省のどこかも在住日本人が少ないわけではありませんが上海と比べるとやはり数で劣り、警戒するまでもありませんでしたが人物を特定されないためにこのような嘘をつくことにしました。
 その上で私は今年三月頃の記事で引越しをしたと書きましたが、その引越し先こと現在の居住地は紛れもなく上海市内です。ただ一体何故浙江省から上海に引越しをしたのかというと、こちらで再度の転職をしたことが原因でした。

 私は去年の九月に一念発起してお世話になった日本での会社を辞めて転職活動で上海を訪れ、ある日系メーカーから内定をもらいました。そして去年十二月から勤務を開始しましたが、ビザ取得書類が送られてくるや一日でも早く急いで来いとやけに急かされて来てみるや仕事をするのに必要なパソコンを会社側が購入しておらず、入社から一週間はその会社で何もせずに過ごしました。
 この時点でなんか変だと思ってはいましたが、図らずもその予感は当たりました。その会社ではほぼ二週間に一回程度の割合で拒否権なしの強制参加による飲み会があり、面接の段階でアルコールにはあまり強くないと伝えていたにもかかわらず度々、というよりほぼ全部一気飲みを強制され続けました。各飲み会での具体的な回数を書くと、

・ビールコップ二杯、焼酎水割りコップ二杯、ウィスキー水割りコップ一杯
・ビールコップ二杯、ワインコップ三杯、紹興酒コップ三杯
・ビールコップ四杯、紹興酒コップ二杯
・ビールコップ二杯、ワイングラス四杯、紹興酒コップ一杯
※上記すべて一気飲み

 もちろん強制でつれてかれた飲み会は上記四回どころじゃないですが、飲んだ回数を細かく覚えているのはこんなもんです。さすがにビールの一気飲みならともかく、ワインや焼酎といったアルコール度数の高い飲み物の一気飲みを強制された際には耳を疑いました。ワインなんて、こんなもったいない飲み方したら作り手に悪いし。
 すでに書いている通り私は広島に左遷されていて今度は名古屋に栄転することとなったうちの親父同様に生来アルコールには弱く、汚い話ですが飲み会の度に何度も吐かされていました。その回数は一回の飲み会で二桁に上ることもあり、吐き続けると最後は胃酸しか出なくなるというのを身を以って知りました。

 こうした飲み会は予告なくウィークデーだろうと無理やり連れて行かれ、ある時などは泊り込みということを私のみ知らされておらず、ほかの全員が仕事用のノートパソコンを持ってきた中で私だけ持ってきておらず、次の日に一日仕事が全く出来なかったということもありました。当時の仕事はメールが一日百件近く来て八十通くらい返信していたので、この一日のロスはその後しばらく重く付きまといました。
 このような具合だったので、情けない話ですが今年一月頃には早くも真剣に退職を考えるようになりました。ただ退職するといっても二十代で二回も退職経験がつけば次の転職に響くことは予想に易く、ただでさえ不況真っ只中の日本に逃げ帰ってももう正社員職につくことは出来ないと思い大いに悩みましたが、ただその頃には本当に何もないところでも度々えづくようになっており、このまま体を壊しては仕事も何もないだろうということから何もかもうっちゃってしまうつもりでした。

 そんな中、ひょんなことで上海市内のある日系企業が募集をかけているのを知り、どうせ辞めるのなら駄目元でとばかりにその会社の採用試験を受けてみたところ、当時は自分でも信じられませんでしたが再びその会社から内定を得ることが出来ました。どちらにしろ春までには日系メーカーは辞めるつもりだったので一も二もなく内定承諾の返事を出し、日系メーカーへは退職の意思を伝えました。
 なお退職の意思を伝えた時に日本人上司は、「そんなに飲めないのであれば断ればいいのでは」と言いましたが、ほかならぬ私に最も一気飲みを強制してきたのはその上司でした。ある時などは私の様子(すでに五回程度吐いている)を見て周りの中国人社員が必死に止める中でもワインを注いで一気飲みを強制したことがありましたが、そのことを話すと本人は覚えていないと返事しました。さらについでに書くと本来の支払い月から一ヶ月が過ぎて私も何度も催促しているにもかかわらず、その日系メーカーからは未だ退職月の未払い賃金を受け取っておりません。蛇足でしょうし過激なことこの上ありませんが、権力を握ったら日本の本社ともどもどんな手を使ってでも必ず潰すつもりです。

 そうして三月に現在の会社へと転職を果たしましたが、今の会社は名前はもちろん明かせませんがある経済ニュースの通信社で、そこで編集・記者職として雇われました。以前の陽月秘話でも書いていましたがこんだけ長い文章を毎日書くだけあって私は元々ジャーナリスト志望で、新卒でその業種に関係する企業に就職できなかったことからもう縁はないだろう、やるとしても自分で会社を立ち上げるしかないだろうと思っていただけに、こんな形で念願が叶うとは夢にも思いませんでした。特に前職が前職だっただけに、その人生の流転振りには我が事ながら信じられない思いがします。

 私が上海を最初に訪れたのは北京に留学中の2005年に旅行で来た時です。その後去年の二月に友人を訪ねて二回目、そして十月に転職活動で三たび訪れ、今回の転職による定住で四回目となります。ここにくるまで随分と回り道をしてきたものだと思いますが、現在の仕事はやりがいもあり、職場の人たちもいい人ばかりで非常に充実しています。
 思えば中国に来てからちょうど半年が過ぎ、未だ一度も日本には帰っておりません。この半年の間に二度も会社を移るわそのたびに引越しするわで非常に慌しく、これまでどれだけ時間が過ぎたのか感覚がちょっと薄いです。ただ梅雨のない上海では近頃気温が上がってすっかり夏らしくなり、季節感を感じることでようやくここに至ったんだと感じられるようになりました。

2011年5月20日金曜日

新入社員のアンケートについて

新入社員の1割が、「会社を辞めたい」(ITmedia)

 個人的に見出しのつけ方が違うのではと思ったニュースなので取り上げます。ならお前ならどんな見出しをつけるのかというのなら、「会社を辞めたい新入社員、たったの1割」といったところでしょうか。

 私が新卒で入社した頃に大学時代の面子と会うと、まず間違いなく九割が「会社辞めてぇ」、「バイトのが絶対楽で稼げる」などという愚痴をこぼしていました。その中で唯一と言っていいくらい、「今の会社に全く不満はない」と言っていた自分が真っ先に転職するとは思わなかったけど。

 あくまで私個人の所感ですが、楽な大学生活から勤め人になれば普通の人ならまず間違いなく「辞めたい」と思うのが普通な気がして、こういうアンケートとるなら五割弱は素直にそう書くんじゃないかと思っていました。しかし実際の結果は上記の通りで、調査方法がインターネット調査という時点でまず正式な論文には一切使うことが出来ませんが、票数は272人ということで参考には足りるデータなので一概に否定することはできません。それでも敢えてケチをつけると、震災や不況の影響で辞めたくとも辞められない、なんとしても今いる会社を続けなければという意識が影響しているのではという気がします。

スーパー堤防について

 以前に行われた仕分けを見ていて、「おっ、これも廃止か。そりゃよかった」と思ったものの中の一つに、今日取り上げるスーパー堤防が入っていました。結論から申せば、震災を経た今においてもこの考えに変わりはありません。

高規格堤防(Wikipedia)

 スーパー堤防の正式名称は上記の高規格堤防というそうですが、時期にして大体五年位前にこの計画案を聞いて大いに呆れたのをよく覚えています。今回の東日本大震災では津波被害が深刻だったことからこのスーパー堤防がやけに注目を浴び、事業仕分けで廃止を決定した蓮舫氏には非難が集中して石原都知事もドヤ顔で、「廃止したんだってな( ゚∀゚)」と、直接皮肉を言ったそうです。そうした声がある中、繰り返しますが私はスーパー堤防には反対です。

 私が何故スーパー堤防に否定的なのか、その理由は上記に貼ったウィキペディアのページに貼られている図を是非とも直接見てもらいたいのですが、はっきり言ってとても実現できるとは思えない代物だからです。あくまで素人ながらスーパー堤防の中身を解説すると、通常の堤防は川や海沿いに盛土、水門設置などをすることで水かさが増した際に堤防の内側にまで水が入ってこないようにするのですが、あくまで盛土されるのは水のある付近だけです。それに対してこのスーパー堤防というのは水が一切入ってこないように川、海沿いだけでなく、堤防の内側深く、長さにして数百メートルに渡って堤防の高さと同等まで盛土し、言い方を変えるならそのまま丘を作ってしまうという途方もない計画です。

