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2011年2月22日火曜日

中東での革命の連鎖について

 このところ連日報道されているように、中東諸国において革命を求むデモが起こり次々と政権が崩壊しております。初めはチュニジアにて起こり、その後エジプトにて長く軍事政権を続けてきたムバラク政権が崩壊し、そしてついにはリビアにおいて数十年にも渡って独裁を保ち続けたカダフィ大佐にすらも引退を要求するデモが起こり目下内戦のような状態へと発展しております。正直に言って、チュニジアでデモが起こった当初にこれほどまで大衆運動が波及するとは誰が予想したでしょうか。デモがエジプトにまで波及した際は現在のエジプトの経済状況が悪かったことから多少は仕方ないとしても、リビアこそが独裁国の代表ではあるものの比較的豊かな国だけにこちらまでは波及しないだろうという予想をあちこちで見受けましたが、私もそういった情報から判断するに恐らくエジプトでこの大衆運動は止まるのではと見ておりました。
 それにしても革命というものはこうも波及するものかと、かつてトルーマンが社会主義のドミノ化を恐れたというのも今こうして現在になって見ると理解できるような気がします。

 一応国際政治を専門と掲げてはいるものの、実は中東の情勢については私はあまり詳しくないのが本音です。元々日本は中東諸国とは距離もあることから交流が少なく、ホメイニ氏によるイラン革命の頃まではビジネスライクな関係で紐帯が強いわけではないものの貿易量が多く、親しくないもののお互い利益を分かち合うような関係でした。特に革命前のイランはプロ野球選手のダルビッシュ選手の父親を初めとして数多くの留学生が日本にやってきていたようで、90年代中ごろまでは東京都内の至るところで見つけられたそうです。そのせいで一時社内のあだ名が「ビンラディン」だった中東系の顔しているうちの親父は当時はよくイラン人に間違えられたそうですが。

 そういうわけでちょっと今回の一連の事件を契機に勉強をして見ようかといろいろ、特にエジプト関係を中心に調べて見たのですが、やはり中東史を語る上でははずせないのは中東戦争です。この戦争については一般的にはアラブ諸国対イスラエルという二次大戦後のこの地域における領土問題だと一般的には教えられていますが、改めて調べて見るとそれ以外にスエズ運河をめぐる英仏とエジプトの争い(第二次中東戦争)も含まれており、その最中に頭角を現した各軍人らが後に国の最高権力者となるくだりなどを見ていると現代に直結する歴史であったのだと、自分の不学を嘆く羽目となりました。
 個人的に気になった人物を挙げるとエジプトにおけるムバラク大統領の一代前の、イスラエルと電撃的和解を行って暗殺されたアンワル・サダト元大統領が一番興味を引きました。このほかは中東戦争で活躍してその後首相になり、殺人者とまで呼ばれたアリエル・シャロン元イスラエル首相とかかな。

 それで今回のこの革命について一つ予想というか分析を行うと、正直なところはこの辺に詳しいだろうカイロ大卒の小池百合子氏の意見とか聞いてから判断したいのですが、やはり今後もしばらく革命の影響が中東に及ぼすのではないかと思います。特にこれはすでに言及されていますが、これまでのエジプトのムバラク政権は比較的イスラエルに対して和平的であったのですが今度成立するであろう新政権はイスラム主義色の強い政権が予想されており、親パレスチナを掲げてイスラエルと衝突する可能性が高いといわれております。
 またその一方で、これまでそうしたイスラエルとの対立ゆえに軍人出身者の多い政権で運営されてきた各国は今後民主化の波を受けて非軍事政権が新たに作られる可能性があります。それはそれで歓迎したいものの、その間の混乱を縫ってこの地域に多く潜伏する国際テロリストらが暗躍して経済や国家体制により大きな混乱を生み出す可能性も全く否定することは出来ません。

 特に日本にとって一番懸念しなければならないのは、今日の東証でも影響が出たように原油価格の高騰です。かねてからドバイやカタールなどは近年の原油高を受けて高層ビルが数多く建設されるなど原油バブルが起こっていると指摘されてきましたが、今回の革命の余波を受けてそのバブルに歯止めがかかることもありえ、その一方で原油の輸送などが止まって世界はますます原油価格が高騰し、多方面に大きな影響が及ぶことも考えられます。
 ただあまり心配をしすぎるのも問題なので、やや距離のある日本としてはこの歴史的一大事に立ち会えるのだと考えてしっかりと見ておくというが一番必要なのかもしれません。私自身も小学生の頃に何度も、「後三年早く生まれていれば」とソ連崩壊に立ち会えなかった(生まれてはいるが意識して見ることは出来なかった)のを悔しがったことがあるだけに、こうした大きな革命劇を見る世代に入れたのは幸運だと感じております。

 最後にこの革命とアジアについてすこし書いておくと、タイでも先年にタクシン政権が崩壊して以降はなかなか政治が安定しておりません。まぁ今回の中東の革命とは無関係なのであまり影響はないでしょうが、それ以上によくこの手の話題に上ってくるのが今私がいる中国です。
 中国も距離が離れているとはいえやはり気になるのか、どうもあちこちでピリピリしているそうです。そのためか昨日の報道によると街中にいた日本の外交官を何かのデモに参加していると勘違いして一時拘束したそうですが、日本側が抗議するやあまり大事になってもらいたくないのか素直に認めて謝罪までしてきました。普段が普段なだけに、こうも下手になってくるとかえって気味が悪いです。

 もっとも中国は今のところは右肩上がりで、またこのところのこちらの主要な話題となっている各都市における最低賃金についても経済界からの反発を抑えて地方政府らは大きく上昇させるなど底辺の労働者対策も全くしていないわけではないので、中東の影響は恐らくないかと私も思います。
 こんな風にリビアも言われながら、今のような状況になってることを考えるとあまり口を開くべきではないかもしれませんが……。

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