前回に引き続き組織論の話で、今回は組織を構成する構成員の条件です。
条件なんかといっていますが、実際のところこれはあまり画一された基準はないと思います。むしろ、その調査対象の集団において、どのような役割が求められているのか、どのような人材が不足しているのかを検証するすることのほうが重要でしょう。
好例をだすなら、三国志の中の劉備と水鏡先生の中の会話があります。ある日水鏡先生と劉備が出会い、その際に水鏡先生から劉備の組織は力不足だと言われ、それに対して劉備は張飛や関羽といった武辺者に、孫乾やビジクといった文士と不足はないと反論しますが、張飛や関羽は非常に優秀な武将だが、彼らを上手く運用するような参謀に不足があると指摘され、これに劉備はドキッとします。そしてその指摘の通り、彼らを上手く運用する参謀こと、諸葛亮孔明を手に入れて劉備勢力は躍進する事になります。
このように、集団ごとに対症療法は違うのですが、それでもあえて小集団の中で見るとするならば、いくつか必要とされる役割を挙げていくと、まず必要なのは率先的に動く、行動力のある人材です。それこそ勇気と無謀をごっちゃに考えるような人間で、この手の人材がいると、たとえば決断が難しい局面や誰かがババを引く事になりそうな場面で状況が硬直することなく、集団の行動力がぐんと広がるので、私は非常に重視していると共に今の日本でかなり不足している人材だと思っています。
次に必要なのは、先ほどの人材に、「ちょっと待った」と言う、セーブ役です。歴史的な人物で挙げるなら、名筆家でも有名な唐の太宗の家臣、魏微がおり、この人は太宗の言う事にいちいち、「いや、それはダメです」と言ったそうですが、太宗はそれを聞き、本当にたった今決断した内容は正しかったのかと再考し、その上で採用する意見もあれば、却下した事もあったそうです。このように、一歩前に出た意見を押し止め、再考する機会を作る人材も一人は欲しいです。一見すると、この手の人材は日本人には多いように見えますが、実際には少ないと私は見ています。
この他、いくつか個人的に組織論をまとめていて必要な人材などまだまだいますが今回はそれは割愛して、最後に最も優秀な人材を挙げます。それは何かと言うと、何にでもなれる人材です。
前回の記事でも少し書いた官僚制ですが、基本的に強い組織というのは、構成員が何かの拍子で一人二人いなくなったとしても、すぐに代替できる事が前提にあります。そういう意味で何にでもなれる人材というのは、その時期その時期に組織が必要とする人材に自らを変化させられる人材という意味で、たとえばある時期には率先型の人材、ある時期にはそれを押し留める人材、またあるときには組織のリーダーにもなれるというような人材です。地味ですが、この手の人材ほど重宝する者はないでしょう。たとえそれぞれの人材としての能力が不足していても、いざというときのために一人は欲しい人材です。
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