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2012年7月21日土曜日

「積み木くずし 最終章」について

 一週間くらい前の記事の「積み木くずしについて」の続きです。前回の記事に書いたように、今まで自虐ネタに散々使ってきたのだからという思いで今年になってこの「積み木くずし」、並びに今年発売されたばかりの「積み木くずし 最終章」を手に取ったのですが、いくつか疑問点を感じる内容があり、その点を教派解説します。

 積み木くずしのあらすじについては前回にも書いた通りですが、今回私が手に取った最終章、というより正確にはそのひとつ前の「由香里の死、そして愛 積木くずし終章」では作者である穂積隆信氏の家族の真相が書かれてあります。著書によると、積み木くずしの主人公ともいえる一人娘の穂積由香里氏の遺品を整理していたところ、既に自殺していた由香里氏の母親である穂積隆信氏の元妻の遺書が見つかったそうです。その遺書は由香里氏が読み終えた後に燃やすように指示されていたようですが、何故だか燃やされずに残っていたそうです。
 その遺書の内容というのも、由香里氏は隆信氏との子供ではなく、元妻と共謀して隆信氏の財産を奪った会計担当の男との子供だったというものだそうです。もう少し詳しく話すと、既に隆信氏と結婚していた元妻は自分で作った借金を理由に迫られてこの男と関係を持ち、由香里氏を生んだということで、積み木くずしが大ヒットして大金を得るやこの事実をネタに男から脅迫されたことで隆信氏を裏切らざるを得なかった、本音では今でも愛しているということが書かれていたそうです。

 正直に言って、この箇所は本当に事実なのかどうか疑わしいというのが私の感想です。確かに話の筋立てとしては面白いのですが逆を言えば面白過ぎる、また新しく本を出版するために話を作ったのではないかという風に感じました。ただこうした遺書を元妻が書き残すということについては有り得ないとまでは言うつもりはなく、最初の積み木くずしの本の中でも大量にこの元妻の日記が引用されているあたり筆まめな人物であったことは予想され、最終章の中で取り上げられた長い遺書を書き残していたというのも有り得るとは認めます。
 ただ最終章によると穂積隆信氏はこの元妻の遺書を、本人の願い通りに由香里氏に代わって焼却しております。仮に手元に残して第三者も確認できるというのならまだしも、燃やしたというこの事実を見ても本当にそんな遺書があったのか疑わしく思えます。ただ最終章という本自体についてはこれまでの積み木くずしの経緯なども書かれてあって本としては面白いので、もし興味のある方は真実かどうかは別としてお勧めできる内容です。

 話は変わりますが過去の代表的な親殺し、子殺し事件を見るにつけ、「もし自分の子供が非行に走ったら」ということを想像するだにやはり怖いなという気持ちを覚えます。仮に親である自分に直接危害を加えなくとも外部で障害、下手すれば殺人事件を引き起こした場合は遺族に対して支払う莫大な謝罪金を負担しなければならず、果たしてそういう事態になっても自分は自分の子供の味方でいられるのか、下手すればそういう事件を引き起こしそうな兆候を見せた段階で「捨てる」ことは可能なのかということまで考えてしまいます。
 自分なんか日本で正社員の身分捨てていきなり中国に来て現地採用で働くくらい行動が突飛なもんだから、少年時代もほかの同年代と比べて騒動を引き起こした数は明らかに多く、うちの両親もいろいろ気苦労が絶えなかったでしょう。実際にお袋からはっきりと、仮に自分が傷害事件を引き起こすと後の負担が怖いと言われたこともありますが、この年(といっても20代だが)になってみてそらその通りやという風によく感じます。

 敢えてこれまで触れてきませんでしたが大津市のいじめ事件、あと印象に残っているのだと2000年に発覚した愛知の中学生5000万円恐喝事件を見ていると、うまく表現できませんが本当にこういうのは紙一重なんだなという気がします。そういう意味では今更感は感じるものの子供が非行に走った時に親はどう対応するか、一つのケーススタディーとして「積み木くずし」を今読んだのはまずくなかったという気がします。作中で子供の非行対策を専門とする警察関係者が非行に走った子供への対処として、「子供をどう指導するかではなく、親がどんな態度を取るか」と穂積隆信氏に諭しているように、結局は親である本人が自分をある意味律するというのが最善かという風に今感じます。
 なにやら尻切れトンボの具合であまり良くまとまっておりませんが、20代の身空でこんなことをいちいち考える当たり自分は何事にも考え過ぎな人間だとつくづく思います。


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