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2010年9月5日日曜日

小売業での主役交代について

 この頃市井で気になっている事として、電器販売店のデパート化があります。一番デパート化が激しいのはヨドバシカメラを始めとした都市圏の巨大電器販売店で、全国規模でも石丸電気やヤマダ電機などもこの類に属します。このデパート化というのはどういう意味かというと、単純に専門とする営業品目以外にも幅広く商品を扱うようになってくるという事です。

 近年、大丸や三越、伊勢丹といった老舗のデパートらはどこも営業が苦しくて店舗の閉店が相次いでおり、私も一時期、といっても入って買い物をした事はそんなに多くないですが、京都の真ん中にあって街の大きなベンチマークとしてあった阪急デパート四条河原町店が先日に閉店したというニュースは正直にショックを覚えました。ちなみに京都市内でいえばそれ以前に京都駅前の近鉄百貨店も閉店しており、私が始めて京都に居を構えた頃と比べると随分と姿を変えているような気がします。さすがに大丸は居続けていますが。

 話は戻って電器店のデパート化についてですが、具体的な例を挙げるとヨドバシカメラ秋葉原店が一番分かりやすいです。秋葉原という場所はそれまで電気街口方面の賑わいに対して駅の反対側にある中欧改札口方面は控えめな場所であったのですが、こっち側にヨドバシカメラが新たな店舗を作ってから人の移動も徐々に変わり、現在に至っては電気街口に勝るとも劣らない人の入りとなっています。
 ではそれだけ人の流れを変えたヨドバシカメラ秋葉原店の中身はどうなっているかというと、ほとんどの階には通常通りのパソコンや家電といった商品が置かれているのですが上位階に行くと本屋や飲食店のテナントが入っており、そのほかの階にも旅行者向けのスーツケースやスポーツ用自転車などと、何で電器店にこんなものがと思わせられる商品が数多く置かれております。

 これはなにも秋葉原に限らず同じヨドバシカメラでは大坂の梅田店もほぼ同じような感じでしたし、また同じく都市圏に主に進出しているビックカメラでもいろんな物が売られています。さらにヨドバシカメラもビックカメラもこのところ店舗進出が相次いでいますから、今後もこの傾向に拍車がかかるだろうと予想できます。
 これに対して全国の主に郊外に店舗を出しているヤマダ電機や石丸電気はどうかというと、こちらもおおよそ電器店には似つかわしくない商品が置かれているのがこのところ目立ち、試しにヤマダ電機の通販用ホームページを見てみたら「ブランド時計」、「花、酒」といった商品分類がされています。

 ここでそもそものデパートの定義とその成り立ちについて考えてみましょう。
 デパートは「そこに行けば何でも買える物がある」と言われた様に、分野にとらわれない多品種の商品を扱っている販売店を指していると一般的には言われております。そんなデパートの成り立ちはというと大正期に先ほど挙げた老舗デパート店が出来始めたのが日本での成り立ちと言われ、これら老舗デパート店の本業は大丸や伊勢丹、三越など元々は呉服屋でした。その後阪急や阪神、近鉄など鉄道会社もデパート業に参入して大体ここまでが老舗デパートと呼ばれる区切りですが、その後バブル期にはダイエー、イオン、イトーヨーカドーといった企業が現れ彼らは老舗デパートと分けるために大型スーパーと呼ばれましたが、衣料品、食料品、雑貨など幅広く商品を扱っている事から広義では大型スーパーも十分にデパートと呼べるかと私は思います。

 一気に流しましたが、こういったデパートの変遷というのはそのまま小売業における主役の変遷ではないかと私は考えており、近年は電器販売店が徐々に主役になりつつあるのではないかというのが私の考えです。簡単にその変遷をまとめると、

  高級衣料品販売業→食料品、日常衣料品販売業→家電販売業
 =老舗デパート店→大型スーパー店→電器販売店

 ではこれから電器販売業の企業が大きくなっていくのかと問われるならば、私は必ずしもそうだとは思いません。元々小売業自体が競争の激しい分野であっていくらでも下克上が起こる業種でありますし、元来薄給激務と言われる職場が近年のワーキングプア問題さながらに飲食業と並んで何かと勤務待遇に問題が多いとよく聞きます。実際に風の噂で小学校時代の同級生がこんな不況期にもかかわらず、四年目でビックカメラを辞めるそうです。

 恐らく今後しばらくは家電販売店の力が増していきどんどんとデパート化していくことでしょうが近年は驚くくらいの早さで勢力図がどんどんと塗り替えられていくので、十年後にはまた別分野の小売店が主導権を握っているかもしれません。
 ただ老舗デパートについて言えば、個人的な体験から言っても今後日本での展開は辛さを増していくだけだと思います。何故そう思うのかというと、私は北京、上海の繁華街(王府井と南京路)をそれぞれ見てきましたが、はっきり言って日本の繁華街と比べても欧米などのブランド店の進出が多く、客層の高級品嗜好も日本とは比べ物にならないと感じました。これは見方を変えると、一時期にあった日本人のブランド狂いも落ち着きを見せて実用嗜好が高まったともいえるので、あながち悪いことではないでしょう。

  おまけ
 郊外系家電屋は親子連れがよく訪れることからこの頃はゲームやおもちゃをどこもよく取り揃えているように感じます。実際に私も先月買った「ランサーエボリューションⅤ」のプラモは石丸電器で購入しましたが、模型屋自体が少なくなってきているこの世の中なのでこれはこれでありかと……。

  おまけ2
 京都時代に私が一番通ったのはアルバイト先に近い近鉄百貨店で、よくバイト帰りにテナントで入っている本屋に寄っていました。ただ四条にある大丸について言うと私の通っていた大学によく短期バイト募集をしていたので、何度か応募して物産展の補助スタッフをやってました。物産展があるたびによく出入りはしていましたが、まさか中国に一年間留学して帰ってきてからまた応募した際、大丸の担当の人が電話口で私のことを覚えていたのはちょっと驚きました(;´Д`)

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