 この計画は言うは易いですが実現となると果てしない過程を要します。まず必要なのは丘を作るまでの大規模な工事ですが、そもその話として国土交通省がゼネコンの利権などを失わないためにこのスーパー堤防を提案したとも言われており、仮に現在堤防のある地域をスーパー堤防化させようというのなら一部の箇所だけでも百年単位の時間が必要と予想されるほどの工事になると聞きます。確かにそんな大工事ならゼネコンは一生食うに困らないだろうけど。
 そうしたありえない工事量もさることながら、私が絶対に実現不可能と断言するのはすでに堤防周りに住んでいる住人の存在です。計画を実行するのであれば堤防の内側深くまで高く盛土しなければならず、言うまでもありませんが工事をするためには堤防近くに住んでいる人たちには全員立ち退いてもらわなければなりません。私の家の近くの川沿いにも土手がありますが、その周辺は100メートルはおろか道路一本挟んだ先にはすぐ家があり、住人全部を立ち退かせるというのであれば一体どれだけの費用がかかるのか、まさしく天文学的です。

 その上、これは技術的なことなので極端に強くはいえませんが、このスーパー堤防は大雨などによる河川氾濫には有効でも津波対策としては価値がないという話を聞きます。私自身も津波のメカニズムやこのスーパー堤防のシステムを考えると、確かにあまり効果がないように思えます。
 その一方で、「大量に盛土するスーパー堤防では地震時に液状化現象が起きる」という話を聞きますが、逆にこれはあまり心配しなくてもいいような気がします。液状化現象は高校で地学(独学)を勉強しただけあって管首相が「俺は原子力に詳しいんだ」と言った程度に詳しい自信がありますが、これは湿地帯や海などの水分を多く含む土壌への埋立地にて起こる現象で、元々固まっている地盤の上の盛土であれば液状化は起こらないと思います。だからと言ってスーパー堤防がいいわけじゃないけど。

 友人にはネットの意見なんかいちいち気にするなと言われますが、私はこのスーパー堤防を廃止したとして蓮舫氏を非難している方々に対して直接、本気でこんな計画が実現できると思っているのかと問うてみたいです。現在の案では川沿いに住んでいる住人らには工事中は別の場所に住んでもらって、工事が完了したらまた戻ってもらおうとしているそうですが、この案でも家は建て替えなければならないし工事はいつ終わるかもわかんないのだし、そんな案が呑めるとはとても思えません。
 なおかつこのスーパー堤防は一部分でも盛土が出来なければ、それだけで価値はなくなると聞きます。いくら津波対策が必要だからと言って、こんな実現性も実用性も低いものには私は支持することができません。

 批判、非難はいくらでも受けます。ただその際には技術的な内容とともに実現性について説明をしてもらえば助かります。

  おまけ
 大学受験で地学は選択者が少なくて点数が稼げるというので、高校に授業がないにもかかわらず独学してセンター試験で受験しました。結果は三ヶ月の勉強で80点だったので、まぁまぁだと思います。もっともそれ以上に、日本史をメインに勉強しつつ世界史で85点取ったことの方が我ながらよくやったと思うのだけれど。

2011年5月19日木曜日

因幡の白兎について

 ちょっと歴史物が不足しているので、しばらく古代史物を書いてこの際に一気にまとめてしまおうかと思います。歴史に詳しい方からすれば「何を今更」と思われる内容かもしれませんが、知らない人に話すと結構受けがいいので批判を気にせず書いてしまいます。

 そんな一発目に取り上げる今日のネタは、有名な童話の「因幡の白兎」についてです。この話の舞台は私が本気で永住を考えている因幡の国こと鳥取県で、鳥取の海岸沿いを車で走っているとガードレールなどによくこの白兎のイラストが描かれています。
 ただ現在の研究によるとこの話で書かれている因幡の国は現在の鳥取県である確証はなく、山陰地方での話という可能性は高いものの確たる証拠がないのが現状です。まぁそれ言ったら東京都の業平橋の元となった在原業平の東下りも、当時あのあたりは全部湖沼地帯だったろという突っ込みも出来てしまうのですが。

 話は戻って因幡の白兎についてですが、恐らくこの話ほど議論を呼び、歴史的考証価値の高い童話はないでしょう。と言うのもこの話の主人公は古代史におけるキーパーソンの一人である大国主で、その後の彼の行跡を考えると無視することの出来ない逸話です。では具体的にどんな話なのかですが、以下に簡単にまとめておきます。

 ”ある日一匹の白兎が沖合いの島に渡ろうと思い立ち、ワニ(原典では和邇)に対して「お前たちが何匹いるか数えてやるから、あの島との間にみんなで整列してくれ」といい、浜から島まで一列に並んだワニたちの頭を飛び越えながら島へと向かいました。島まであと少しというところで白兎は、「俺は島に渡りたかっただけだよ、ご苦労さん」とつい洩らしてしまい、怒ったワニによって白兎は背中を噛み付かれて皮を剥ぎ取られてしまいました。
 背中を噛まれた白兎はその痛みから海岸で泣いていると、通りかかった大国主の兄弟らに、「海水を背中につけて風に当たると良くなるよ」と嘘をつかれ、正直にそうやった白兎はますます背中が腫れてまた海岸で泣き続けていました。すると今度は大国主が通りかかってわけを聞くと、「水門へ行って水で洗い、蒲を撒き散らしてその上で転がれば良くなるよ」と教え、白兎がその通り実行すると今度はきちんと治ったとのことです。”

 話自体は童話によくある話ですが、肝心なのは大国主が出てくることはもちろんのこと、この話が載っているのが「古事記」ということです。古事記というのは現在になって研究が進んで大分わかってきましたが、実際にあった歴史を微妙にぼかすと言っては何ですが、童話や寓話仕立てにテイストしなおして書かれていることが多い史料です。よってこの因幡の白兎についてもなんらかの歴史的真実が含まれている可能性が高いと言われております。
 今現在で最も有力視されているのは、大国主がその兄弟と比べて立派だったということを立証するエピソードとして添えられたという説です。ネタバレしますがこの後に大国主は兄弟から命を狙われたために逆に全員を皆殺しにして、出雲にて自分の国を開きます。つまり国を開いた大国主を正義の味方のように書き、兄弟たちは人の悪い性格で殺されても仕方ないと思わせるために入れられたのではないかとされています。まぁこれ以外にも大国主には似たようなエピソードがたくさんありますが。

 そうした大国主の正当性を高めるためといった内容とともに、恐らく最大の議論となっているのは途中に出てくる「ワニ」でしょう。もちろん今の日本にはワニがそこらへんうろちょろしているわけじゃないため当時の日本にはワニがいたのかってことになってくるのですが、当時の気候条件や生態系から考えるとやはりその可能性は非常に低いです。ではここで出てくるワニとは何なのかということで日夜熱く議論されているのですが、そもそもの話として原典では「和邇」という漢字が当てられているだけで、本当にこれを「ワニ」と読むのか、はたまたどんな生物を指しているのか全くわかりません。

 一応現時点で強い説というのは「ワニ」ではなく「サメ」なのではないかという説で、私もこの説を支持してます。実際に日本海にいて噛み付くといったら適当だし。ただこのサメ以外にもウミヘビとか、はたまた昔から中国には痛そうですから伝え聞く話で適当にワニを入れたという説もあります。ただどうしてこの「和邇」という字が使われたのか、単に適当に入れられただけかもしれませんが考察する価値は高いように思えます。

 敢えてここで大胆な説を挙げると、もしかしたこの話の舞台は因幡ではなく当時にもワニがいたと考えられる中国南部のどこかだったのかもしれません。中国南部には今は野生ではまったくと言っていいほどいませんがヨウスコウワニという種類のワニがおり、その地域における話が回りまわって日本にも伝わって、登場人物が大国主、舞台が因幡に置き換わっただけなのかもしれません。何の確証もありませんが。

