ページ

2018年7月30日月曜日

高台への意識

 昨日の記事で大企業しか経験してないから視野が狭いと指摘した名古屋に左遷されたうちの親父ですが、私が生まれる前、購入する住宅を選ぶ際にこんなことを言っていたそうです。

「津波が怖いから、浦安はやめよう」

 購入候補の住宅は二つありどちらも千葉県だったのですが、そのうち千葉県浦安市内の住宅については上記の判断から避け、当時としては浦安とは比べ物にならないくらいのド田舎だった、海抜が浦安より高い別の街で最終的に住宅を購入しました。親父曰く、「バブル期前だったが安い時期というわけでもなく、損得で言えばトントンの時期に購入した」とのことです。
 この住宅選びにおける親父の判断は結果的には正しかったです。東日本大震災の後、津波こそ直撃しなかったものの埋め立て地で地盤の弱かった浦安市では液状化現象が多発し、他の都市と比べてもインフラ復旧が大幅に遅れました。当時、この影響で地価や住宅価格も大幅に下落したと書かれていましたが、今どうなっているかはわからないものの、地震や津波へのリスクを中心に住宅を選んだという観点で言えば親父の判断はピタリと的中しました。

2年前に買った家が浸水 河川氾濫リスクは説明義務なし(朝日新聞)

 なんでこんなことを思い出したのかというと上の記事がきっかけです。内容は今回の西日本豪雨による河川氾濫で水浸し被害に遭った方を取り上げていますが、この中で「購入前にあらかじめこういう注意喚起があれば……」という嘆きの言葉が書かれてあります。
 確かに注意があるに越したことはないでしょうが、やはり注意以前に普段から災害に対する意識を強く持っておくことの方が重要ではないかと率直に感じました。単純に高台であればこうした水害リスクはほぼ回避できますし、また水害に限らずとも土砂崩れや地盤沈下など、おおよそ想定できるリスクに対しては地勢を見ることである程度のリスク計算と予防ができます。注意があったなかったと後から言うことは可能ですし、確かにないよりは注意があった方が親切と言えば親切ですが、言われなくとも自分で意識しなければならないという価値観というか心構えも必要なのではという風に感じたわけです。

 図らずとも、うちの家では親父の判断によって損失を抑えることが出来たわけですが、やはり慎重すぎると言われても、災害に対して普段から意識しておくことこそが予防と言えるでしょう。「災害は忘れたころにやってくる」と言いますが、忘れる頃にどれだけ意識してそれを普段の生活で行かせるかが、ある意味今後の日本の防災において重要ではないかと思います。

  おまけ
 東日本大震災の後、親父とこんな話しました。

「おう親父、俺が子供のころに配当目当てで東電の株こうたゆうとったけどあれどないしたん?」
「まだ持っとったんや……」

 こういうこともあるので、親父の判断は必ずしも信用していません。なおこの後に投げかけた慰めの言葉は、「まぁネタにはなるけどね……」でした。

2018年7月29日日曜日

忘れられない議論

 今をさかのぼること数年前、日本に帰国していた私は関西で友人と会っていました。その友人とは学生時代を含め散々議論をした仲で、自分が一番苦手とするタイプでした。
 単純な議論中の頭の回転の早さや論の鋭さもさることながら、議論のスタイルが私と真逆と言ってもいいタイプであり、私からすれば一番相手にする上で不利なタイプであったと言っても過言ではありません。具体的には将棋でいうと防御陣形を組立て一切自分から攻めてこない完全な防御型で、防御を完全に無視して攻めに特化したような私からすると、一撃で向こうを突き崩せなかったらもう後は負けるだけでした。っていうかこの友人、議論の途中で論点を敢えてずらす振り飛車戦術も、「それ関係ないでしょ」と言ってピシャリと封じてくる唯一の人間でした。

 そんな友人と久々に会ったその夜、なんかの拍子に話題が雇用、特に日本人が海外現地で採用される現地採用について触れたところから議論に発展しました。私が現地採用を代表してその権利向上を主張する立場となり、

・現地採用者は能力的にも本社派遣の駐在社員より高く、その勤務の貢献度も高いことが多い
・っていうか現地語しゃべれない社員はむしろお荷物
・にもかかわらず収入は駐在社員の数分の一、下手すりゃ十分の一

