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2009年9月20日日曜日

阪神、藤川球児選手について

 それは2005年のある日のことでした。その日もいつも通りに自宅で夕食を終えて何気なくテレビを点けると、ちょうどよく阪神戦の中継が流れていました。テレビ横のパソコンで作業を進めながらちらちらと見ていると、八回阪神守備の場面にて投手が投げた球に妙な違和感を感じました。

「シュートか、今の球?」

 見た感じでは非常に早い速球ではあったものの、球の軌道が見慣れたストレートのような直線状とは言い切れない何かぐにゃりと曲がったような違和感を感じ、わずかに変化する変化球のシュートを投げたのかと直感的に私は思いました。

 しかしその後にテレビに表示された球速は150kmを超えており、なおかつ球種もストレートとされました。となるとさっきの球は私が横目で見ていたから何かの見間違えかと思って見ていた次の球も、先ほどの球同様に速球でありながら妙な軌道を描いてキャッチャーミットに収まり、またもテレビ画面には「ストレート」と表示されます。
 誰だ、この投手は? と、思って興味を持ったのが、もはや野球ファンであれば知らない者は皆無といってもいい、現在私が一番贔屓にしている球界を代表するクローザーの藤川球児選手との出会いでした。

 この藤川選手へ抱いた私の第一印象はある意味間違いではなく、女房役の同じく阪神の矢野選手に、「伝説のストレートを今受けている」と言わしめるほど藤川選手のストレートは群を抜いているといわれています。そのストレートの質は現役に限らず日本球界史上でも過去最高の物とも言われ、「魔球と呼ばれるストレート」、「火の玉ストレート」の名に恥じず、ストレートで三振を奪っていけるのは現在藤川選手位だろうとよく聞かれます。
 この藤川選手のストレートについては上記にリンクを貼ったウィキペディアの記事にて詳しく解説されていますが、他の投手と違って人差し指と中指をくっつけて投げるゆえか、ボールの回転軸の傾きが進行方向に対してほぼ0に近いため、打者からすれば「浮き上がってくるような」と言わしめるストレートを投げれているのではないかとされております。

 私が何故藤川選手が好きなのかというとこの特別なストレートもさることながら、各場面ごとの藤川選手の人となりや見せ場が私の琴線に触れるというのが主な理由です。
 なんでも親父さんが草野球でノーヒットノーランを達成した日に生まれたもんだから、これで野球選手にならなければ一体どうしたもんかという「球児」という名前をつけられたそうですが、その名に恥じず松坂世代の一人として阪神に入団するも、当初はなかなか芽が出ず引退すら考えた時期もあったそうです。

 そんな中でもくじけず練習を続け、それこそ2003年の阪神優勝時にはほとんど名前の出てこなかったにもかかわらず2005年のシーズンに彗星の如く現れ、「阪神、恐怖のJFK」の一角としてそれ以前の記録を打ち破る最多登板記録と共に最優秀中継ぎ賞を受賞する活躍に、当時は胸を大きく躍らされました。
 特に圧巻だったのは2006年のオールスター戦において、前代未聞のストレート宣言をした上で見事にカブレラ選手、小笠原選手を三振に取った場面で、その後もここぞというところではストレートにこだわって打者を抑えていきます。たまに打たれちゃうけど。また今シーズンにおいては先月に今期初めて試合に出場してきた巨人の高橋由伸選手に対し、全球ストレートで勝負をして見事抑えてくれました。

 藤川選手にかぎるわけじゃありませんが、私も一応日本人の端くれなだけに、不遇な時代を苦労して乗り越え大活躍する人物には非常に好感を持ちます。入団から五年間を経て活躍するようになったこの藤川選手はもとい、ロッテの渡辺俊介選手も同様に好きな選手の一人です。
 本来スポーツというのは白熱した試合を見せると共に、その選手一人一人の努力の過程を見せることも一つのドラマだと私は考えております。そうした意味で、こうしたエピソードなどを野球に詳しくない人にももっと広く知らしめられればとこのごろ思います。

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