 最後にこの因幡の白兎について、20世紀最高のギャグ漫画とまで評された「MMR」では、白兎が背中を噛まれたというのは暗に放射能被爆をしたことを物語っているのではないかと聞いてるこっちが大爆笑しそうな大胆な予想を立ててました。

2011年5月18日水曜日

テレビ局への罰則

 突拍子もなく言いますが、テレビ局にはそろそろ明確な罰則規定が必要じゃないかとこの頃よく思います。以前の陽月秘話時代にもテレビ局の不祥事などは割と頻繁に取り上げてきましたが、そうした不祥事を改めて眺めてみるとテレビ局というのはたとえどんな不祥事を起こしても放送免許が取消されることはおろか外部から処分されることはなく、影響力の強い媒体なだけにやはり問題があるように感じます。

 現在テレビ局の不祥事についてはBPOという、テレビ局関係者や有識者によって組織される委員会が視聴者からの提起やクレームを受け、問題があると判断した番組を放送したテレビ局に対して注意や勧告を行っております。しかしBPOははっきりとテレビ局を処罰することはなく勧告しかしないと宣言しており、実際にこれまで勧告を受けてきたテレビ局も本当に受けるだけで、中には反省して番組を打ち切りにすることもありますがTBSの「バンキシャ」や「朝ズバッ」に至っては何度も勧告を受けてきているにもかかわらず未だに放送が続けられております。

 これまでにも何度かテレビ局の不祥事への処罰を法制化してはという声は上がってきましたが、そのたびにテレビ局側からは「報道の自由が侵される」と主張して見送られてきましたが、逆を言えばどんなことをやっても一切処罰が強制されない今の状況はどんなものかと思います。それこそTBSのように開き直ってしまえば事実上抑えが利かず、好き勝手にやられても黙ってみているしかないのではないでしょうか。

 そういう意味ではこの際、法律化してもいいしBPO以外にも外郭団体を作ってテレビ局をしっかりと監視、処罰を決める団体を作っては如何でしょうか。「報道の自由」とはいいますがそれはルールあってのもので、自主規制がきちんとなされているのであれば黙ってみていられますが「バンキシャ」が続いているあたりはそれを期待することも難しく、この際作っちゃほうが早いと思います。
 ではどのような不祥事にどんな処罰を与えればいいのかですが、最高罰にはもう放送免許剥奪を据えていいでしょう。というのも今の東電の不祥事を見ているとやはり独占企業は危機管理が甘いというか、どうせなんとかなるだろうという意識があるのかどうも責任というものが他の民間企業と比べて希薄です。それであれば下手なことをするのであれば一挙に廃業にしてしまえるように、また独占体質を打破するためにも放送免許剥奪は入れてもいいでしょう。

 とはいえそうバンバンとテレビ局を潰していてはいろいろとややこしいので、実際にはもっと軽い処罰をいろいろ用意しておかねばなりません。まず最もポピュラーで実際によくされているものとしては「番組内での謝罪、訂正」です。これなんかは意図せずして誤報を流してしまった場合、思わぬものが映ってしまった場合などにすればいいかと思います。
 次に厳しい処罰としては、これも実際に行われている「番組の打ち切り」です。これは確信犯的に誤報を流した、もしくは番組内で死傷者が出るなど安全対策を怠った際への処罰にいいでしょう。

 そしてこの上に、何度も注意や勧告や処罰を受けているにもかかわらず不祥事を繰り返す、もしくは社会的に重大な影響を与えた不祥事を起こした際には、一週間とか一ヶ月間と期限を決めてそのテレビ局でのすべての番組放送禁止を盛り込むことを提案します。個人的に放送免許剥奪以外に、テレビ局が一番嫌がるのはこれだと思うし。

 こんな具合で昨日からいろいろと考えつつ下調べを進めてきていたのですが、改めて調べてみるとBPOに寄せられるクレームの中には確かに「なんじゃこりゃ」と言いたくなるような妙なクレームとかが数多く、処分をきつくしろと言いながらもテレビ局側の立場も尊重しなければと少し考えを緩めました。具体的にその妙なクレームをいくつか紹介すると、深夜番組に子供が見るのに不適切な内容がある(そんな遅くまで子供を起こすな)、番組に出てくる芸人が気に入らないなど、ただでさえモンスターペアレントなどクレーマーが増えている世の中なので罰則を決めるのであれば慎重な議論を行い、何をしたらどうなるのかを明確にした上で実施すべきでしょう。

 最後にテレビ番組についてちょっと一言言うと、何故かは知らないですが日曜昼過ぎに放送される「新婚さん、いらっしゃい」は中国人留学生らにやけに人気で、私の現上海在住の友人もことあるごとに「あれが見たい」と洩らします。なにか中国人と波長が合うのかわからないけど。
 ただ「新婚さん、いらっしゃい」は確かに私もよく見ており、飼い犬(ペス)に子供のへその緒を食べられたなどくだらないエピソードをよく覚えています。特に予定がない日曜日などはこの「新婚さん、いらっしゃい」ともども、昨日亡くなられた児玉清氏が司会をしていた「アタック25」を続けてよく見ていました。児玉氏は元NHKアナウンサーの松平定知氏に次ぐほど話し方がきれいな方で、私自身も非常に好きな司会者だっただけに今回の訃報は非常に残念なものでした。心から、ご冥福をお祈りします。

2011年5月16日月曜日

自虐史観の系譜について私の印象

 本当は昨日の記事に合わせて書くつもりでしたが、紙幅が足らないので今回独立して書くことにしました。

自虐史観(Wikipedia)

 自虐史観というのは戦後に行われた日本の歴史教育のことを指す際に使われます。内容としては戦前の日本を世界大戦を引き起こしたとして批判的に捉える観点から語られ、一部の論者からは過剰に日本、ひいては自国を否定する内容だとして90年代頃から逆批判が起こり、しばしば論争の的となりました。
 この自虐史観で強調されたのは戦前に日本が行った侵略への反省で、ある意味私なんか論争の起こった頃に教育を受けていた世代なので割かし懐かしい感覚すらあるのですが、南京大虐殺や朝鮮人強制連行、従軍慰安婦問題などは小学生時代からしつこく教えられた記憶があります。ただこうして教えられる内容はなんだか東アジアに集中してて、バターン死の更新とか東南アジア方面の話はなんだか扱いが小さかったような……。

 こうした歴史教育が戦後は一貫して行われたそうですが、これについて行き過ぎだとして主に「新しい教科書をつくる会」のメンバーなどから逆批判が起こるようになり、上記の歴史事件の再検証とともに戦前の日本政府、ならびに軍人らを再評価する動きが90年代中盤から起こるようになりました。そうした逆批判論者らの意向が強く反映されたいわゆる"つくる会の教科書"が発売されるや中国や韓国は、「過去の真実をごまかし、歴史を改変した内容だ」として公式に批判し、当時はってか今も続く国際問題とまでなりました。

 さてこの自虐史観ですが全部が全部語ると非常にややこしく、また議論する相手によっては余計なヒートアップを招いて論争にならなくなる可能性が高い議題です。そこでいくつかポイントを絞って実際にこの自虐史観による教育を受けた私の考えと現状を説明します。

・ポイント1、自虐史観はアメリカによる押し付けか
 これなんか安倍元首相とか平沼赳夫氏が激しく主張していますが、戦後日本を占領したGHQが日本が二度とアメリカに歯向かわないように徹底した反軍主義、戦前否定の教育を実施したことで自虐史観が生まれたという意見ですが、これについては私は明確に否定します。
 まず勘違いしてもらいたくないのは、実際にGHQが戦後直後の日本で戦前を否定する教育を推し進めたのは事実でそれについては私も異論はありません。ただGHQは占領後半になると対共産主義のために率先して日本の再軍備化を推し進める、いわゆる「右旋回」をするようになり、その過程で自衛隊の前身となる警察予備隊も生まれています。

 だからといって教育内容まで当時に変わったというわけじゃないですが、肝心なのはGHQの占領は1951年で終わっていることです。その後の日本はGHQが作った憲法とはいえ、日本人自ら選挙を行い、政府を組織し、文部省で自ら教育内容を決めていきました。少なくとも私が見る限り独立回復後の日本で90年代にいたるまでアメリカが日本の教育行政を握っていたとは思えず、きっかけは確かにアメリカの指導かもしれませんがそれを維持したのはほかならぬ日本人自身で、それにもかかわらずアメリカが押し付けて日本の教育は駄目にされたというのはちょっと違うような気がします。

