以前に私は「出版不況について思うこと」の記事の中で、質が下がる一方で値段は上がっていくという出版業界の経営努力の足らなさを主張しましたが、じゃあ一体どうすれば出版界を救えるのかという具体的な話を今日はしてみようと思います。
単純な話、やっぱり質を上げていくほかないと私は思っています。情報が氾濫している上にネットが発達して本が売りづらくなっているというのはよくわかるのですが、それでもベストセラーとなる本はやっぱり私も読んでいて面白い本が多く、「国家の品格」とか「鈍感力」は新品で買っても全然損したとは思いませんでした。やっぱりそういう風に考えると、いい本はなんだかんだ言って売れるので出版社側もいい本を出す努力をやるべきだと思います。
とはいえ、そんな具合でいい本が片っ端から作れて行けば苦労はないわけで、それ以外の方法をいくつか検討してみたいと思います。
まずこれは以前に立花隆氏が言っていたことですが、この際本の値段を今の三倍くらいに引き上げて、本の所有それ自体が教養を持っていることを強く示す高級(ブランド)品のようなものにしてはどうかと提言していました。もちろん広く知識を共有するためにこの方法は立花氏もあまりいいものではないとしながらも、出版界が生き残るための一つの手段として挙げていました。
そうした立花氏の意見に対し、私が考える手段というのは情報の制限、独占というやり方です。
実は出版不況の中でゲームの攻略本というのは確実に利益の出せる非常においしいジャンルとして今もあり続けているそうです。普通に考えるのならばゲームの攻略情報こそネットで氾濫していて本として売る必要があるのか疑問符がつきそうなものですが、実態はと言うと「パワプロ」や「スパロボ」の攻略本に至っては複数社から販売されながらもきっかり利益を出すほどで、現実にどこの本屋でもこの攻略本コーナーというのは大きな一角を占めていることが多いです。
それで何故攻略本が売れるかですが、この理由は恐らく情報の制限が行われているからだと私は考えています。昔はともかく今のゲームの攻略本には設定資料やオリジナルイラスト、製作者からの裏情報などただゲームをプレイしているだけでは手に入らない情報が盛り込まれていることが多く、実際に購入する側もそうした情報を目当てに買っていることが多いように見えます。特にシナリオが難解な、私が昔やってた「バロック」とか今やってる「サイレン」なんてそうした攻略本のシナリオ解説がないととてもじゃないけど消化不良でシナリオが理解できずに終わってしまう可能性が高いです。
この攻略本のように、流通する情報を制限する、もとい「その本を買わなければその情報が絶対に得られない」という状況を意図的に作り出すことが、出版不況を脱す一つの手段ではないかと私は考えます。それこそ一番エグいやり方を使ってもいいのなら本に載せている情報をネット上なり他の雑誌なりで公開された場合、片っ端から訴訟を起こすのもこの手段の一つです。そのほかある分野の情報に対して徹底的に競合他社を排除して、談合なりで一部の本や雑誌でしか公開できないようにするのもありかもしれません。
ここまで自分で書いてて暴論だとは思いますが、この情報の制限についてはこのところよく考えてしまいます。私自身このブログで書いてて、果たしてこれだけ加工した情報をただで公開していいものなのかとか、逆にマイナーな情報をネットで見かけた時、こんな情報をただで得ていいものかと思ってしまいます。
ある本の作者が、現代人は情報に対してお金を払って得るという意識がほとんどなくなってしまっていると言っていましたが、これはこれで私も問題な気もします。特にこれは若い世代に強く言いたいのですが、やっぱりいい情報を得ようと思うのならそれだけお金をかけねばいけません。お金をかければ必ずいい情報が得られると言うわけではありませんが、現代人はもうすこし個々の情報に対して価値を持つべきではないかと強く感じます。
>現代人は情報に対してお金を払って得るという意識がほとんどなくなってしまっている
返信削除これはある程度はインターネットがいけないのではないかと。そこで無料で(電気代などは考えない)そこそこの情報が拾えてしまうと情報にお金を払おうとは思わないですからね。
雑誌→新聞→本の順番で苦しくなっていくのではないかと言っている人がいましたが、新聞が一番苦しいのかもしれません。
うん、まさにinoさんの言う通りです。だから攻略本のイラストや設定資料のように、ネット上では手に入ることのない制限された情報のある分野ならまだ出版はやってけるんだと思います。
返信削除そういう意味で、やはり一部の情報はネットでの公開を制限するのも手なんじゃないでしょうかね。