 であるという点を挙げ、離職率も高いことからもっと給与待遇を引き上げその地位を向上させる必要があると主張しました。これに対し友人は、

・安い給与で高い効率を求めるのは企業にとって当たり前
・あらかじめ契約時に提示した給与額で雇っているのだから不当ではない
・待遇に不満があるのなら辞めてもらって結構、また次の人を採ればいいだけ

 という反論を提示し、大体それぞれ三つの論点を軸に小一時間ほど議論し続けました。私としては自分が現地採用の立場で、逆に友人はどちらかというと現地採用者を日本から使う立場であったという立場の違いもあるから、認識が異なってくるのも自然だと考えていました。なので議論でねじ伏せるということより向こうの考え方を、「現地採用もたまには大事にしないとね」くらいにこっち側へ少し引き寄せられたらベターかと考えながら議論していました。
 段々と議論が平行線となり始め私自身も攻めあぐね感を覚え始めた段階、友人が「労働内容と給与が見合わないのは当然。会社は利益追求のために安く雇っているんだ」と相変わらず血も涙もない言葉を言った直後、言わないだけマシかと思って私が以下の言葉を口にしました。

「ならなんで使えない、働かないおっさんどもを日系企業は高い給与で大勢雇ってるんだ?」

 私自身はそんなに意識した言葉ではなくむしろ苦し紛れな一言に近かったのですが、これを口にするや友人の顔色は一瞬でリアルに変わりました。そしてしばらく口ごもると、「それは……確かに花園君の方が正しい」と、急に態度を軟化させて私の主張に傾きました。そして先ほどの労働貢献と賃金額の一致に関しても理解しはじめ、確かになるべく一致させるよう心掛けた方がいいという風に主張を転換してきました。
 正直に言って、私としても非常に驚くくらいの態度の変わりようで、それこそまた将棋の例でいうなら苦し紛れに手許の歩を置いたら投了を取ってしまったような感覚で、自分の意見が勝ったとかそういう実感は全くありませんでした。同時に、何故彼があの一言でひっくり返ったのかを直後から分析しており、恐らくそういう「おっさん」どもに囲まれ苦しんだ経験があり、その問題の深さをしっかり認識していたからこそあの一言で動いたのでしょう。さすがに直接指摘するのは非礼だと思え、その場で友人には指摘しませんでしたが。

 この議論だけでも十分忘れられない体験となったでしょうが、実はこの話には続きがあります。
 友人と議論をした確か二日後くらい、うちの名古屋に左遷された親父とも同じテーマで少し議論になりました。親父の主張も友人とほとんど同じであったことから内心、先の議論をなぞるような感じで敢えて議論を進めていき、最後の段階でまさに友人を揺り動かした一言を全くそのまま口にしたところ、「それは……確かにそうだ」と、ほぼ全く友人と同じように一瞬で態度が軟化しました。
 正直に言って、この一言に何故そこまで威力があるのか、使っている本人である私にすらいまいち実感がつかめませんでした。ただこの一言以前に、友人も親父も主張の仕方がほぼ完全に一致しており、「なんかのドッキリ?」と話しながら思うくらい似通っていました。だからこそ最後の一言で刺せるという確信もあり、時間を見計らいつつ狙っていた議論段階まで持ってきたところで出したので、将棋で言えば完全に読み通りの展開を再現した気分でした。

 親父との議論を終えた直後に私が何を考えたのかというと、「使えない高給のおっさん」以前に、何故友人も親父も全く同じ思考と主張を私に見せたのかという点です。結論から言えば二人とも大企業しか経験していないということが何よりも大きく、給与と労働貢献の一致、あと内と外の概念というかプロパーと中途採用者の見方が全く同じだったからではないかと思います。ついでに言えば働かないおっさんに囲まれていたのも同じでしょう。
 それ以前からも漠然と持っていましたが、やはり最初の新卒から大企業しか経験していない人というのはこの種の弱さを抱えているのではと強く感じました。具体的に言えば視野の狭さで、いくらか仕方がないとはいえ、自分の見える「大企業社員の生活」が当たり前の世界であり、それ以外の世界は存在しないという見方です。言ってしまえば現地採用者が給与が低いのも、彼らが自ら行った選択でありまた本人の努力不足と切って捨てるように見ていた節があります。そういう面も確かにないわけじゃないですが、努力をしていない人間が高い給与を得ることに抵抗を感じていた辺りはまだ友人も親父もまともで、だからこそあの一言で自分のスタンスが矛盾していることに気が付いたんでしょう。

