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2009年5月17日日曜日

刑事裁判における心神耗弱による免責について

 昨日友人とこの頃私がよくハマっているスカイプで会話をした際、昔に話したことのある話題を敢えて取り上げてみました。その話題を話したのは確か五年前だったと思いますが友人もよく覚えており、今回もまた盛り上がったので一つ今日はその話題について解説しようと思います。その話題というのも、刑事裁判において免責理由となる心神耗弱についてです。

 私の専攻は社会学ですが昨日話した友人は法学部の出身で、大分以前に日本の刑事裁判の仕組みについて簡単に説明を受けました。日本の刑事裁判というのは基本的には、「どう犯罪者を更正させるか」という方法を考える裁判であって、被告人を更正させるのに三年間が必要と判断されれば懲役三年が判決され、具体的な期間が定まらないほど難しいと判断された場合は無期懲役、そして更正のしようがないと判断されれば死刑が判決される、というような建前で行われているそうです。

 しかしこうした判決は被告人が一般的な物事が理解でき、更正するための教育を受けられる責任、理解能力があることを前提に下りるようになっています。そのためいわゆる心神喪失状態の人間などは、たとえ犯罪を犯しても更正を行うことが出来ないとして極端な場合だと無罪判決が下りることもあるそうです。またこれに準ずるものとして犯罪時に著しく心神が衰弱、もしくは耗弱しているなど失調をきたしている場合は、正常な判断でその犯罪を実行したものとみなされず罪が減刑されることもあるそうです。

 実際にニュースなどで裁判の模様が報道される場合に十年位前から、「被告は犯行当時心神耗弱状態にあり……」という弁護人の説明をよく聞くようになりましたが、私はというと元から大の心理学嫌いということもあり、そんなうさんくさいもので刑罰が減免されるなんてどこかおかしいんじゃないかと前から思っていたので、五年前のある日にその友人に話してみました。するとその友人がなんで最近の裁判でこれほどまでに弁護側が心神耗弱を陳述で述べるのかという理由について、以下のように教えてくれました。

 まず殺人などの凶悪犯罪の場合、一般人の感覚からしたら犯人の犯行時の心境は明らかに常軌を逸している場合が多く、そうした状況に心神耗弱という理由をつけやすいために弁護側はこのところ率先して弁護理由に挙げるようにしているそうです。なおかつこの心神耗弱を減刑理由に挙げたとしても弁護側は裁判にて何も不利になることはなく、それが通りさえすれば被告の減刑は果たせるのだから言うだけ言ってみようととりあえず使う弁護人が多いのではと言っていました。

 実際に私の目からしてもこのところの裁判では明らかに心神耗弱とは言えなさそうな犯人にすらもこれを弁護理由に挙げる弁護人ばかりで、そのたびに犯行時の犯人の精神状態が裁判にて争点になっては裁判が無駄に長期化しているのではないかとこのところ思います。ただでさえ判決が下りるまで時間がかかるといわれる日本の裁判において、それこそ全然精神がしっかりしていた犯人に対して無理やりにまで心神耗弱を弁護理由に挙げられる様を見せられると、一市民として犯人もろともそうまでして減刑を勝ち取ろうとする弁護人らに対し、それが彼らの仕事なのですから仕方はないのですが腹立たしさを覚えます。

 しかもこれはこの前にテレビで見た話ですが、こうした心神耗弱を判定するには専門の精神科医が約一ヶ月もかけて判定せねばならず、なおかつそうしてまで出した結果は精神科医によってまちまちで一致しないことも少なくないそうです。なので無駄に裁判を長期化させないために、明らかに心神耗弱が疑われない場合においてそれを弁護理由に挙げた場合には、被告や弁護人に対して一定のペナルティを与えるなり一定の基準を設けるなりしててでも、こうした無秩序な心神耗弱の乱用に終止符を打つべきではと素人ながら思います。

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