・ポイント2、自虐史観が日本人をだめにしたのか
 これもまた上の二人組+藤原正彦氏がよく主張していますが、私としては疑問に思う意見です。そもそもの話としてそれほどまで歴史教育に影響される生徒自体多いとは思えず、いくら学校の授業で聞いたからといって日本は悪い国だ、周辺国に謝罪しなければなどと真剣に考える人間はそんなにいなかったと思います。一人や二人ならいるかもしれないけどさ。
 その根拠と言っては何ですが、90年代後半から尖閣諸島や魚釣島などで領土問題が起こるや中国や韓国への日本人感情は一気に悪くなり、その変貌振りを見るとそれ以前の両国への感情は申し訳ないとかそういうもんじゃなく、ただ単に無関心だった気がします。ついでに書くとこの教育でアメリカに対しても反抗心を持たなくなったとも言われていますが、これは沖縄問題が一番影響しているように思います。基地負担などすべてを沖縄に押し付けたが故で、アメリカに対してもまた大半の日本人は無関心だっただけではないかという気がします。

・ポイント3、自虐史観は今も続いているのか
 これについてはさすがに義務教育現場ではどうなっているのかまではわかりませんが、少なくとも日本全体の論調としては大分後退しているかと思います。その理由としては自虐史観では徹底的に被害国として扱われた中国や韓国と明確に領土問題になったり、中国に至ってはGDPでも抜かれるようになって主張に現実味がなくなってきたことが原因だと思います。さらについでに書くと、中国の方こそが自国の歴史をごまかそうとする気合が半端じゃないし。
 またこれは私自身が高校生だった頃の感傷ですが、はっきり言って歴史を勉強していてその主義主張なんかよりこっちとしては如何に受験でポイントを稼げるか一番関心があり、こういうことに大騒ぎするのはむしろ外野の大人たちだったような気がします。

 ただ振り返ってみてこの自虐史観は歴史認識として明確な間違いをいくつかしており(日本に民主主義はなかったとか、国民は軍部にだまされていたなど)、後退して個人的にはよかったなぁとは思います。その一方でつくる会らの「日本は米国などに追い込まれて戦争をした」などという後から来た主張も私は理解することが出来ず、こっちの主張も今度後退してくれればいいなぁって思ってます。
 なお戦前の歴史認識としては私が今一番傾倒しているのは半藤一利氏で、半藤氏の主張のように「日本人は何も考えずに戦争に向かっていった」というのが戦前に対して最も納得できる意見です。

2011年5月15日日曜日

私のナショナリズム遍歴

 なんか今日からこっちでYahooメールが開かなくなりました。これまでにもこういうことは度々あったので恐らく一時的で、また明日には開けるかと思いますが小学生の嫌がらせのように地味に腹立ちます。その代わりと言っては何ですが先日にダウンロードできなかったとこのブログで報告した電子書籍が何故かダウンロードできるようになり、ついに「でろでろ」の7巻をパソコン上で読むことが出来ました。あまりにも感動したもんだからすぐまた8巻も買って読んでしまいましたが、世に妹キャラはたくさんいれどもこのでろでろの「日野留渦」以上の妹キャラはいないんじゃないかとよく思います。

 こんなどうでもいい前文を書きながらですが、今日は私のナショナリズム遍歴を紹介しようと思います。個人的な内容かなと思って最初は見送りかけましたが、ちょうど私の青春時代が日本のナショナリズム観が戦後以降で大いに変動した時期なので書く価値があると判断しました。

 私が明確にナショナリズムを初めて持ったのは、年にして13歳の中学一年生の頃でした。その頃予備校で教わった先生にいろいろ社会問題を教わって政治について興味を持ち出し、世の中が良くないことを何でもかんでも政治が悪いせいだといっちょまえに口にしていました。同時に小学生時代はなんだか不公平に感じて否定的だった天皇制も途端に肯定的になり、中二病のようになんだか右翼的な行動や価値観がかっこいいと思うようになっていきました。
 当時は北朝鮮が弾道ミサイルテポドンを発射した時期で、私だけじゃなく日本中で国防について議論が盛り上がっていた頃でした。といっても盛り上がったのはまだ一部の人間にとどまり、一般市民はまだ政治については今より関心が低くて投票率も今なんかと比べると低い水準を維持してました。私はそんな低い投票率を見て、ありがちといえばありがちですがこんな日本人じゃ国が駄目になると、まぁ子供らしくストレートな感情を抱いていたのを我ながら恥ずかしく感じます。

 その頃にあったもう一つの大きな事件を話すと、ちょうと「新しい教科書をつくる会」(通称つくる会)が出来、教科書の裁定を巡って大きな議論が起こっていた頃でした。これは以前に外交白書も見て確認をしていますが、ちょうどこの頃からそれまで変動のなかった韓国、中国への好感度が振れ出し、2000年代に入る頃には明確に下がり始めます。
 そうした外交意識の変化以上にこのつくる会が巻き起こした騒動はいわゆる自虐史観からの脱却で、「日本はもう謝らなくていい」という言葉の元に歴史教育の改革が叫ばれるようになりました。当時の私は私立の学校にいたせいもあるでしょうが自虐史観についてはそれほど関心がなく、またつくる会の教科書も抽象的な内容が多いように思え、大学受験用として使うにはあまり価値がないと取り立てて気にはとめませんでした。

 その後高校生となった私は徐々にテレビニュースなどを見るようになって知識を蓄えるようになり、右傾化の傾向にも拍車がかかっていきました。靖国神社に行ったり正月の天皇参賀にも参加したのもこの頃で、親父に菊の御紋入りのがま口(1,000円)を買ってもらったのを覚えてます。さすがに使いどころが見当たらなくて未だに引き出しの中ですが。
 この頃になると政治に興味を持たない周りの生徒がたるんでいるように思え、電車の中だろうがなんだろうが頼まれてもないのに高説ぶるようになり、今見たら殴り倒したいくらいの生意気ぶりだったと思います。ただ当時の自分を唯一誉めるとしたら、誰かに師事して教えてもらうのではなくちゃんと自分から雑誌とかを読んで知識を身につけてった所です。そんな都合よくなんでもかんでも教えてくれる人はいないんだから自分で勉強しなきゃと、行動に移した点は及第点でした。またこの頃はまだ政治家になって世の中を自分が変えてやるんだ、自衛隊も強化して他国に侵略させないようにしなければとどちらかと言えばプレイヤー志向が強い時期でもありました。

 それが変化したのは大学に入って以降でした。大学入学直後でこそ自分は右の人間だと明確に自認していましたが、当時は小泉内閣で徐々に格差問題が表面化していった時期でもあり、郵政改革の過程で右派の中でも意見が割れ始めていた頃でした。勘違いしてもらいたくないのは当時の私は格差拡大論者で、現時点においても当時の小泉内閣における竹中平蔵氏の政策は正しかったと考えております。ただこの格差問題で私が気になったのは、右派の政治家や論者にこの格差問題にかこつけて小泉内閣を批判して政局にしようとする人間が現れだし、先述の郵政改革が進むにつれてその傾向が激しくなっていったことです。
 このあたりからそもそも右翼、左翼という構造で物事を考えていたら立ち行かないのではないと思うようになり、自分をどちらの立場において考えるのではなく政策ごとに独立して意見を持たねばならないと考えるようになりました。その結果自分を右翼、左翼とどちらにも置かなくなり、国に対する意識も何が何でも良くしなければという感覚も徐々に持てなくなっていきました。

 その後の過程はちょっとすっ飛ばしますが、現時点での私のナショナリズムはそれほど高くないと思います。よくこういうブログを運営していることから国のことを強く思っているのではと言われることがありますが、結局のところ国を変えても日本人が良くなるという確信が持てず、むしろ自分という個人の能力を高めるだけ高め、尋ねられたら教えるという行為を続けることの方が価値があるように今は考えています。自分への自戒を込めて書きますが、いくら政治を良くしようと政治家を変えたりしても国民が変わらない限りはなにも変わらないと思います。