 無論、大企業の人でも広い視野を持つ人もいないわけじゃなく、逆に中小企業しか経験していない人で視野の狭い人もいますが、こと社会全体の視野で言えば、中小企業勤務者の方がバランスがいいと私には思えます。理由は簡単で、大企業の世界は何もしなくてもメディアが報じ、その逆はないからです。
 内心、こういう職業における身分制に関しては自分は極度にバランスの取れた視野を持っていると自負します。私自身が現地採用でやや枠から外れた存在であることに加え、派遣業界調べたり、日中間の労働環境などよく比較しているだけに、それぞれの環境の違いについて体験込みで話すことが出来ます。ただこの場合、私の方がイレギュラーであるだけなので、結論としては大企業経験者は意識的に、自分たち以外の世界に目を向ける努力をしないと視野が狭くなりやすいというところを書いて終わりにします。

2018年7月28日土曜日

日本におけるGIANTブランドに関する疑問

 先日コメントでGIANTについて触れられたので前から疑問に思ってた内容を書きます。その疑問というのも、なんで日本ではGIANT製のフレーム使った自転車が中国より多くないんだろうかっていう点です。原因は中国と比べるとGUANT販売店が少ないからとかだと思いますが、家電量販店とか眺めてもGIANT、あとMERIDAのフレームはそんな多くなく、ぱっと見だとTREKが一番多い気がします。
 なんでこんな風に疑問に思うのかっていうと、世界の自転車フレームの大半は実はGIANTとMERIDAの二大台湾メーカーが作っているといわれ、細かい市場調査とかないけど下手すりゃシェア8割とか行くんじゃないかなと見ているからです。

 元々、自転車のフレーム作りと言ったらユーザーの多いヨーロッパが盛んだったと言われます。ただそれまでヨーロッパメーカーのOEMで作っていたGIANTなど台湾メーカーがどんどん技術力をつけていき、例えばパイプに高圧で油を流し込んで成形する生産方法なども彼らが確立させたと言われ、次第にヨーロッパメーカーでは作れないようなより速く走れるフレームとかも台湾メーカーがガンガン作るようになっていきました。
 これに焦ったヨーロッパメーカーは、台湾メーカーにしか作れないフレームをレギュレーションでレースから排除し、既に認定されていたタイムレコードまでも後出しのレギュレーションでなかったことにするなど露骨な妨害を行いましたが、時代の流れとともに台湾メーカー製フレームの性能がますます高まっていくと選手からも声が上がり、最終的にはこれら台湾メーカーをターゲットにした不公平なレギュレーションは撤廃されました。それと同時に、ヨーロッパメーカーのフレームは性能的にお話にならなくなって衰退していくこととなりました。

 こうした過程もあって、生産原価もさることながら単純に生産技術の差で台湾メーカーが自転車フレーム市場を独占するようになりました。台湾メーカーと言っても生産地は中国本土(大陸)にある工場がメインですが、何気に私が以前住んでいた江蘇省昆山市にも工場があって(すぐ近くにはシマノの工場もある)、地元ということもあってかGIANTの販売・サービス店は非常に多く、所属していたサイクリング部もほぼ全員がGIANT一色のワンオフチームでした。
 このGIANTですが先ほども述べた通りに元々はOEMメーカーで、現在ももちろんOEMをやっているというか、世界の自転車ブランドのほぼすべてを代理製造していると言われます。実際に店員から確認した限りでは米国の割と高級ブランドなスペシャライズドのフレームはほぼ全部GIANTが供給しているそうで、「向こうで買うくらいなら、性能は同じでもうちのが安いよ」とはっきり言ってました。

 スペシャライズドに限らず他の有名ブランドもフレームはGIANTまたはMERIDAが実際に生産、供給していると言われます。フレーム以外の他のパーツにこだわりがある、と言ってもブレーキ+ギアはシマノがほぼシェア100%でどのブランドも一緒ですが、フレーム以外を重視して選ぶというのなら他のブランドの自転車を選ぶのもまだわかりますが、実質的に自転車の性能はフレームでほぼ決まり、そのフレームで言えばGIANTかMERIDAしかほとんど作っていないことを考えるとどこのブランドが優れているかとかは実際そんなないんじゃないかと思います。それならば大本のGIANTで買ってしまった方が商流で経由する企業数から言っても一番コストパフォーマンスがいいように思え、私もそうした視点とメンテナンスの観点からGIANT製のDEFYってモデルに今乗っています。

