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2009年2月4日水曜日

天下りをどう防ぐか

 昨日、前日に官僚の天下りは内閣として認めないと発言した麻生首相がそれでは不十分との自民党からの指摘を受け、今後政令で天下り禁止を盛り込むとも明言しました。過程はどうあれこの一連の麻生首相の発言は評価できますが、今更になって認めるのならば渡辺氏の造反前に何故認めなかったのかが少し不可解です。
 それはともかくとして今後、一体どんな風にして公務員の天下りを防ぐかですが、その話をする前に天下りがどのような弊害があるのかをちょっとかいつまんで説明しておきます。

 まず一番多い天下りのパターンというのは、省庁からその省庁と結びつきのある特別行政法人など、税金で運営されている団体へ官僚が移籍するパターンです。たとえば厚生省からだと年金を管理する財団やら行政法人、国土交通省からだとETCの販売を促進する変な行政法人などといった具合に、次官コースから外れた官僚たちは50歳になったくらいから続々とそのような団体へ天下っていきます。
 ここで繰り返しておきますが、それらの団体は別に商売をして自分でお金を稼いでいるわけでなく、大半が国からの税金によって運営されています。そんな団体に突然官僚が代表やらに降りてきたかと思うや、何もしないまま二、三年したらまた別の団体へ行ってしまいます。ですがその二、三年の勤務で、なんと数千万円もの退職金を得て、移った団体でもまた二、三年したら同じように数千万円もの退職金をもらって次々と渡って行きます。くれぐれも言いますが、それらの退職金も国民の税金から出て行きます。

 これだけでも毎年数百億もの税金の無駄使いがあるので十分な弊害なのですが、そもそもそのような天下り先の団体自体が官僚が退職金を受け取るためだけに存在しているところも多く、その運営にかかる費用も大半が優先度の低い部門だといわれており、その分の費用をまとめると毎年数兆円に及ぶ無駄遣いがこの天下りという日本独自の制度(中国にはありそうだけど)によって使われているといわれています。

 そんなわけで百害あって一利なしのこの制度ですが、天下りを守る側の自民党守旧派の議員からすると、そのようなうまみがなければ優秀な人間は国のために働いてくれないと言うのですが(前に麻生首相も同じことを述べている)、民主党の議員らも言う様に、そもそもこんな天下りにたかろうとする人間が国のために本気で働こうとするのか疑問です。私自身もこんなあからさまな不正をやるくらいだったら、能力は多少少なくとも真面目に働いてくれる人の方が何十倍も官僚として優秀だと思います。
 またこれも民主党の議員が言っていましたが、東大の学生が官僚に就職を希望していながらも、天下りがあるから入りたくないと言っていたという話もあり、なにもこんな天下りがあるから優秀な人が集まるという保障はどこにもないといっていいでしょう。

 この辺までの議論はよくテレビでもやられていますが、こういうのは行政法人、いわば省庁の中での天下りですが、私はこれら以上に根深いと思っているのは私企業への天下りです。
 私企業、それこそ誰もが知っているような大企業に対しても公務員の天下りは頻繁に行われています。前ほどはおおっぴらにはやりませんが、かつて倒産した山一證券に至っては頭取職は東大出、大蔵省OBでなければなれないとまで言われているほどおおっぴらでした。

 なんで私企業に官僚が天下りが出来るのかと思われるかもしれませんが、これなんか土木関係に多いのですが、官僚をその企業の役員などに天下りさせるかわりに国の公共工事などの発注がその企業に向かうように仕向けるという、いわば国の税金で官僚を私企業に押し込むという形で天下りが行われます。この行為で何が問題なのかというと、競合入札などせずにいきなり業者を指定するのだから工事や発注にかかる費用が明らかに通常より膨らみ、また市場の競争をさえぎって恣意的な選定が行われるために市場がゆがむ恐れすらあります。
 実はかくいう私の親戚も、えらく昔ですが通産省から若くしてSONYに天下ったと聞いています。その後はSONY一本で長く働いていたそうですが、私の友人にこれを話したらSONYは学歴は問わないが天下りは受けるのかと大爆笑してました。

 そんな話はおいといて具体的に天下りをどう防ぐかですが、現在政府が考えているのは内閣の下に官僚専用の人事局を作り、そこで省庁の退職後の再就職が不正なものかどうかを監視するという案を出しています。現状ですぐに実行できる案としては確かに効果の望めそうな案で、また退職後の再就職だけでなく全省庁の人事権も握らせることによりこちらも弊害の多い縦割り行政を打破する可能性も秘めており、私もこの案を支持します。
 しかし私が懸念しているのは、後で説明した私企業への天下りがこれで完全に防げるかどうかです。というのも行政法人の人事は内閣で把握こそできるものの、普通に退職した後に表面上は面接などの正統な手続きを経て天下り先の企業へ再就職こと天下りをした場合、国からの発注をエサにされてその天下りする官僚を人材として「要請」された場合にそれは不正だと果たして摘発できるかどうか、またどこからどこまでが天下りなのか基準もはっきりしません。

 それこそ本当に利害関係なく退職後に私企業に再就職するのは悪いことだとは言えませんが、どうもそういうのを隠れ蓑にしていろいろ官僚はやってきそうに私は思います。じゃあ公務員は退職後に再就職を全面禁止、もしくは数年間禁止にするとしたら、自己都合での退職者などは苦しい生活に追い込まれてしまいます(公務員に失業保険はない)。
 ここら辺がネックだと私も前からあれこれ考えていたのですが、先月辺りのテレビタックルで北野たけし氏が面白い事を言っていて、

「いっそ公務員を天下りさせずに、派遣にしたらどうだ」

 冗談のようで、なかなか面白い案だと思いました。
 内容はこうです。私企業が本当の意味で優秀な人材を自社に迎えたい場合は新設される内閣人事局に必要な人材の条件とともに申請を出し、その申請内容を受けて条件にマッチする人材を企業に選ばせずに人事局が選び、複数の候補者から再就職先として声をかけ、それに応じる人間をその企業へ派遣するという具合です。もちろん民間にあわせて、その私企業から元官僚への給料の30%位は国がピンはねすることによって国庫にもプラスとなります。
 この方法だと派遣という形を取るので、一旦再就職した元官僚が将来また元の省庁へ戻ることも出来ます。もちろん元の省庁に戻ることでまたなにかやらかす恐れもありますがその辺はまだ監視できる範囲だと思いますし、なにより真の意味での官民での人材交流が行われ、浮世離れしているという官僚の組織文化を修正するのにはいい薬になるのではないかと思います。

 そういうわけで天下りから派遣へ、というのが私の私案です。

2 件のコメント:

  1. そもそも天下りをする人間がいるというのが日本人の恥ですよね。
    天下りをしている、私たちが生きてきたよりずっと年上の方を真っ向から批判したところで「小僧が!」と言われるのでこのような現状の対策を練ることは大変重要であると思います。
    それと同様に今の小中高大生のようなまだ何も知らない若いひとがそうならないようにすることも同じくらい重要です。
    「ならどう教育するの?」という具体的な案は浮かんでいませんが。

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  2.  一番手っ取り早いのは見せしめをすることじゃないでしょうかね。それこそ天下りをした人間を厳しく追及し、社会的制裁を強く見せ付けながら与えることで、後進の世代にもこうしたことはよくないと言うのを教えられると思います。
     なんだかんだいって今の日本の若者は、世間で言われているほど無分別ではないと私も考えています。まぁこんなえらそうなこと言いながら、この前調子の悪かったFAXを殴り壊しちゃったんだけど。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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