 最後に、ではどうしてこのブログで政治解説などをやるのかという理由ですが、以前かも書いてはいますが単純に政治や時事を勉強したくとも勉強する手段や糸口が見つからない人間、対象としては大学生向けに「こんな考え方もあるんだよ」という紹介がてら書いてます。前述の高校時代に私も苦労した思い出があり、そうした人たちへの一助になればと文章を書く趣味をかねて書き続けてます。

2011年5月13日金曜日

四国新聞について

 最近堅い政治系の記事ばかりなので、柔らかい内容を一本投下しておきます。
 さて皆さん、四国新聞というのはご存知でしょうか。香川県の地方新聞なのですが、百聞は一見に如かずなので早速下記ホームページを開いてみてください。

四国新聞

 一体この新聞の何が凄いのかというと、上部にあるニュースカテゴリー欄を見てもらえばわかりますが「スポーツ」や「天気」、「求人」といったごく一般的なカテゴリーの中になんと、堂々と「うどん」というカテゴリーが存在してます。しかも試しに開いてみると香川県内のうどん検索機能がついており、「データで探す」を選んでみると以下のようなまた随分とカオスな検索項目が出てきます。

Q、誰と?
・子供連れで
・接待で
・大勢で
・デートで
・マニアな人と
・特定しない

Q、店のスタイルは
・一般店
・大衆セルフ
・製麺所型
・特定しない

Q、表示順位
・麺の太い順
・麺の細い順
・創業が古い順
・創業が新しい順
・1玉が大きい順
・1玉の値段が安い順
・特定しない

 どんだけ検索項目充実してんだよ……(;゚д゚)

公務員給与10%削減案について

 今日たまたまNHKで昼のニュースを見る機会があり、こんなニュースを目撃しました。

公務員給与10%削減、労使交渉始まる(朝日新聞)

 内容をかいつまんで話すと、管首相は震災復興に多大な予算が必要になることから国家公務員の給与を全体で10%削減することを提案したというニュースです。なお「震災対策にあたる自衛隊員らには一定の配慮」との文言から、自衛隊員への給料は削減の対象から外す方針のようです。

 正直、前回の「自衛隊員の給料削減報道について」の記事を書いた二日後にこうも早くも関連するニュースというか止めを刺してくれるものが出てくるとは夢にも思っても見ませんでした。前回の記事で私は「自衛官は10%の給与カットを決めたそうである。」と書いたこのJB PRESSの記事はガセである可能性が高いのではと指摘しましたが、同じ記事には「一方、総勢で7万人以上もいるとされる増税を主導する財務省のお役人が1円でも給与カットしたという話は全く聞かない。」とも書かれており、見事なくらいに本日の管首相の発言内容と真逆で、もはやガセの可能性とかそういうレベルではなくなったと言っていいでしょう。
 仮にこのJB PRESSの記事が伝聞調や可能性があると言った書き方や、何故自衛隊のみが10%の削減になるのかという理由や根拠も書いていればまだ価値はありますが、こんな断言口調で書いてればもうどうしようもないでしょう。恐らくなんの根拠も確認のための取材もなく、それこそ別の誰かの妄言を信じて強気で書いたのでしょう。もしかしたらこの記事自体が妄言そのものだったのかもしれませんが。

 それにしても前回の記事を書くきっかけになった、「現在の自民党への評価」の記事にコメントしてくれた「通りすがり」さんにはこのJB PRESSの記事が情報ソースなのかをコメント欄で尋ねているのですが、未だ返事がもらえておりません。もしこの記事を読んでいただけているのであれば、ぜひともご一報と現在のご感想をいただきたく思います。

2011年5月11日水曜日

自衛隊員の給料削減報道について

 昨日書いた記事に寄せられたコメントに、ちょっと気になる内容が書かれていました。

「おまけに民主は防波堤の予算やら自衛隊員の給料を下げる事までやってる分たちが悪い。こんな史上最悪の政権は早く退場するべきだろう。」

 正直に言って、このコメントに書かれている自衛隊員の給料削減のニュースを私はこれまで全く聞いたことがありませんでした。日本にいる状態ならば自分が聞いたことないニュースはまず以って通常の報道はされていないと確信がありましたが、現在は居住地が中国なだけに念のためどのように報じられているのか確認をしてみようと思い早速ネットで、「自衛隊 給料 削減」で検索をかけたところ、確かにこのニュースを取り上げるブログやツイッターが数多くヒットしたのですが、一見してすぐ奇妙さを覚えました。実際に検索してみればわかるでしょうが見出しがどれも判で押したかのようにほどんど一緒で、「自衛官給料/給与10%カット/削減」と書かれており、真っ先に思いついたのは情報ソースが一緒なのではないかということでした。そこでいくつか開いてみて確認したところやはりそうで、少なくとも私が確認した限りではどこも下記サイトをネタ元として引用していました。

菅直人首相:所得半減政策と「国民は粟を食え」(JB PRESS)

 もっともこんな風に訝って考えるのは私くらいなものかとも思ったのですが、同じくJB PRESSの記事を引用しているロケットニュースの記事につけられたコメント欄を見てみると私と同じように単一ソースであることからガセではないかと懸念する方がいてちょっと驚きました。

 そろそろ結論を言うと、現時点で私はこの自衛隊員の給料を10%削減するというこのニュースはガセの可能性が高いように感じます。理由はいくつかあり、まとめると下記のポイントが挙げられます。

1、情報源がJB PRESSしかなく、ほかのメディアが後追い報道をした跡が全くない
2、記事中に具体的な決定時期、削減の開始時期、対象者が全く書かれていない
3、にもかかわらず、「自衛官は10%の給与カットを決めたそうである」と断定口調でまとめられている
4、記事中では削減の決定者が政府なのか防衛省なのかわからず、主語がぼかして書かれている
5、この時期に発表される必然性が感じられない
6、内容に強い誘導性を感じる

 ざっと挙げるとこんな具合です。といっても、最初の後追い報道がないという点だけでおなかいっぱいですけど。
 仮にこのニュースが本当であるならば最初に情報を出すのは政策決定者である官僚や政治家に間違いなく、この両者から発せられる情報でこの内容であればテレビや新聞といった大メディアも必ず報じているでしょう。にもかかわらずJB PRESSの記事が出てから数週間も経っているにもかかわらず関連するニュース報道は全くなく、そもそもの記事内容と比較しても何でもいいから管首相を貶めようとする匂いが感じられます。

 ついでなので情報を取り扱う際の気構えというか私が注意しているポイントをこちらも挙げると、

1、情報ソースが複数あるか
2、状況から必然性を感じるか
3、誘導性がないか

 大体この三点、最低でも最初の複数ソースの確認さえしておけば下手な情報を掴むことはないでしょう。
 ただ複数ソースについては少し注意しなければならないことがあり、たまに同じソースからの情報をいろんなところを経由しているうちに別ソースの情報と誤解してしまうことがあります。これの代表的な例はアメリカが追っていたイラクの大量破壊兵器の情報で、何でもCIAか何かがどうもイタリアあたりでイラクには大量破壊兵器があるという情報を得て念のため確認を取った所、別のソースからも情報を得られてイラクに攻め込んだものの結局そんなものはありませんでした。後で調べてみたら、二回目の情報のソースも実は最初と同じイタリアの情報だったそうです。

 二番目の状況の必然性ですが、意味はちょっと違いますが火のないところに煙は立たないというように、有り得ない状況から有り得ない物は絶対に出てきません。たとえば北海道でゴキブリが大量発生と書かれても、そもそも北海道はその気候から元々ゴキブリは生息していないのですぐガセだとわかるように、状況からおおよそ起こることが有り得ないと思われるニュースは真偽を必ず確かめる必要があります。

 三番目の誘導性についてですが、これもたとえを用いるとアメを欲しがっている子供に対して「あそこに行けばアメがもらえるよ」と言うように、情報を受け取る側が如何にも欲しがる様な格好の情報や、書き手の感情が過剰に反映されているような要素です。今回のJB PRESSの記事は管首相を批判したがっている人間に対しては格好過ぎる情報で、案の定というかあちこちのブログやツイッターで取り上げられているのを見て妙に感じさせられました。

