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2009年5月14日木曜日

出版大手、ブックオフ株取得について

 なんか先週はブログを書くのが非常に億劫でして、そうした気分が反映されてか当時の記事を改めて読み返してみるとなんか文章がひどいのばっかなのですが、今週に入ってからは徐々にやる気を取り戻し、一昨日辺りから文章表現にも改善が見られてきたので一安心してます。

大手出版連合、ブックオフ株取得の狙いは?(MSNニュース)

 そういうわけで本日は出版大手三社が中古本販売業最大手のブックオフの株式取得に動いているという、それこそ今後の日本の出版市場を占う上でも大きなニュースについてです。
 さすがに出版業界に知り合いはいないので直接話に聞いたわけではないのですが、伝わる限りの情報だとやはり出版会社からするとブックオフは親の敵のようにまで思われているらしく、実際に漫画家や作家の方らも公然と批判する人が数多くいます。何でそんなに憎いのかってこれはいわずもがなですが、安価で手に入ってしまう古本屋が全国チェーンでこれだけ多く展開しているせいで本が出版される傍から中古市場に流れ、消費者も新品より安い古本を選ぶようになって販売数が減り、売る側の出版会社からするとそれがそのまま売り上げや利益の減少につながってしまうからです。中には、近年の出版不況の最大の原因がこのブックオフだとまでいう出版界の人までいます。

 おそらく今回の出版大手のブックオフ株取得の目的は、こうした古本の流通を制限するという目的があって行われていると思います。以前にも中古ゲームの販売を巡ってソフト会社と販売店との間に90年代に何度も法廷闘争が起きており、出版会社と古本会社のこうした争いはいわば宿命的なものといっていいでしょう。実際に作家の方の中にはブックオフの販売振りでは出版会社は採算が取れないとまで言う人もいるほど苦しいらしく、今回の出版会社の実力行使とも取れる行為に対して私も特段卑怯なことだとは思わず、業界を健全に成長させていくにはやむを得ないかと多少の理解はできます。とはいえ株式の取得後、出版会社がどのように出版業界、ひいては日本人と本の関わりを作っていくかというグランドデザインをまだ何も示していないというのは少し残念ではあります。

 実際に株式の三割も取得すれば大きな株主総会で大きな議決権を得ることになり、それこそいきなりブックオフに古本業を廃止させることだって可能です。しかし以前にも「出版不況について思うこと」で私が書いたように、昨今の出版不況はブックオフの存在よりも本の質の低下やむやみやたらな値上げの方が原因的には大きいように思えるので古本をなくせば一気に問題解決に至れるとは思えず、ただでさえ少子化で読者層が縮小してくのだからそういった点についてもなんらかの姿勢を示すことが重要なのではないかと思います。

 たとえば私個人の意見を挙げるのならば、発売から三ヶ月とか半年と期間を決めてその期間の間は古本の販売を一切禁じるかわりに新品の本の価格を今より少し値下げする、ジャンプコミックスなら現在420円のところを400円にするなど、利益を互いにある程度維持しながら読者が大きく不利益を被らないようにする方法などを出版会社と古本会社で一緒に作っていくべきだと思います。肝心なのはこうした協議を一般にも広く公開して、なおかつ読者層をどう拡大するのかという視点を持って取り組むことです。非公開でやればそれはそのまんま談合になってしまいますが、業界全体で健全な成長を図るのであれば協議の公開を原則としてこうした協定を結ぶのは私は問題ないと思います。自分たちだけのパワーゲームで古本のありなしを決めるより、知識の育成に関わる本というものを扱うゆえに読者のことを念頭において今後の業界のあり方を考えてほしいです。

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