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2011年6月26日日曜日

素顔同盟の思い出

 突然ですが、「素顔同盟」という短編小説はご存知でしょうか。
 この小説は中学校などの国語の教科書に引用されていて恐らく私と同年代の方なら誰もが呼んだことがある作品だと思いますが、あらすじを簡単に説明すると、人間は喜怒哀楽を表情に出すから争いが絶えないわけでみんなして笑顔の仮面を被って生きるのが当たり前の世界に疑問を持っていた主人公はある日、仮面を脱ぐ素顔同盟という団体があることを知り、その所属員らしき女性の素顔を見て仮面を脱ぐ決心をするというストーリーです。

 この話を何故唐突に持ち出したのかというと、これまたちょっと時間がたっていますが下記のニュースを見たことがきっかけでした。

訃報:すやまたけしさん60歳=作家(毎日新聞)

 今月十二日、この「素顔同盟」の作者であるすやまたけし氏が死去しました。
 このニュースを受けていろいろ思い出すところがあったのですが、実はこの作品に関しては一悶着というか、妙な思い出があってその他の教科書引用作品と比べても格段に強い記憶があり、上記訃報を聞いて「あの素顔同盟か……」とちょっと思い出すところがありました。

 その一悶着とはまさに中学時代にこの作品を国語の授業で扱っていた時でした。授業も終盤にさしかかって当時の教師は生徒に作品の感想を求めるプリントを配ったわけですが、「素顔同盟に走った主人公をどう思うか」という質問に対し、ちょっと妙な回答を私はしてしまいました。

「集団の秩序を乱そうとする典型的な破滅的行動である。テロリズム的な思想で気に入らない」

 これは冗談じゃなくマジで上記のように書いて提出してしまいました。というのもこの授業の直前に読んだ中国史の解説本にて、「始皇帝暗殺」で有名な刺客の荊軻について以下のようなくだりを読んでいたことが原因でした。

「荊軻の評価は暗殺者という特性上、その時代ごとに大きく変わりやすい。ある時代では圧政を敷く暴君に立ち向かう勇者として称えられる一方で、暴力によって権力を転覆せしめようとするただのテロリストとして扱われることもあり、現代ではそのような評価が強まっている」

 この論説を読んでたせいというかなんとなく素顔同盟の主人公も荊軻っぽいなぁとか思い、「テロリズム」という言葉が出てきてしまったわけです。しかもその時の教師も教師で、生徒からプリントを集めるや何を思ったか「こんな意見もありました」と言って上記の私の書いた感想を読み上げると、

「この感想を書いた人の仮面を取っても良いでしょうか、花園君( ´∀`)

 と、いきなりクラス中に名前をばらされてしまいました。
 言われた瞬間はそれこそ「オイオイ、マジかよっ!?Σ(゚Д゚;)ゲゲッ」って滅茶苦茶焦りましたが、元々仲が良かった教師なので問題あるとか気に入らない感想だからといった理由ではなく、「クセ球を投げてきたな、こいつ(・∀・)ニヤニヤ」ってな感じで暴露してきたんだと思います。
 もっとも授業後にこの件をネタにからかってくる生徒はいませんでしたがこの一件を経て私は、「絶対にこの教師には逆らわないでおこう」と決意するに至りました。

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