 このような考えもあって、日本でGIANTブランドのロードバイクをそれほど見ないということにいつも不思議に思っています。もっともこれはGIANTがあまり日本で販売に力を入れていない、例えば中国では入門モデルとしてポピュラーなアルミフレームのOCRシリーズは日本では一切販売されておらず、並行輸入品か中古品しか出回っていません。
 私も以前にこのOCRの確か2600に乗っていましたが、悪くない自転車でした。でも日本では売っていないということで、やはり販売やマーケティングで他の国ほどGIANTが力を入れていないのが、日本全体でGIANTブランドが少ない理由かもしれません。

 なお私が今乗っているDEFYは4400元(約7万5千円)で三年前に購入しましたが、この前GIANTのお店行ったら何度かモデルチェンジが重ねられたせいか2500元(4万3千円)くらいで売っててちょっとしょんぼりしました。あとタイヤのチューブによって、やけに空気の抜け方に違いがあるのが気になり、この前パンクさせるまでは全然空気減らなかったのに最近は激しく減るため空気入れの手間が増えてちょっと嫌です。

2018年7月26日木曜日

あの社長は今……

スカイマーク元社長が初めて語る経営破綻の真相
耐震偽装のヒューザー元社長が太陽光発電に挑む理由(JBpress)

 上の記事リンクはどちらもJBpressの阿部崇副編集長のインタビュー記事です。どちらも、「おおっ、いたなそんな人!」と思うチョイスな元社長で、何故破綻に至ったのか、あの当時に何があったのかについて赤裸々に語ってくれています。
 特にスカイマークの記事に関しては急伸から一気に破綻へと至った過程がつぶさに書かれており、自分の中で今年読んだ経済記事の中でも間違いなく五指に入る見事なインタビューです。後者のヒューザー元社長も、冤罪であることは私自身も把握していましたが、改めて当時のデマが錯綜した状況を思い出して感慨にふけりました。

 この両記事に関しては、自分が書いている媒体だからといって贔屓にしているわけでなく文句なしに素晴らしい内容なので、興味があればぜひとも読んでもらいたいです。なおスカイマークの記事は冷凍たこ焼き大好きマンな友人に教えてあげたところ、「この西久保元社長について今までノーマークだった。教えてくれてありがとう!」とえらく興奮され、その後返礼とばかりにネット上に点在する西久保元社長関連記事が友人から大量に送られてきました。スチュワーデスのミニスカート云々を含め。

 なおこの阿部副編集長について鶴岡編集長へストレートに、「なんかすごいいいインタビュー記事出す人来たね(´・ω・`)」と振ったところ、今年から加入した新戦力だったとのことです。心なしか、YahooやMSNなどでもJBpressの記事がトップなどに取り上げられることが増えているように思え、媒体として割と勢いがついてきた気がします。
 その一方というか、はっきり言えば寄稿するライターの質が明らかに上がっており、私の書いた記事が前ほど簡単にランキング上位を得られなくなってきています。っていうか去年までは記事出したら公開当日はほぼ確実に1位を取ってたのに、今じゃプラモの写真を載せて軍事解説記事を仕立てるというあり得ない暴挙とかしでかさないとトップ取れなくなりました(´;ω;`)ウッ…

 ぶっちゃけさぁ、こうした立場になってみると、井の中の蛙でもいいんじゃないかとか思えてきます……。

2018年7月25日水曜日

ポスト安倍に待ち受ける負の遺産

 前外務大臣の岸田文雄議員はこのほど、次期総裁選には出馬しないとの方針を示しました。この発表を受けて一部メディアではあくまでも安倍総理からの禅譲(後継指名)を待つつもりとのことだが、決断が遅く怯んだ、臆したなどとやや批判の強いトーンで紹介していました。私は当初、そうはいっても出馬するかしないかは確かに悩むもんだからそこまで批判しなくてもと考えたものの、そもそも岸田議員は次期総裁選を睨んで安倍首相の懇願にもかかわらず前回の内閣改造で外務大臣の職を辞しており、あくまでも安倍総理の後継指名を目指そうというのなら何故そこで閣外を出たのかと思うようになり、改めて今回の不出馬発表は中途半端な態度だと思えてきました。
 まぁ優柔不断は宏池会の得意技ですが。

 ただこんなことを言っておきながらですが、ポスト安倍となる首相職はならない方が案外いいかもしれません。というのも安倍政権の負の遺産を丸抱えすることとなり、将来の歴史的評価が真黒くなる可能性があるからです。