 最後に民主党関連のデマですと、以前の陽月秘話でも取り上げましたが去年に「鳩山前首相がデノミを検討していた」と日経新聞のみが報じていました。この記事では「藤井財務相辞任で頓挫」と書かれており、鳩山首相だけならともかく経済政策に明るい藤井氏がこんな必然性のないことを検討するとはとても思えずデマではないかと書きましたが、案の定ほかのメディアも相手しなければ続報も全く聞こえてきませんでした。日経は経済記事以外はいいと言われていますが、こんな内容の記事にOK出すデスクもいるんだと感心させられた一件でした。

 最後と書きながら今日散々後追い報道について書いたのでもう一つ付け加えですが、去年ナンバー1の報道は間違いなく朝日新聞による、厚生省の村木さんの取調べで前田元検事が証拠を改竄していたことを暴いた記事ですが、話によるとこの記事を書いたのは三十代の記者の方で、朝刊発行前はほかのメディアが後追い報道、取材をしてくれるかと不安で眠れなかったそうです。あんな凄い記事書いておきながら、やっぱり記者の方は不安に感じるようです。

2011年5月10日火曜日

現在の自民党への評価

 現在与党民主党は管首相を始めとして今回の地震の対応に問題があったと野党を初め国民からも激しく非難がなされておりますが、中国にいる分際でといくらか批判を受けること覚悟で申せば、私は今回の民主党並びに執行部の対応はそれほど悪いものではなかったと考えております。もちろん100点満点ではないものの、これだけの大惨事に対して最低限必要な対応はしてきたと思います。
 惜しむらくは福島原発の事故で、これさえ早期に抑えていれば現在よりもずっと被害を軽減することが出来たでしょうが、この原発事故は政府の指導や対応に問題があったというよりは東電の対応や危機管理に問題があったと考えており、一部で東電の言いなりになった管首相が悪いという批判もありますが、首相とはいえ技術的なことにあれこれ口出しするのは私はこれもかえって問題だと考えており、東電の意見を無視してあれこれ管首相が指示していればそれこそ批判の対象だと見ております。

 ただこういった災害においては天を恨んでも仕方がないというものの、感情の捌け口がどうしても必要になってきます。そういう意味では政府は理不尽といえども批判を受けねばならない立場であり、また被災者の気持ちを考えると批判をするなとも言えません。あくまで私個人として、現政府の対応はやることはやってくれたという評価をさせてもらいます。
 しかしそうした被災者はともかくとして、政府を批判していて奇妙というか腹立だたしいというか、頭にくる存在として野党の自民党の存在があります。一部の批判を聞いていると今回の地震に対する民主党の対応は問題があり、もう一度政権交代をさせて自民党を与党にしなければならないという声をいくらか目にしますが(主に産経を中心に)、そんなのふざけるなと声を大にして私はいいたいです。確かに現民主党もなかなか子供手当てをあきらめないなどアホかと言いたくなるところも数多く存在しますが、それを推しても私は鳩山時代ならともかく今の自民党よりはまだ管首相の方が害が少ないと見ております。

 私がどうして今回ここで自民党を批判するのかというと、やはり大メディアの報道を見ていてアレって思うところが多いからです。以前の「石原都知事への自民の許せない公認」の記事でも書きましたが、自民党は神経を疑う不謹慎極まりない発言をしたにもかかわらず片方は非公認にし、もう片方は公認にして選挙を応援しましたが、この自民党のダブルス短ダートについて私がネットを見る限り批判したメディアは存在しませんでした。またこれ以外にも政府から復興支援会議への参加、果てには大連立まで打診されているにもかかわらず今のところ自民党の谷垣総裁ははっきりとした態度を示しておりません。もちろんこれまでの政争もあれば支持者もいるのだしいくら緊急時だからと言ってホイホイ組むわけには行かないという立場はわかりますが、それにしたってここまで邪険にしなくたっていいんじゃないかという気がします。
 このような谷垣氏の態度に自民贔屓の産経も業を煮やしたか、とうとうこんな記事まで書かれる始末です。

首相「菅降ろし封じ」に自信 “クセ球”次々… 搦め捕られる谷垣執行部(産経新聞)

 なかなかよくまとまっている記事なのでよければ見てもらいたいのですが、概略を話すと復興での民主党への協力に対して谷垣氏が優柔不断になかなか態度を決めないことから、管降ろしをするはずが自分が総裁を降ろされるような立場になりつつあるのではと書かれてあります。個人的に感心したのは自民党との連立を辞さないとする石破茂氏や小池百合子氏はかつて同じ新進党で活動して痛い目に遭っているだけに小沢氏とは連携を獲りたがらず、小沢一派と一緒に管首相に不信任を突きつけようにも自民党内で意見が割れるだろうと指摘している点です。私もこの考えを支持します。

 そんな優柔不断な谷垣氏が今必死になってやっているのは政府批判です。ただその中身を見ると原発事故への対応を責める内容が少なくないのですが、そもそもの話としてあんな危険な場所に原発を建てたのは原発利権にすっかり染まっていた元与党の自民党で、安全対策から何まで不備のまま放ってきた責任を忘れてどうしてこんな批判が出来るのだと聞いてて白々しく感じます。それも戦前は軍国主義を礼賛していたと未だに批判される朝日新聞と違って自民党が与党だったのはわずか二年前で、時間的にも今回の東電の事故は自民党の方が責が重いのではと個人的に思います。

 はっきり言いますが、私は谷垣氏というのは正真正銘のクズだと思います。我ながらよくもここまで言い切るなとも思いますが、私はこの人を小泉政権時代から長く見ておりますが最低限の仕事も出来なければ口が軽くて余計なことを口走るわ、よくもこんな人間が議員としてやってけるなと理解が出来ない人物です。差別的だといわれるかもしれませんがそもそも私はこの人の来歴からして嫌いで、確か東大を八年かけて卒業後、七年間定職にもつかず受験勉強し続け司法試験に合格するという立派な経歴には気が遠くなります。今回の連立拒否も、最後まで悩んで小泉首相に「乗るな」と言われてやめたというほど決断が出来ない人らしいですし。
 ちなみに自民党内では森元首相などの重鎮議員や石破氏らは連立に前向きと聞きます。考えもなしで連立というのはまた問題ですが、谷垣氏の「管首相の退陣と引き換え」にという条件は私は如何なものかと思うわけです。

 久々にブログ(陽月秘話)を始めた当初のように攻撃的な記事になりました。あと意識はしてないもののやはり政治系の記事は書くのが早く、比較的長いのにこれも30分位で書き終わってしまいました。好きなんだなぁ、こういうの。

2011年5月9日月曜日

みかんよりすごい温州商人

 本日、管首相の要請を受けて中部電力が浜岡原発停止を承認したことを発表しました。話に聞くとこの浜岡原発は作ることありきで建設が進められ、建設途中で活断層が真下にあることがわかって中途半端に位置を避けようとしたためにかなりいびつな形で建設された原発だそうです。東海大地震が近いうちに発生すると予想されているだけに原発停止はやむを得ず、今回の中部電力の決断には個人的に敬意を表します。
 私が見ているとどこも今回の浜岡原発停止を賛同する、もしくはやむを得ないという声が経済界からも数多く寄せられているようですが、なんか経団連の米倉弘昌会長のみが「納得いかない」と不満を呈しているそうです。先の東電の事故についても免責案件だと主張したりと、殴られたダルマみたいな顔してて空気が読めない人だとつくづく感じます。

 さてこれで活断層上の原発はひとまず片がついたとほっと一息を尽きたいところですが、実は話を聞いていると日本にはまだ活断層上にある原発はあるそうで、もったいぶらずに言うと愛媛県の伊方原発です。この伊方原発については週刊文春で2P漫画を連載している池田暁子氏(愛媛出身)の漫画で知ったのですが、よりにもよってどうしてこんなところに立てたのかこの点については先人を深く恨みます。それにしてもこの前愛媛の人にこの伊方原発について聞いた時、

「愛媛って給食にポンジュースってでるんですか?」
「一週間に一回くらい出るよ」

 と言われ、激しくうらやましい思いをさせられました。

 そんな愛媛のみかんときたら温州みかんがブランドとして有名ですが、そもそも温州というのはどこにあるかは知らない人が多いかと思います。この「温州」という字の読みは「うんしゅう」ですが、みかんに冠せられるこの名前の元となった場所は中国浙江省にあるその名も同じ温州市という場所です。ここは昔からみかんの産地として知られてあの三国志でも孫権が曹操に対して贈り物として送るエピソードが出てきます(途中で左慈にパクられるけど)。ただこの温州という地域はみかんはもちろんのこと中国国内では別の方でもっと有名で、一体何で有名なのかというと表題に掲げた温州商人こと温州出身の経済家たちです。

