以前に書いた「武田邦彦氏の講演会ににて」の記事の続きです。
前回の記事では私が質問した原子力発電についての武田氏の回答が中心でしたが、この時の講演会では肝心要の環境問題の欺瞞性がやはり中心で、その中でも現在武田氏が現在教鞭を振るっている名古屋の都市計画についても触れられておりました。
何でも現在武田氏は名古屋市長の河村たかし市長の諮問会議のメンバーとなっていて、名古屋の今後の都市計画についていろいろと河村市長と共に計画を練っているそうです。最初にもう書いてしまいますがこの講演会にて武田氏は終始河村市長のことを持ち上げており、国会議員を退職する際には退職金を一部返納し、また市長に就任後も、「金を稼ぐのは市長を辞めてからだ」と言って市長報酬も一部返納している例などを挙げて褒め称えていました。武田氏がこのように誉めるのも現在河村市長の側に立っているからとも取れますが、河村市長については私も市の公用車を使わずに電車通勤しているという話を聞いており、お金の面では以前から非常に高潔な人間だと評判だったので武田氏の話に相違はないと思います。
それで現在武田氏らが進めている都市計画なのですが、一言で言うと「冷房の要らない都市づくり」だそうです。この冷房の要らないという意味は何かというと、武田氏が従来から主張しているように夏場に冷房が必要なほど日本が暑くなるのは温暖化が原因ではなく都市部におけるヒートアイランド現象によるもので、今後の名古屋の都市づくりではそのヒートアイランドを軽減、さらには逆行させる案を練っているそうです。
具体的な案としてこの講演会で武田氏が挙げていたのを出すと、以下のようになります。
・コンクリートを掘り返してなるべく土の地面を出す。
・暗渠となっている川を掘り返す。
・空き地に木陰となる樹木を多数植える。
などだそうです。
この中で私が聞いてて、一番反応したのは二番目の暗渠となっている川を掘り返す事です。実は私はこれ以前にも別の勉強会にて川が都市部の中を流れる価値について話を聞いており、日本で実行するところはないものかと以前から考えていたからです。
それで都市部に川が流れると一体どうなるかですが、まずデメリットとして自動車用道路の渋滞を誘発しています。仮に川の上にコンクリートを張るとその上は地面同様に走れるようになり、橋を渡る必要もなく自由にどこからでも左右両岸を渡れるようになります。こうしたことから日本の各大都市では高度経済成長期に片っ端から川を暗渠で埋めて行き、東京に至ってはかつて誇られた江戸水系も見る影もないほど埋められていきました。
これに対して川が暗渠ではなく地表に現れていた場合はどうなるかですが、まず第一に大きな好影響として周囲の気温を下げる効果があります。地面と違って太陽熱の吸収率が低くて反射率も高いため、水の近くだとなんとなく涼しく感じられるように都市部に川があると実際に周囲の気温を下げ、そのままヒートアイランド現象の抑止につながります。またこれに加え、水面は空気中の埃を吸い付けるので空気の清浄化にもつながると言われております。
このような理由から暗渠となった川を再び掘り返す事業をやろうとしているのは何も名古屋市だけでなく、実際に実行してしまった大都市もあります。相当にこの方面に詳しかったり過去の報道をそうそう忘れない方ならもう察しがついているでしょうが、その事業を行った地は他でもなくお隣韓国のソウル市で、その推進者は現在では大統領にまでなってしまった李明博氏です。
詳しくはリンク先のウィキペディア内にても書かれていますが、李明博現韓国大統領はソウル市長時代に本当にソウル市内のど真ん中を道路として走っていた清渓川の暗渠を取り除き、生態系や環境に貢献したとしてソウル市民だけから出なく世界の環境団体からも高く評価されました。恐らく河村氏もこのエピソードを知ってたら、「わしも同じ風にやって首相になるんじゃ」とでも言ってそうですけど。
ちなみにこの清渓川については私が以前に出た勉強会でも触れられており、この暗渠開削によって商売に悪影響の出るとして反対していた周辺商店住民が開削後にやはり売上げが落ちたとして本音ではあまりうれしくはないものの、ソウル市全体や市民の視点で見れば開削してよかったのではという感想が紹介されていました。
私は一時期京都市内に住んでいましたが、やはり京都の環境で何がよかったのかといえば四方を取り囲む山々と市内東部を走る鴨川でした。特に鴨川周辺は小さな河原となっており、夜になれば出町柳周辺で同志社の連中のカップルが大挙して出没したりするなど一部鼻持ちならないところもありましたが、休日ともなれば親子連れが遊んでいたりと全般的には市民にとって非常よい憩いの場となっています。確かに鴨川の西と東で道路が寸断されるために三条京阪周辺がしょっちゅう渋滞にこそなるものの、そのメリットに比べればあの程度は小さなデメリットだと私は感じました。
このような思いは何も私だけでなく古くから京都に住む人達も同じで、鴨川の反対側に位置する、こちらは現在暗渠となっている堀川について暗渠とさせてしまったのは失敗だったとよく述べていました。私も出来る事なら、多少のお金はかかっても京都市は堀川を再び開削して欲しいものです。
武田氏はこのような元からある自然を活用して冷房の要らない都市づくりを計画しているそうです。武田氏によるとこのようなことが出来るのはお金のある今のうち、更に言うなればすでに弱り始めているけどトヨタがお金を落としてくれる今のうちしかできないとして、数十年後に石油がなくなって冷房が使えなくなった東京や大阪を横目に名古屋だけがせせら笑うのを夢見ているそうです。いちいち例の出し方や話し方が本当に面白い人です。
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