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2009年8月6日木曜日

随意契約の裏にある無駄遣い

 現在選挙も真っ只中ということで政策論争がかまびすしく行われてきていますが、その中の恐らく最大とも言っていい論争の種は政策に必要な財源の目処でしょう。この点はよく民主党の提唱する政策が槍玉に挙げられ、マニフェストには子供を持つ全世帯に教育費を支給し、生活保護費も拡充し、農家の賃金保障も引き上げるとは言うものの、果たしてそれらのばら撒き政策を実行するだけの財源はどうするかとよく批判されております。赤字いっぱいの現状の予算で、しかも消費税は据え置きのままでどうこれらの政策を実行するのかと問われると民主党は、「現状の歳出の無駄を省くことで捻出する」と主張していますが、まぁ都合がいいといえば都合のいいことを言っている気がします。もっとも民主党に負けじと自民党が出したマニフェストも、はっきりとした財源の根拠も挙げることなく教育費補助の拡充を謳っていることからどちらも五十歩百歩ではありますが。

 結論から言えば、どれだけ無駄を省くことによって歳費が浮かせられるかが現状でははっきりしないのはまだ見逃すにしても、現在主張している政策を実行するのにどれだけの費用が必要なのかをはっきりと出していない時点で、私は民主党が今主張している政策を実現することは出来ないと考えております。ちゃんと世帯別の人口などを計算すれば、相当厳密な額まで必要な予算は計算できるはずなんですけどね。
 とはいえ、全く以って民主党が主張している財源こと「歳出の無駄遣い」に裏づけがないというわけではありません。そこで今日はどんなところに国の無駄遣いがあるのか、その最たる例の「随意契約」というものについてタイミングがいいので解説します。

 通常、官庁ら公共団体が物品を購入したり何かしらの建設工事を発注する場合には「競争入札方式」といって、複数の民間企業らに受注価格を提示させてその中で最も安い価格を提示したところへ入札するようになっております。これは国民全体の税金を使うという観点から法律上でもはっきりとこの競争入札方式を取るようにと明記されております。
 しかしここまで言えば分かるでしょうが現実にはさにあらず、数年前にNHKが真珠湾級の大戦果となったスクープで暴いた事実によると、当時の環境省の発注のなんと八割近くがこの競争入札方式を取らない随意契約方式で契約が交わされていたのです。

 この随意契約というのは、本来は官公庁の発注には競争入札を行わねばならないところを非常に機微のある内容だったり、技術的な面などで他の業者に任せられないという場合にのみあらかじめ発注先を官公庁が指名できる特別な発注方式のことを指します。具体的にどんなところでこの随意契約が使われるのかといえば、まずはなんといっても防衛省の軍事関係です。この辺は国防上からもいろいろと表に出来ない内容もあり、また技術的な面でも他の業者には漏らせない内容が多いために必然的に多くなってきます。本当かどうかはわからないけど。

 しかしこれが環境省ともなると、しかも全発注の八割近くも随意契約になるのかといえば全く以って理解できません。しかもその中の発注にはトイレで使う調度品だったり、机とかのOA機具も含まれており、明らかに競争入札で発注すべき内容ばかりでした。
 それにも関わらず何故これほど多く随意契約が行われたのかといえば、それは一言で言えば天下りが元凶であるとしか言いようがありません。かいつまんで説明すると、本来存在する必要のない団体を天下り先を確保するために官僚は片っ端から作っていく一方、官庁に残った者たちは自分たちでその団体へ本来必要のない発注を行い、さも業務を行っているかに見せて採算を取りつつその存在の正当性をアピールするのです。

 そんな一例として、先日に東京都内の道路下に大きな落盤を引き起こしかねない空洞が見つかったのですが、実は去年にも同じ場所で同じ調査が行われていたもののその空洞を見過ごしていました。その際に調査した団体というのが、まさに国交省OBの天下り先団体で、契約もまた随意契約でした。

環境省の総合評価方式で「1者応札」7割…「随契」隠しの指摘も(産経新聞)

 そして今日、これはmsnニュースですが良く出来たスクープなので産経新聞の名前をちゃんと載せておきます。このリンクに貼ったニュースはNHKのスクープによる批判を受けてその後随意契約を減らしたものの、その代わりに「総合評価方式」というまた胡散臭いものを環境省は利用して、競争入札に一社しか応募できない状況を自ら作り、随意契約と全く変わりがない入札をまだ続けていたということを報じているニュースです。それにしても、公務員もよくこれだけ悪知恵が働くなぁ。この前後輩に久々に連絡したらそいつも公務員になってたけど。

 もう一度言いますが、この随意契約というのは天下りとセットで効果を発揮する無駄遣いです。これまで自民党の暗部を担ってきた政治家らはこの随意契約に自分の支援者をかませることで公務員と結託してきましたが、もしこの部分に環境省といわず全官公庁にメスを入れることが出来たら、私は相当な額の予算を浮かせることが出来ると思いますし、またそうして真に民間企業へ競争入札が開かれることで経済の活性化にもつながると考えています。民主党はこの随意契約についてこれまでにもはっきりと、重点的に洗いなおすと主張しておりもし本当にそれが果たせるのなら、それで全部の財源が保証されるとは思いませんがある程度は用意できると私は見ています。

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