何か教育関係の話をというリクエストを受けたので、前から思っていた内容を今日は紹介します。
一つ昔話をしますが、六年前に出会った一個下の友人に対し将来は何になりたいのかと説いた際、教師になりたいとその友人は答えました。その答えに対して私は、
「悪くない選択だね。これから団塊世代が大量退職してこれまで少なった教師の口が一気に広がると言われてるし」
しかし結果はというと、私のこの予測は間違いでした。団塊の世代に当たる教師が一気に退職して教師が各学校で不足しているというのは間違いではないようなのですが、その不足分を補うための教員の雇用は現在に至っても行われませんでした。
現実問題として教師が全国各地で不足しているというのは間違いではないようです。そのため教師一人あたりの負担も依然と比べて遥かに高くなっており、この前も何かのニュースで教師の休職理由は精神的なものが大半と書かかれてありましたが、いろいろ病んだりして職場を離れざるを得ない教師が毎年増えていると言います。
では不足しているにもかかわらず何故教師の数が増えないのか、教師を志望する人間が減っているのかというとこれまたそうではないようです。確かに少子化ではあるもの不景気という時代ゆえに教員免許を取る学生はそこそこおり、また教師職を志望し続けている人もたくさんいるのですが、彼らが何故教師になれないのかというと単純に教員の募集がないそうです。何故教員の募集がないのか、もったいぶっても仕方ないのでもう書きますがこれまたあちこちから話を聞く限りですとごくごく単純な理由で、教師を雇う側の自治体が財政難で新規に教員を雇う余裕がないからだそうです。
私立学校であれば別ですが、公立学校を運営するのはそれぞれの市や県であって教員の給料などは各自治体から支払われます。それ故に具体的にどのような身分かまではわかりませんが教師というのは準公務員的な職種であるわけですが、すでに財政破綻宣言をした夕張市をはじめとして、現在全国各地の自治体では大量の借金があって当たり前と言えるほど財政難な状態が続いております。それ故に各学校で団塊世代の教師が大量に引退したにもかかわらず支出を増やすにはいかないために新規採用を凍結し、少子化で子供の数は減っているものの既存の教師数で何とか回そうとしているのが大半だそうです。
このような状況で割を食うのは誰かというと、まずは既存の教師たちです。彼らはそれ以前に比べて担当する子供の数や授業コマ数が大幅に増えましたが給料は変わらず、というより昇給幅は明らかに以前より狭められています。もっともそれは会社員にも共通しますが。
これら既存教師に加えて割を食うのが、教職志望だった自分たち世代の若者たちです。真剣に教育に身を捧げようとして教職を志望する人たちもいるでしょうが、現在正式に教員に採用されるのは至難の業だと聞きます。勘のいい人は今書いた「正式に」って言葉を見てすぐにピンとくるでしょうが、その逆の非正規の教員となるのだったらそれほど難しくないようです。
非正規の教員って言ったってブラックジャックみたいに免許を持たない医師というわけじゃなく、一週間に数コマだけ学校に来て教えるようなアルバイトのような講師職で、現在これが各地で増加しているそうです。自治体は非正規の教員として雇えば社会保障などといった余計な経費を払う必要はなく、またいらなくなったらすぐに切ることもできれば一切昇給させる必要もありません。それ故に教師になりたいが一心、正式採用を夢見る人なんかは苦労を覚悟でこのような教師版の派遣職に甘んじ、ひどい例なんか月数万円の給料で働き続けていると聞きます。
単純に経費削減という観点からみるのであればこのような採用形態が悪いとは言いません。しかし本気で教育を充実させたいと考えるのなら教師を不安定な身分にとどめておくというのは明らかに間違ってますし、ただちに対策をしなければならないでしょう。またそもそも財政難で支出が増やせないというのなら、すでに高い給料を受け取っている年齢の高い教師からリストラしていかなければ根本的な解決につながるはずがありません。
そういうわけで漠然と予想はしてはいたのですが、調べてみると案の定そうだったのが下のリンク先です。
・教員平均年齢ピークに、3人に1人が50歳以上(読売新聞)
やはり予想通りというか教員の新規採用を渋りに渋った結果、平均年齢は過去最高をどんどん更新していて三人に一人が五十歳以上という状態にまでなったようです。この構図をあえて言い表すなら、やはり若者を犠牲にしてという言葉しか私には浮かびません。先にも書きましたが支出を抑制するのであれば新規採用を凍結するのではなく既存の人間をリストラした方が明らかに効率がいいはずでしょうし、そもそも教師なんか叩けば埃が出てくるような人間はまだまだたくさんいると思います。ひがみっぽいですがどうしてそういう人間に着手しないで我々の世代が割を食わなければならないんだと、一抹の悔しさを感じます。
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