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2009年4月30日木曜日

何がいいマンガなのか

 今もCDを流して作中で使用された「Crazy for your love」という曲を聴いていますが、私はしげの秀一氏の「頭文字D」というマンガが大好きで単行本も集めて持っております。このマンガにハマった理由を話せばいろいろと笑えるのですが、中国の留学中にやけにあちこちでこのマンガのアニメDVDが正規版、海賊版を問わずどこでも売られているのを見て、なんで中国人がこのマンガにハマるのかと試しに日本に帰ってきてから読んでみたところ中国的な要素が強い私もすっかりハマってしまったというわけです。

 その後うちの親父にもこのマンガを薦めてみたところ一緒になってハマり、二人で買うんだったらランエボかコペンかとまで話し合うくらいになったのですが、親父はこの「頭文字D」よりも同じ作者のこれ以前の作品である「バリバリ伝説」を若い頃読んでいて、今回「頭文字D」を読んであの時の興奮を思い出し、お袋に内緒で(すぐにばれたけど)オートバイクを購入して現在も広島で乗り回しているそうです。もっともちょっと前にバイクからすっ転んで鎖骨を折り、ソニー損保が思ってた以上に保険金くれたからお袋は「もう一本折って来い」と親父は言われてたけど。

 しかし改めて考えてみると自分と親父で年齢差は三十年以上あるのに、同じマンガにハマるというのもなかなか珍しいものです。ただ「頭文字D」は舞台設定がスタート時は90年代中盤だったということから読者層は比較的年齢が高い層が主らしいですが、自分の周りの同年代の友人も読んでいる奴は読んでいるのでストライクゾーンが広いマンガといえばそんな気がします。ちなみに友人と私はエボⅢを操る須藤京一が一番好きです。

 実はこの読者の年齢層ですが、私はこれがマンガの良し悪しを見極めるのに非常に大きな指標だと前から感じています。よく何がいいマンガかどうかを決めるのかという議論があり、作品の内容だとか面白さ、もしくは画力だとかいろいろと挙げられますが、私は一言で言えば、「どれだけの範囲の読者を引き込んだか」というのが単純で最も重要だと思います。
 例えば誰もが高く評価してやまないマンガの神様である手塚治虫のマンガ郡ですが、「鉄腕アトム」や「ブラックジャック」といった作品は私が子供だった頃に読んでも面白かったですが、成人した今になって読み返してみると子供だった頃とは違った読み方が出来て、あの時とは別の感覚での面白さを覚えました。

 このほか近年の作品だと「ドラゴンボール」や「クレヨンしんちゃん」(こっちは特に映画版が)など、子供から大人まで幅広く愛されるマンガは間違いなく名作だとして高く評価されます。この読者を選ばない魅力というのが、私はマンガの作品としての質を測る上で最も重要だと考えています。逆を言えばどれだけ一部の層から熱烈に評価されても、非常に限られた狭い層にしか評価されないというマンガはやっぱり全体的な評価としては低く見積もるしかないんじゃないかと思います。実際、そうしたマンガというのは忘れ去られるのも早い気がするし。
 でもそれを言ったら、「究極、変体仮面」は今もアスキーアートが作られるくらいだけどなぁ。

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