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2012年10月8日月曜日

安倍内閣を振り返る

 どうでもいい近況ですが、この前にゲームアーカイブスでダウンロードした「ブレスオブファイア4」というゲームを現在しています。相変わらずストーリーはいいのですが展開がもっさりしているうえにRPGなのにキャラのモーションが無駄に長く、伝統的なまでに長所はあるのだけれど短所も目立つ作品です。ちなみにストーリーのもっさり具合を一つ説明すると、

<主人公の正体がわからない→風の竜に会おう→風の竜に会うために故郷に帰ろう→故郷で親父さんから、「風の竜に会う前に竜の巫女に会えば」と言われる→竜の巫女に会ったら、やっぱり風の竜に会えと言われる→風の竜に会うには風の笛が必要だと言われる→風の笛を手に入れるために、再び故郷の城の地下に行く→笛を持って風の塔に登ってようやく会える>

 決して誇張ではなく、全部が全部こういう感じで無駄なお使いイベントが多いです。っていうか、風の笛なんて取りに行く必要があったのかと思うくらいで、作っている最中に誰か止めなかったのかこれ。

 さて話は本題に入りますが、先日に野党第一党の自民党についてですが、安倍新総裁が就任して何故だか大手メディアからはやっかみもいいくらいに叩かれていますが、私自身としてはまだ何もしていないんだしちょっと今の叩き方はずるいと思います。ただ一部メディアが批判している安倍政権時代の功罪についてはきちんと比較分析するべきだと思いますし、そこで今日は安倍政権時代について私の評価をまとめようと思います。

安倍内閣(Wikipedia)

 まず安倍政権の最大の功績としてよく挙げられているのを見るのは教育基本法の改正です。教育基本法はかねてから野党や日教組が議論すら許さなかった程の聖域であったため確かに改正したのは歴史的と言ってもいいとは思いますが、ただ私自身としてはあまり評価しておりません。というのも不勉強なだけかもしれませんが、教育基本法が改正されたからと言って日本の教育環境や内容が改善されたかといわれると改正から数年経つのに未だに見えてきません。それどころかいじめ問題を筆頭に結局以前のまま、さらに言えば以前に私がブログで指摘したように教師の高齢化も歯止めがかかっておらず、理念だけ変わったところで成果があまりにもなさすぎるという風に考えております。
 ただ唯一、この時の改革で評価しているのは教員免許更新制の導入です。現在も存続か廃止かで非常に揺れている制度ではありますが、発足当初は中学校の数学問題すら解けなかった高校の数学教師がこれで解任されたりと、あまりにも能力のない教師の淘汰に一役買ったと思いますし、この手の議論に大きな一石を投じたと思います。もっともおしむらくとして、教員の再教育というか研修制度があまりしっかり組み立てられておらず、現在もこの点が大きな問題となっているところがありますが。

 次に同じく安倍政権の功績とみられているのが、防衛庁の防衛相への格上げです。これについては以前は野党が議論すら許さなかった内容ですが、確かに評価はできるもののなるべくしてなったもので大きくポイントを挙げるべき評価項目ではないと考えております。このほかパチンコ業者への締め付けを厳しくした点などは私自身は大きく評価しておりますが、安倍政権全体を通して観念的な部分での法改正は多いものの、具体的に成果を上げる細則実施はやはり少ない気がします。

 逆に安倍政権のマイナス評価ポイントですが、恐らく私だけでしょうが最大のターニングポイントとなったのは「ホワイトカラーエグゼンプション」と呼ばれる裁量労働制の導入を検討したことだったと思います。元々、安倍政権は発足当初は内閣支持率が異常に高く国民から期待された政権でしたが、「再チャレンジ」などを叫んで雇用対策などを強化すると主張していたところ、このホワイトカラーエグゼンプションが突然出てきて「ああやっぱり財界寄りだったんだな」と私もこの時にグッと距離感を感じました。
 念のためホワイトカラーエグゼンプションについて説明すると、幹部級社員に対してあらかじめ定められた時間に縛られず自由に働くことを認める制度という触れ込みでしたが、仮にこの制度が認められるとサービス残業を国が公に認めてしまうことになるのではないかと批判が起こりました。はっきり言いますが政府、というかこの制度導入を強く求めた財界の本音としてはまさにその通りで、当初は対象となる社員を年収300万円以上(途中で800万円以上に訂正)と言っており、日雇い派遣など低賃金過重労働が問題となっているところでこんな制度案が突然出てきたことは面食らいました。また当時、というか現時点において日本企業では年収500万円以上の社員を大抵は管理職扱いにしており、この裁量労働制を事実上実施しております。うちの親父なんか、なんで既にみんなやっていることをいちいち法律で追認するんだと当時批判してました。更にもう一言加えておくと、日本でカタカナの名前の法律は大抵が何かしら裏があります。

 と、このホワイトカラーエグゼンプションが出てきた時点で私も一気に評価しなくなったのですが、一番致命的となったのは消えた年金問題において間違いないでしょう。この年金問題に関しては逆に私は同情的に考えており、それ以前の政権が放置してきたために大ごとになった問題を、何故か安倍政権の時期に今は無き社保庁が不必要なまでにリークを行い選挙で大敗する要因を作りました。この時に社保庁は何故リークを行ったのか、恐らくは安倍政権が渡辺善美氏(現みんなの党党首)を据えて進めていた公務員改革に対する反抗だったのではないかと考えております。なおこの消えた年金問題で何が一番問題なのかというと、この時に散々騒いだにもかかわらず、現時点においてもこの問題は何も改善されずくすぶっていることです。恐らくまたどこかの政権で一気に問題が噴出して大騒ぎしてなにも変わらないまま次代に引き継がれていくことになるでしょう。

 消えた年金問題同様に、直接的に安倍氏自身の責任ではないものの閣僚の度重なる不祥事も短命政権を生む要因となったでしょう。何とか還元水で最後は自殺に至った松岡利勝元農水大臣はもとより、その後を継いだ赤城徳彦に至っては、ウィキペディアの記事を見るにつけよくもまぁ大臣在任中の2ヶ月の間にこれだけ問題を引き起こしたなと呆れてきます。存命中の人物に唾を吐くのはどうかと思うものの、この人はほんまもんのクズでしょう。

 以上のような具合であまりまとまりがない書き方をしておりますが、総じて必要性や優先度の高い改革を行ったとは言いづらく、過分の安倍氏の「やりたかったこと」だけが実行されていた政権だった気がします。とはいえ安倍氏自身はそういうブレの少ない性格なために、恐らく野党党首としては十二分に才能を発揮して自民党自体にとってはこれからいい方向に持っていくと予想してます。
 ただそれは野党党首としての話であり、仮に次の総選挙で自民党が大勝し、総理大臣に再登板することになれば元から才能なんてないんだからまともな国会運営が出来ず、晩節を大いに汚すことになるということも予想しておきます。というのも安倍政権は小泉政権の遺産ともいうべきか、衆議院で三分の二以上という圧倒的多数の議席を保有していたのですが、この議席数に胡坐をかき強行採決することが異常に多かったです。当時は参議院でも自民党が過半数を握っていましたが、ねじれ国会の今に総理に就任したところで安倍氏にまともな国会対策が出来るとはとても思えず、すぐに運営に行き詰まることでしょう。厳しい評価ですがかつて「KY」と呼ばれただけあって、安倍氏には致命的なまでにこの方面の能力が不足しております。悪いことは言わないから、選挙で大勝したら総裁を降りて、総理職はほかの人に任せた方が無難かと個人的に思います。

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