 その負の遺産とは具体的に何かというと、数え上げたら切りがないですが一番大きなものは日銀が買える大量の株式です。他のメディアでも報じられていますが年金を運用管理するGRIFと日銀を合わせれば日系企業最大の株主となり、この2つが日系上場企業4社中1社の最大株主になるという国家総動員法も真っ青な状態と既になっています。仮に日銀が緩和政策の出口戦略でこの株式を手放したらあっという間に大暴落になることが見え、かといって手放さなかったら企業統治に緩いお国なことですから、企業の不正は増えイノベーション力が低下する可能性も少なくありません。
 この出口戦略ですが、本来ならもうとっくにやっていなければいけないものの日銀はやめるにやめられないものだから、さらに買い増しすると発表しており、多分最終的には2社中1社が最大株主が国という、国がほぼすべての日系企業を支配する時代が来ると思います。中国の国有企業やかつての国鉄とか見てたらわかりますが、この手の企業は基本腐ります。

 次の負の遺産ですが、端的に言って経済指標です。先日も投信30兆円誤計上問題が発表されましたが、やはり世間の反応を見ていると「わざとだろ」とみなす人が多く、私も同じ考えです。景気が上向いていると主張するために統計指標を弄った、誤計上をしりながら発表してきたように思え、実態の指標はもしかしたらもっと悪いのかもしれません。
 何もこの投信指標だけでなく、GDP成長率の数字もいつも私は怪しんでいます。理由としては予測値、速報値、確定値の乖離が激しいのと、「その他」という内実不明の数字割合が年々異常な包丁を続けており、はっきり言えば中国以上に操作されていると考えています。

 そもそもこうした経済指標というのは単体だけでなく、他の経済指標と一緒に眺めて初めてその価値が分かります。例えば先ほどの投信も、家計貯蓄高が年々減ってきているにもかかわらず何故か個人の投信投資額は増加しており、前々から怪しむ声は出ていました。同様にGDPに関しても体感景気は盛り下がっており、そのほかの指標もパッとしないのに「戦後最長の景気拡大」などと言われていて、違和感しか覚えません。私個人の体感でも中国で日本製品を買い求める人は自動車とおむつを除くと減っているように思え、それでいて何故このような数字が出てくるのかと思わずにはいられません。

 こうした負の遺産が、ポスト安倍の次期首相の時代に一気に爆発する可能性が高いです。そう考えると果たして座るべき椅子なのかと疑問に思え、泥をかぶるつもりがないのなら無理して追わない方がいいのではと今回の岸田議員の行動を見て密かに思いました。

2018年7月24日火曜日

何故中国に居続けるのか

 初対面の人に会うとほぼ確実に、「中国にどれくらいいるんですか?」と聞かれたりします。このブログをしつこく追っていけばわかりますが私の場合だと2010年末(実質2011年頭)から中国で働くようになり、2013年に1年ほど日本に帰ったものの、翌2014年には再び中国入りしてからはずっとこっちなので、単純に働いている期間で言えば6年くらいとなります。さらに北京の留学時代を加えるともう1年プラスとなるので、合計すると7年でそろそろ10年選手とかも見えてきました。
 正直に言えばこれほど長くいることになるとは当初考えておらず、それこそ最初は2~3年くらい修行のつもりでしたが、今現在だと日本に帰国することは全く予定に入っていません。何気にこの点も、「いつ日本に帰るの?」とよく聞かれて、聞かれるたびに( ・´ー・`)って気分になります。

 何故日本に帰らずに中国へ居続けようとするのかですが、定期的にこのブログでも書いていますが単純に日本だと仕事がないからです。
 私より実力のあるライターは私自身もはっきりと認識するほど確かに存在しますが、はっきり言えば世の中の大概のライターは私より実力はなく、多分一記事辺りのアクセス数とかでも私に勝てる者となるとかなり限られてくるでしょう。単純に中国語、英語の原文読んで資料集めて記事書けるだけでもレアですが、それ以上に経済からコラム、歴史にスポーツと書けるジャンルの広さで自分に勝てるライターも少なくとも私は見たことがありません。でも多分、日本帰ったら私に仕事くれるメディアはないんだろうなって思います。

