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2009年1月29日木曜日

中国脅威論の現実化

 恐らくあまり中国について専門的に研究しているという方でなくとも、「中国脅威論」という言葉を一回くらいは聞いたことくらいはあると思います。この中国脅威論の元ネタは実は日本で、それも防衛大学の教授が現状の中国の国軍こと人民解放軍はまだそれほど脅威ではないが、もし今のペースのままで増強が続けられた場合は将来お大きな脅威になると言った事から生まれました。
 そうして生まれた中国脅威論という言葉ですが、実際に使われている回数が多いのは実は日本以上にアメリカで、主に軍関係の幹部が中国脅威論を強調しては自分とこの部署の予算獲得の方便としていました。しかし実際にはそうした予算をふんだくる連中を含め、人民解放軍は世間で言われている以上に実力はないという認識は学者や関係者などの間で一致していました。

 これは大分前の文芸春秋の記事で書かれていた内容ですが、人民解放軍は確かに兵数こそ二百万を越え、準軍隊の武装警察などを含めると三百万人という大所帯ですが、この人数は実際には有り余る失業者や食い詰め物対策の公共事業的な要素が強く無理やり雇っている数で、鄧小平の時代には百万人もの削減を行ったに飽き足らず今でも幹部らはこの多すぎる人数を減らしたいと考えているそうです。
 それで肝心の兵装ですが、実は主力兵器は日本と同様に戦車で、こと海軍の艦船ともなると質、量ともに他国に劣り、潜水艦に至っては音が大きいので日本領海に入ってくるたびに簡単にばれてしまっています。聞くところによると実際にはニュースにならないだけで何度も領海侵犯しているそうですが、日本、米国側としてはそのほとんどの行動を監視しているそうです。

 そして一番人民解放軍で致命的だったのは、実は空母を持っていなかったということです。先ほどの記事によると中国には確かにミサイルや兵数といった高い攻撃力こそ保有しているものの、目標地に上陸して占領するための艦船や空母が存在しないため、たとえ台湾と戦争が起こったとしても屈服させることは出来ず、米国の補助がつけば勝利することすら難しいと分析し、先ほどの主力兵器が戦車ということとかけて、「人民解放軍こそ自衛隊である」と分析していました。
 言われてみて私の方でも調べてみましたが、記事に書いてある内容は確かに真実で、いざ戦闘が起きたとしてもこと防衛だけなら日本の自衛隊でもそこそこ対応できるのではないかと私も考えるようになりました。

 しかし先々週あたりの朝日新聞の一面記事にて、「中国、空母の建艦に着手」と書かれた見出しを見るに至り、いよいよ脅威論が現実化したかと私も見方を変えさせられるに至りました。これ以前にも中国は去年にフランスからお古とはいえ古い空母を払い下げてもらっており、近々自前でも空母の建艦に入るだろうといわれていましたが、ここまで動きが早いとは思いもよりませんでした。
 これを受けて先週の朝日新聞の社説には、ここ数年で中国はそれ以前と比べて大分軍事予算の情報公開を行うようになってきたと前置きした上で、それでも未だ非公開の部分が多く、今年も前年比二桁増しの予算の上に自前で空母の建艦も始めようとしていることは非常に問題のある行動だと指摘し、極東アジアの平和維持のためにも今以上の情報公開が必要であるという主張が書かれていました。あまり空母建艦のニュースが流れない中、なかなかよくまとめている上に警鐘を促している立派な社説です。

 よく2ちゃんねるの人たちは朝日新聞は中国の悪いニュースを報じないと批判しますが、逆に私はなんでこの中国の空母建艦開始のニュースがあまり報じられないのかが凄い気になります。他紙は今はチェックしていないのですが他は当時どうだったんだろうなぁ、朝日の言う通りに、極東アジアのパワーバランスが一気に崩れかねないほどの重大なニュースだと私は思うのですが。

4 件のコメント:

  1.  政治的な発言力が大きくなるのは、防げないかもしれませんが、中国が空母を完成させるまでに十数年かかるとして艦載機をSu33にしているのなら、こちらも対戦闘機戦に強いF2がありますし、それまでにより強い戦闘機を開発し、配備する可能性が十分にあるので戦力的には脅威にはならないと思います。

     個人的にはF2よりもSu33のほうがすきなんですけど。。。エースコンバットでSuにはほれ込みましたから。超かっこいい。

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  2.  さすが玄人、お詳しい。
     やっぱり理想は国産戦闘機の開発でしょうね。いくらお金がかかるとしても、アメリカから馬鹿みたいな値段で買わされた挙句に生殺与奪権も握らされたままというのはあまりうれしくない状態です。
     しかし日米の秘密協定によって、戦闘機、もとい航空機の国産開発というのはどうも禁止されているようです。だから三菱重工などの民間が作ったりしていますが、まずはこの辺りからどうにかする必要がありそうです。

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  3. 中国は実質志願兵だけで軍隊が成り立っているというのを聞いたことがありますが、まさか200万人もいるとは・・・さすがですね。

    しかし空母を建設するといっても、今のところ建造予定はたったの2隻ですから、そこまで脅威になるのですかね?

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  4.  最近はうまくやっているけど、近くの台湾にだったら二隻でも十分攻略能力を持つことになるのではないかと思います。何より今後も軍備拡張していく第一歩と考えるのなら、今のうちにあれこれ非難して動きに歯止めをかける必要があるのではないでしょうか。
     ま、確かに現段階ではまだそれほどでも脅威ではありませんね。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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