 恐らく多くの日本人は商売っ気が強くて才気に富んだ中国人というと現在の中国最大の経済都市である上海を出身とする上海人ではないかと考える人が多いのではと思いますが、これは直接中国人に聞いてみるとすぐさま否定され、かわりに温州商人こそが中国のユダヤ人だよとほぼ100%の確率で教えてもらえます。一体どうして温州商人がそれほど特別視されるのかというと、元々この地域では独立して財を成すことが尊ばれる地域だったらしく、戦前からも蒋介石ら軍閥を資金面から大いにバックアップした浙江財閥と呼ばれる集団を形成していました。
 そんな温州商人は現代においても今なお健在で、中国で金持ちといったらその大半が浙江省、それもこの温州市出身だといわれております。実際に高額所得者は浙江省在住者で上位が占められるというのは統計上でも確認されており、日本の秋葉原で電機ジャーを買い占めたり、観光地の土地を買い漁っているのも大概が温州出身者だそうです。

 彼ら現代の温州商人の特徴を言うならば、海外志向が強いことが上げられるのではないかと思います。温州商人は中国が改革開放に舵を着替えるや早々に香港など外界へ出て行っては自らの商売を広げようと行動し、それが行過ぎてしまったというべきか一部地域では現地住人との間で軋轢が生まれている地域も存在します。
 そのような地域で一番有名なのはなんとイタリアで、話を聞くとイタリアマフィアもびっくりなくらいに温州出身の中国人が現地で裏商売に暗躍していたらしく、イタリア政府もかなり神経を尖らせて温州出身者に対して排他的な態度を取っているそうです。私が今年三月に実際に確認したニュースでも、温州にある中国の地方銀行がイタリアのある都市に支店を出店しようとした所、マネーロンダリングや現地の富が吸い上げられるなどといった理由で、設立直前になってイタリア政府は出店許可を取消したというニュースがありました。

 日本で同じように商売に長けた地域というと一般的には大阪が挙げられるかと思いますが、これはうちの親父の持論ですが本当にすごいのは大津商人ではないかという意見もあります。事実私も確認したところ大阪で大成した商人のルーツを辿ると大津こと滋賀県に行き着くことが多く、私もこの説を支持しています。ただ最近だと、竹中平蔵氏や奥田碩氏を輩出した三重県勢のが勢いある気がするけど。
 中国においても経済関係だと目立ってしまうのはどうしても上海になりがちですが、現在の上海は東京と同じように昔から上海に住んでいる人と途中で移ってきた人、私のように一時的に住んでいる人とで大部差があります。ちなみに私の見方だと、昔から上海に住んでる人はユーモアに明るくいい意味で図々しいところがある気がします。

 最後に日本の温州みかんについて一言。なんでも名称は温州であれども品種上の関連性では温州のみかんとは何の関係もないそうです。よく日本は中国に対して名称をパクるなと言い合っていますが、この点を突かれたら結構痛いのであまり中国人にはこのネタは話さないようにしています。時効ってことで勘弁してくれないかな。
 それにしても原発の話題からみかん、温州商人とつなげるあたり、自分らしい記事の書き方だと思います。

2011年5月7日土曜日

承久の乱と戊辰戦争

 日本史において武士政権が天皇家勢力とガチで戦争をしたのは何度かありますが、対照的といえるのは今回の題となっている鎌倉時代における承久の乱と明治維新期の戊辰戦争でしょう。どちらも状況を違えども幕府勢力と天皇勢力が大きな戦火をまとって対立し、勝った側の勢力が後の実権を握ることとなりますが、具体的にどこが対照的なのかというと当時の幕府勢力を率いた指導者の能力で、トップの差が緊急時の大勢に大きく影響するのを証明する好例だと私は考えております。

 まず鎌倉時代の承久の乱ですが、大雑把に当時の状況を説明すると源平合戦を制した鎌倉幕府は一応武士の棟梁としての地位を固めたものの、東国はともかく西国においてはいまだ天皇家の勢力が大きくて全国的な支配者とはまだ呼べない存在でした。しかも折り悪く頼朝の息子の二代将軍頼家、三代将軍実朝ともに夭折し、執権を勤めていた北条家が幕府を指導していたものの支配者の正当性が揺らいだ時期でもありました。
 そんな時期に天皇家を率いたのは権謀術数で有名な後白河法皇が、「こいつならまた天皇家を盛り返す」と強く期待していた後鳥羽上皇でした。まだ議論はされてはおりますが私は後鳥羽上皇は初めから鎌倉幕府打倒を考えていたのではなく、源実朝が生きていた頃は真剣に公武合体、もしくは協調路線をとろうとしていたのではないかと思います。というのも後鳥羽上皇と源実朝は和歌を通じて交友があり、もう少し実朝が生きていたらまた違っていたのではないかと思わせる節が多々あるからで、それだけに実朝の暗殺はいろいろときな臭いのですが。

 話は戻りますが実朝が夭折した後の鎌倉幕府は当初は皇族から将軍を招き入れようとするものの後鳥羽上皇に拒否され、最終的には摂関家から呼び寄せます。そうした権力の空白期を狙って後鳥羽上皇は幕府追悼の院宣を出したのですが、西国の武士はもちろんのこと、この院宣には元々鎌倉幕府寄りだった東国の武士たちも大いに動揺したと伝えられています。いくらこれまで幕府に仕えてきたとはいえ天皇家の命令とあらばそちら優先せざるを得ない、そうして出方を決めかねている武士団を一挙に幕府方に引き寄せたのは言うまでもなく北条政子です。
 皆さんも知っておられるかと思いますが北条政子はこれまで幕府がどれだけ武士の地位の向上に取り組んできたことや、今ここで幕府を潰してしまえばまた元の木阿弥になると懇々と演説し、この政子の演説を受けて東国武士団は一挙に幕府方に馳せ参じたといわれます。また北条政子のほかにも実際に京都への討伐軍を率いた後に三代執権となる北条泰時もまた大した人物で、一旦は出陣するもわざわざ引き返して父親の二代執権北条義時にこう聞いています。

「もし上皇が直接兵を率いてきたらどうしましょうか」
「直ちに弓の弦を切り、鎧を脱いで降伏せよ」

 この会話が本当にあったかどうかはわかりませんが私はこの時の両者の会話は率いる武士たちを安心させるためと、戦後処理を見越した上での会話だったと思います。もっともまさか幕府が反抗してくるとは思わず上皇の軍勢はもろくも崩れ去り、院宣を出した後鳥羽上皇は、「側近が勝手に幕府を追悼しようとしたのだ」と言い訳をして早々に降伏を決めております。といっても、負けた後は隠岐に流されちゃうわけだけど。

 これに対して明治維新期の江戸幕府を率いた徳川慶喜はというと、確かにウルトラE難度の大技とも言っていい大政奉還を実行したことは大したもんですが、その後鳥羽・伏見の戦いに敗戦するや早々に兵を置いて一人で大阪から江戸に帰ったことは理解し難いです。これによって佐幕派の武士たちも「えぇ(;´Д`)」って思ったそうですし、当時の状況を見るときちんと大阪に残ってしっかり戦ってりゃまだまだいくらでも巻き返せたんじゃないかと思う要素が盛り沢山です。大政奉還を支持した土佐藩はもとより、当時最強のアームストロング砲を自作した佐賀藩(自作については現在疑問視されている)もこの時はまだ態度を決めかねて中立を維持していました。
 それこそ慶喜がかつての北条政子さながらに、「これは幕府が望んだ戦争ではなく、薩長が望んだ戦争である」などとギレン・ザビばりに叫んで、天皇家ではなく薩長と戦うのだなどと言ってりゃ薩長を恨んでる藩もいたと思うのに。そうは言いつつも、藤堂高虎に始まる津藩は史実通りに真っ先に裏切りそうだけど。鳥羽・伏見の戦いでは幕府側として出陣しておきながらいきなり幕府軍を砲撃する始末だし。

