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2008年9月16日火曜日

リーマンブラザーズ破綻について

 三年前のある日、後輩にこんなことを聞かれました。

「先輩、今一体どんな業種の会社が調子いいんですかね?」
「そうだなぁ。調子がいいと言えば自動車会社だろうけど、伸びているという意味では不動産証券化業界じゃないかな」

 この話を思い出すにつれ、この時自分はちゃんと勉強していたんだなぁと我ながら感心しています。当時、確かにこの業界は非常に伸びて、伸びて、そして去年になって一気に縮んじゃいました。不動産証券化業界というのは日本語で、英語にするならば即ち、サブプライムと呼ばれる業界です。

 今日は友人からリクエストがあったので、先日に破綻して今日はもう大騒ぎになっているリーマンブラザーズ社について書きます。本当は私などより別の友人のほうがこの問題にも詳しいのですが、まぁ情報を整理する意味合いで持てる情報と予測を書いてみようと思います。

 まずこのリーマンブラザーズ社ですが、テレビなどでも昨日から散々報道されていますが、かつてはライブドアによるニッポン放送買収事件の資金源となるほどこの世の春を謳歌したアメリカの巨大ヘッジファンドでしたが、同様にサブプライムローンの総元締めでもあったために去年のサブプラムローン破綻でとんでもない額の損失を出し、この度アメリカ政府に対して破産申告をするにいたりました。順位的に言うならこのリーマンブラザーズ社はアメリカの証券会社の中で四位に位置し、敢えて卑近な例で比較するなら、かつて野村、大和、日興と並んで四大証券会社と呼ばれた山一證券の位置に属し、山一證券同様に破綻したという構図になります。何気に、破綻理由が実体のない不動産価格上昇に乗ってしまった故の損失という点でも一緒です。

 次に破綻のきっかけになった理由ですが、報道されているのを見る限りアメリカの連邦準備理事会、通称FRBがリーマンブラザーズ社が公的資金の注入、いうなれば資金の救済を願い出たのを断り、また引き受け先としてリーマンブラザーズ社の買収を協議していた別の金融会社が救済をあきらめたという情報が入り、株価が下げとどまらなかったことが止めを刺したようです。
 それでこのFRBなのですが先週に、同じくサブプライムで大損失を食らった別の銀行会社複数には公的資金を注入しております。先週に銀行を保護したことから当初、市場関係者らは今回もリーマンブラザーズ社は救済されるだろうと見ていたようなのですが、現実はさにあらず見事に袖にされてしまったようです。この対応の違いについて確か日経新聞が書いていましたが、FRBはこれ以上公的資金の注入を行うことによるドルの下落を恐れたというのが原因ではないかと予想していました。確かにただでさえ下がっているドル価格なのですから、これ以上流すと下がることは必定でしょう。

 またまたこのFRB関連の情報ですが、やはりFRBとしてはこれ以上自前で金を出したくないようです。そこでFRBは米証券業界の一位と二位であるゴールドマンサックス社とJPモルガン社に対して他社を救済せよとハッパをかけているようです。それで早くも風評が飛び交っていますが、本当は書くべきじゃないんだけどこの次は米保険業界の大手であるAIGが破産する、もしくは買収されると言われております。風評を簡単に信じ込むのはどうかと思いますが、今回のリーマンブラザーズ社も先月辺りから危ない危ないと言われ続けてきているので、風評といえども今の状態では見逃すことはできません。
 また救済をするようにと言われているゴールドマンサックス社とJPモルガン社はまだ今期の営業成績を発表しておらず、実際にはこの二社も相当な損失額を計上するのではないかとも言われています。さすがにゴールドマンサック社は……と思うのですが、仮にこの二社までとんでもない損失額を計上していたらアメリカ経済はえらいことになりますよ。

 では、今回のこのリーマンブラザーズ社の破綻による日本への影響ですが、まさに太平洋を挟んでるからといって対岸の火と見てはいけないのではないかと思います。なぜなら、既に一部で報道されていますがあおぞら銀行を筆頭にいくつかの邦銀が相当額のリーマンブラザーズ社の社債を保持しており破綻のあおりを受けて損害を受けることが予想されています。また現在の日本企業で利益を上げている企業というのはすべて海外での取引によって儲け、国内では赤字という企業ばかりです。代表的なのはトヨタなどの自動車業界ですが、今後もアメリカ金融市場が混乱することによってドル価格は下落し、その分円高になるので輸出による儲けは全体的に落ち込むことは明白でしょう。
 どうでもいいけど、今年の五月くらいに日本の自動車業界で唯一マツダの株価が上がりました。なぜかというと、調子の悪いアメリカへの輸出が最も少ない日本の自動車会社だから(その分ヨーロッパへの輸出でマツダは成り立っている)というだけで、市場がどれだけアメリカに対して警戒感を持っていたかというのがわかります。

 私は今年の景気はオリンピック景気が終わることによる世界の工場たる中国の成長が止まり、中国を発端にして景気は後退するのかと思っていましたが、実際には逆でアメリカが原因で後退するに至りました。せっかく一時期は1バレル150ドルを超えていた石油価格が100ドル台、つまり三分の二まで戻ったのに、こんな風に景気が混乱するというのはなかなかに皮肉な結果です。アメリカ企業への投資はもう駄目だから再び金や石油に投資が集まるだろうという予測がありますが、私なんかはかえってこのタイミングで人民元とか買ってみたら面白いと思います。それにしても人民元も、四年前だったら日本で買うことできなかったのに時代は変わるもんだなぁ。

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