新しいパソコンになって初めてのブログ執筆です。微妙にこれまで使ってきた中国史用のパソコンと比べてキー配置などが異なっているために違和感がまだありますが、それでもやはり打ちやすいしパソコン自体のデザインと相まって気に入ってます。この詳細についてはまた明日にでも書きます。
そんな今日はどういったことを書くのかというと、昨日に引き続き中国版新幹線(高速鉄道)の脱線事故についてです。昨日の夕方時点でははっきりしませんでしたがどうも落雷で停止していた車両に対して後続の列車が突っ込んだことによって脱線したそうですが、想像以上というべきかなんというべきか、なんと今日にはもう同じ路線での運転を再開した上に事故車両を回収もせずに埋めるという暴挙に出ているようです。この辺については日本在住の方もすでに知っておられるから説明するまでもありませんが、こちら中国においても今回の事故については異例尽くしというべきかいろいろと議論や混乱が起きております。
まず本日の朝刊ではデイリー紙はすべて今回の事故を一面に取り上げ、経済誌でも多くがトップを飾ってます。そのうえで紙面中の論評も今回の事故を起こした鉄道部(中国の「部」は日本の「省」)を厳しく批判しており、その対比として開業以来一度も死傷者を出していない日本の新幹線における安全対策を取り上げる新聞もありました。なおその日本の新幹線と対比させた記事では2005年の福知山線脱線事故を取り上げ、多数の死傷者を出したものの日本はこの事故後に反省として自動制御装置(ATS)の普及が一気に進んだと記載しており、鉄道部の報道官が「日本の新幹線だってたびたび故障を起こしている」というような変な負け惜しみのような書き方ではなく、悪くない対比記事だったように思えます。
その上でこちらのメディアにおける混乱というか今回の事故を読み解くうえで重要なのは、日本のNHKにあたる新華社通信の報道です。細かい数字までは挙げませんが当初新華社通信が発表した今回の事故の死亡者数に対して鉄道部側はもっと少ないと主張し、その後も両者の間で死亡者数の相違や修正が続いています。その上で人民日報の本日の論文は、「今回の事故はただ片づけるだけでなく、今後の運営の在り方を含めて大きな反省材料にしなければならない。特に鉄道部」ってな感じでどちらかといえば鉄道部に対して厳しい批判を行っているような記事内容なのですが、これを見て私は政府と鉄道部で見解の不一致が起きているのではという疑念をすこし持ちました。
新華社は人民日報は言うまでもなく中国共産党の機関紙で、その発表内容は政府の主張と基本イコールです。ということは先ほどの新華社の発表と人民日報の論文は政府側が今回の鉄道事故を重く受け止めているとみることができるのですが、その一方で鉄道部は事故車両を埋めたり死亡者数を少なく見積もったりとどちらかといえば隠蔽するような態度を取り続けております。この矛盾する両社の動きが非常に肝なのですが、単純にとるならば政府中枢は非常に問題視して原因究明に熱心なものの、鉄道部側はメンツもあって隠蔽しようとしてやや対立するような構図ととれるのですが、深読みするならば原因究明を叫んで一般国民のガス抜きをしつつ、隠蔽工作を続けさせるという方法も十分考えられます。
ただ一つだけ確かなことを言うと、今回の事故、いやそれ以前からも普通の中国人は高速鉄道の安全性に対してやや批判的でありました。そして今回の事故を受けてそれが決定的となったというべきか、街頭インタビューでも乗らずに済むなら乗りたくないという人しかおらず、また鉄道部の隠蔽工作や早すぎる運転再開にネット上を中心に激しい批判が起こっております。
先の中国政府の特許申請の記事でも書きましたが、普通の中国人はこの高速鉄道に対して妙なプライドやら価値観は持っておらず、政府の特許申請についても何も感慨を持っておりません。そういう意味では鉄道部の人間より一般中国人の方がずっと常識を持っているでしょうし、なおかつ日本人とも価値観が近いでしょう。
それにしてもこの高速鉄道、上海~杭州間で私も何度も乗りましたが今回の事故を見てえらいのに乗ってたもんだとちょっと冷や汗かきました。一緒に乗った親父も、「他人事ちゃうわ(;><)」とも言ってましたし、これからは用があっても使用を控えようと思います。何気に来月あたりに武漢まで乗っていこうかと考えてたところでしたが、航空会社にとってすればうれしい限りだろうな。
あと今回の事故原因について鉄道部は落雷だと主張していますが、これまで既に何度も落雷による故障を引き起こしておきながら何の対策もしてこなかったというのは呆れてきますし、本当に落雷だけが原因なのかと疑う気持ちすらあります。なんでもかんでも落雷のせいにしてると、終いにゃ天神様だって怒るだろうし。
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