 私は組織というのは必ずしもトップの力で決まるわけじゃなく、むしろ日本人の性格からして末端の実行部隊の優秀さが優劣を決めると考えてはおりますが、いざという時のトップの力量の差は追い込まれた状況を決定的にしてしまうということをこの二つのエピソードは語っております。現在日本でトップというと管首相と東電の清水社長が槍玉に挙げられやすいですが、管首相はともかくとして東電の社長なんかどれだけ功績挙げても名前も顔もテレビに映らないのに対して、こう不祥事や事故が起きるや連日連夜報道されるというのはなかなか考えさせられます。あとどうでもいい私の推量ですが、地震発生から最初の数週間は清水社長は過労で入院していたとして表に出てきませんでしたが、私は実際には入院じゃなくて謝罪会見でのコンサルタントを受けていたんじゃないかと勘ぐってます。なんていうか、復帰後のお辞儀の仕方が様になっているような。

2011年5月6日金曜日

ビンラディンの死について

 大分時期が経ってすでに今更という感じもしないまでもありませんが、一応国際政治がメインのブログということもあるので記事を書かせてもらいます。すでに各所で報道されているように、先週日曜にニューヨーク同時多発テロの首謀者であり国際テロ組織アルカイダの首領であったオサマ・ビンラディンが米軍の特殊部隊によって殺害されたと報じられました。この事実はアメリカのオバマ大統領も正式に発表しており、また事件後にアルカイダらが「ビンラディン生存」との声明を発表しないことからほぼ間違いないものかと思われます。

 今回このビンラディン殺害のニュースを受けて真っ先に頭に浮かんだのは、恐らくイギリスに配慮して作戦の実行日を決めたのだろうということでした。というのも作戦が実行された前日土曜日にはウィリアム王子の結婚式があり、ロンドンでは王室へのテロを警戒して厳戒態勢が敷かれていましたが、仮に結婚式以前に殺害を実行していたらアルカイダなどからの報復テロがこの結婚式に向かう恐れがあるため敢えてこの結婚式の後こと翌日に作戦を実行したのだろうと私は考えました。
 この次に私が考えたのは、何故生け捕らずに即殺害したかということです。かつてのイラクのフセイン大統領の際は生け捕りにして裁判を実施したことを考えるとちょっと差を感じてしまいますが、突入時の状況と潜伏地がパキスタンだったということ、スパッと決めた方が後々の影響がいいなどという理由で恐らく始めから発見即殺害が命令されていたかと思います。現在このビンラディンの殺害について、彼は降伏していたなどや、抵抗をしていたからなどと正当性について議論されていますが、お互いそういう世界にいる人間同士なんだから殺す殺さないでいちいち議論するのはやや不毛な気がします。メキシコとかでは市民が死んでも一桁ではニュースにならないんだし。

 そうした雑感の上に今後のテロとの戦いはどうなるかという予想についてですが、これについては他の評論家もオバマ大統領も口にしているように今回のビンラディンの死はあくまで通過点に過ぎず、今後も厳しい戦いが続くかと思われます。さすがに指導者を失ったアルカイダは痛手は痛手でしょうが、もともとこういったテロ組織というのはトップダウンの号令一下で動くような組織ではなく細かい集団が寄り集まってそれぞれ個別に動くことが多く、実質ビンラディン氏も近年はあまり指示や指導をしていなかったとも言われております。すでに報復と見られる自爆テロが中東で発生しているように今後もアルカイダを初めとしたテロ集団の活動が続くでしょうが、ただそれでも象徴ともいえるビンラディン氏の死は米国にとって大きな成果とは言えるでしょう。

 それと多少今回の内容から少し外れるかもしれませんが以前に作家の塩野七生氏がコラムに書いてた話で、アメリカが何故他国から憎まれるのかというと他国への出兵とか独善的な態度などといったそういったものではなく、九割以上は世界で一番金持ちな国への嫉妬にあると塩野氏の知り合いが言ったそうです。それを引用して塩野氏は、そういえば東洋にも他国に散々ODAを払っておきながら全く感謝されないどころか、むしろそのODAを最大限享受している国から憎まれている国があると書き、ただお金を配るという援助の仕方ではかえって反発を生みかねないとまとめていました。
 時期にして約七年位前のコラムですが、実は今回の東日本大震災を受けて何故だか急にこの話を思い出した矢先でした。今回の震災を受けて日本は本当にいろんな国から援助をいただき、先人の行為がこうして返って来たのだと日本人として誇りに思うとともに援助をしてくれた国には深く感謝の気持ちを覚えたのですが、自分でも小汚く思いますが中国や韓国なんかはそれこそ日本が大打撃を受けたからこそ変な嫉妬をなくして援助してくれたのではないかと訝る気持ちもありました。それを推しても、感謝に絶えない援助であったことに間違いありませんが。

 嫉妬というと一般的には男女間で発生する感情だと思われがちですが、実際には同姓間の方が多いのではないかと思います。特に男の嫉妬は見苦しいことこの上なく、佐藤優氏なんかも外務省内の嫉妬の嵐には辟易したなどと何度も書いているほどです。私自身はこれまで嫉妬の対象となることはほとんどありませんでしたが、学生時代にお金がなくて食事にも事欠く有様だった頃にコンパに出かけるほかの学生を見た際には情けない限りですがそのようなみっともない感情を覚えたことがあります。
 もちろん嫉妬する人間の方が問題あるに決まってますが、多かれ少なかれそのような人間はどこにでも存在するもので、余計な恨みを買わないためには人に見えないところで贅沢をするというのは一つの選択だと思います。国際社会ではそれも難しいですが、お金があるように見せる援助は逆効果になりかねないことは肝に銘じておいたほうがいいかもしれません。それともう一つ、テロという言葉は英語のTerrorという恐怖という言葉が語源ですが、実際にはここで書いた嫉妬の感情の方が底深いんじゃないかなぁという気がします。

2011年5月5日木曜日

気になる物価

 日本での連休中は親父の相手をしていて、昨日になって久しぶりに自分の下宿へと戻ってきました。何人かから部屋の写真などをブログ上にアップして欲しいと連絡受けることがありますが、多分有り得ないと思うけど細かい住所とか特定されると後々面倒なのでまだ見合わせることにします。もっともそんな気にしなくとも、上海なら日本人が多いので特定の仕様がないでしょうか念のため。

 さてそういう復帰第一弾の今日ですが、あまり固いこと書いても仕方ないので最近の食生活について書こうかと思います。さっさと買えばいいものをまだ炊飯器とか買ってないので今のところはすべて外食で済ましていますが、普段よく食べに行くのはローカルの食堂で、大体11元(132円)の定食みたいなのを食べています。このほか7元(84円)のラーメンとかチャーハンとかあって、こういった話をするとよく日本の友人らからはそんなに中国の物価は安いのかと驚かれることが多いです。
 ただ中国の物価は確かにこうした食品とかインフラなど最低限生きていく上では安いことが多いですが、変なものが高かったりして消費する際には戸惑いを覚えることが多いです。たとえば地下鉄なんかは近い距離は片道3元(36円)で、昨年開通した時速350キロで走る高速鉄道こと新幹線で(やけに親父が感動してた)上海―杭州間だったら、片道は82元(1200円)です。

 こうした安くで消費できるものあればもちろん高いものもあるわけですが、最近自分が直接買ったもので心情的に複雑になったのはハーゲンダッツのアイスでした。なんとその価格は30元(360円)で日本で売っている値段と全く変わらず、三個買ったら新幹線にも乗れることを考えるといろいろ複雑になりました。同様にコーヒーもスターバックスや喫茶店で購入すると20元(240円)かかり、こちらもコーヒー一杯で一食食えると考えると果たして買っていいものかと悩んだりします。

 なお食事でもちゃんとしたところに行けばもちろん値段も上がり、中華系レストランでも20~30元は決して珍しくありません。むしろ私のように10元かそこいらで毎日食事しているほうが日本人としては珍しい部類に入るかと思います。では日本食レストランはどんなものかというと、最近自分が通っている焼肉料理店だと昼のランチは25~35元くらいでいろんなものの中から選べます。これはこれで確かに助かるものの、日本食というのだからもっと高くないのではないかと感じてしまう安さです。ただ吉野家についてはコーラとかがついて大体20元(240円)くらいで、なんか大差ないような気がしてあまり中国では食べる気がしません。