 何もライター業に限らずとも通常の貿易事務とか営業、検査、リサーチ等も一通りこなせますが、これまでの転職が多くて異色過ぎる経歴と、見た目の大人しさから採用する日系企業は多分ないでしょう。また仮に採用されたとしても、パフォーマンスよりも社歴の長さが何よりも評価で重視される日系企業の中では自分の力はきっと発揮できないという確信があります。そうした要素を考えると、単純に生活面、パフォーマンスの発揮と向上面において中国で暮らしていく方が自分にはメリットが多いです。
 なおここだけの話ですが、今いる会社の在職期間が今月になって2年6ヶ月をついに突破し、自分の中で過去最高記録に到達しました。逆を言えばこれまで1つの会社に2年半以上いたことはなく、ほぼ2年ごとに仕事と人間関係をリセットし続けるというハードな人生を歩んできてました。

 こうした切実な理由もさることながら、自分が中国にいる理由としては別の理由によることの方が大きいです。具体的には中国の方が社会が変化に富んでおり、自分的には退屈しないということです。逆に日本は、これまたはっきり言えば社会が年々落ちていっているようにしか見えず、世論を見ていてもどんどん余裕を失っている上、政治議論も10年前と比較してなんでと思うくらいつまらない内容が増えてきました。そういった社会の居心地というものでも中国、まぁこれは上海だから言えるのだと思いますが、生活している分の楽しさがあります。
 仮に日本で暮らすとしたら、それこそ世間と隔絶した環境を本気で望みます。無駄に世の中に関わろうとしても労多くして得るものはなく、人間も多分自分の眼鏡にかなうような面白い人は上海にいる人と比べればいないだろうし、今ある人間関係の枠の中にいる方がずっと有意義に時間を使えると信じています。

 凄い上から目線の発言だと感じるでしょうが、やはりこのところ日本にいる人の話や議論を聞いていると、「なんでそんなことを気にするのだろうか」と本気で思うような、議論しても悩んでも意味のない話題ばかりが飛び出してくるケースが非常に増えてきています。敢えて例を出すなら、行動すれば済む話を行動せずに済ませられないかと悩んでいる人が多く、養老孟司風にいえば、体の世界がなく頭の世界の中だけで完結し切っているような印象を覚えます。単純に、口ばかり動かす人が増え、黙って手だけを動かす人が減っているのかもしれません。

 あとこれはかなり特殊な意見だと思いますが、中国の生活が年々快適になってきているのもい続ける理由に大きく貢献しています。それこそ10年前の中国だとネットも遅くて規制されているわ、施設やサービスの質も悪いわで生活における不便がひどくあったものの、経済成長とともにこうした生活上の不便はどんどんとなくなっていき、最近だとスマホ決済など日本にすらないサービスも普及して、非常に快適になってきています。最悪からのスタートだったということもあってプラスに感じてしまうわけなのですが、逆を言えば昔は生活面の不便から日本の生活がいいなと思うことも多かったものの、今はあらゆるサービスの発達によってそう思うことが中国においてすら減ってきています。
 具体的には漫画の電子書籍配信、ゲームのネット購入、VPNサービスによるネット規制迂回、便数増加による日本帰国費用の値下がり、スマホによるあらゆる中国国内サービス予約・決済・リサーチ等々。あとこれは私だけですが、あんま日本だと店舗数が多くないGIANTの店舗が中国には多く、パンク時などの自転車メンテナンスが中国の方が充実してます。っていうかなんで日本人はGIANTブランドの自転車にあまり乗らないのか内心不思議です。

2018年7月23日月曜日

投資信託の誤計上問題について

<投資信託>家計保有額、30兆円以上も誤計上 日銀がミス(毎日新聞)

 今日はブログ書く気なかったんですが上のニュースを見て激しく戦慄しました。内容はリンク先読んでもらえばそれまでですが説明すると、個人(家計)が投資信託に拠出している資金額に関する日銀の統計で、30兆円も誤計上があったとのことです。これがどういう意味かというと、投資信託を含む投資が活発、それも企業や団体ではなく個人でバンバン投資されているということは景気が上向いている兆候とされ、経済指標的にはプラスであることを示します。
 これまでこの個人の投資信託への拠出割合は上昇傾向にあると発表されてきましたが、実態はさにあらず、30兆円分が個人ではなく企業や団体拠出であったことが今回の調査で分かったとのことで、もうなんか自分でも書いててよくわかんなくなるくらいショックですが、端的に言えば個人投資は全然増えておらず、結果はむしろこれまでの発表と真逆だったということです。

 コメントとかにも書かれていますが30億円ならともかく30兆円もの計算ミス、それも数年間にわたり行われてきたなんて、それ自体があり得ず日本の統計事態に疑問を覚えます。明日のマーケットがどうなるかわかりませんが、影響なしとは思えず、また日銀はこの件についてどう責任を取るのか問われるでしょう。