数ある魅力的なキャラクターが登場する「ドラゴンボール」において、私が最も好きなキャラクターはと言われれば亀仙人をまず第一に挙げます。ピッコロさんも捨て難いけど。
別にドラゴンボールに限るわけじゃなく、どの漫画作品でも主人公らからちょっと距離を置いて見守り助言する後見人とも言うべきキャラクターは非常に貴重でもあり、かつ物語を盛り上げる上で重要な存在だと私は考えております。その中でも白眉とも言うべき、かつ他の作品においてもこの手のキャラにおける一種のオリジナルパターンになったのがこの亀仙人だと私は思います。
作中の詳しい亀仙人の活躍はここで細々説明しませんが、武天老師と言われながらも普段はスケベジジイそのままの行動と発言で、そのくせ実力は物語初期においては最強というものだから当初からそのギャップに強く引きつけられました。確かこれは「ヘルシング」の作者である平野耕太氏がイラストとともに、スケベジジイというキャラクターを確立させたのは亀仙人だろうとコメントしていましたがまさにその通りでしょう。
そんな亀仙人ですが、子供の頃はそうでもなかったけど年を取ってから読み返してみて当時とは違った見方になった場面として、ピッコロ大魔王との直接対決のシーンがあります。
この場面では悟空が死んだと勘違いし、最早ピッコロ代魔王を止められるのは魔封波を使える自分だけだと天津飯とともに向かいますが、それでももし自分が敗北した時のために戦闘の直前に麻酔薬で天津飯を動けなくさせた上で亀仙人は一人で挑みます。
この悲壮な決意もむなしく結果的には亀仙人は敗北してしまいますが、その姿は物語り当初にあったスケベジジイの姿は一切なく、後事を若者に託した上で自分の命と引き換えにしてでも戦いを挑んで死亡する顛末は今こうして読み返すといろいろな思いが湧いてきます。
このピッコロ大魔王戦の後は亀仙人には目立った活躍はなくなりますが、個人的に今思うとすばらしい演出だったと思うのはアニメ版のドラゴンボールの演出で、アニメの次回予告時のナレーションは代々の亀仙人役の声優が勤めていました。改めて考えるとドラゴンボールの次回予告ほど未だにはっきり覚えている予告シーンはなく、なんでそれほど印象が強かったのかと言えば予告のナレーションが亀仙人という後見役とも言うべきキャラクターの声優だったからではないかと今思います。
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