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2013年5月11日土曜日

憲法96条改正案について

 政治ネタが続きますが、現在国会での主要議論と言ったら今回緒台に挙げた憲法96条の改正案です。そこで今日はこの議論の論点を整理するとともに私の意見を紹介します。

 まず憲法96条の中身を簡単に説明しますがこれには憲法改正の発議に関する条件が定められており、衆参両議院の三分の二以上の賛成を得て初めて発議を認めると書かれてあります。通常の法案が過半数こと二分の一以上となっていることに対して憲法故に条件が強められております。仮に憲法を改正するとしたら国会での発議後、つまり三分の二以上の賛成を得た後に国民投票で過半数の支持を得なくてはならないため、国会内での議論だけで改正されることはありません。

 そんな96条に対して安倍首相率いる自民党は発議要件を三分の二以上から二分の一以上に引き下げようと提案したのが今回の議論の始まりです。自民党のほかには維新の会、みんなの党なども賛意を示していると報じられておりますが、みんなの党については渡辺代表が、「憲法改正の前に公務員改革などを片づけるべきだ」と述べていることからやや慎重な姿勢ではないのかと私は見ております。このほかの政党はほとんどが憲法を示威的に変えられやすくなるなどとして反対を示しており、自民と連立を組んでいる公明党ですら、具体的に今の憲法をどのように改正するのか方向性を示してから96条について言及するべきだとして、やや否定的な様子です。

 結論から述べると、私は今回の議論では公明党の意見が最も正しいように思えます。というのも自民党というか安倍首相はかなり以前から憲法改正を主張しており、その改正内容も集団的自衛権の行使や自衛隊の存在を明確にするなどと具体的なところまで踏み込んでいたのに対し、今回の96条改正議論を吹っ掛けるや急にこれらの内容への具体的言及は避けるようになってきました。
 前もって言いますが私自身としては集団的自衛権、自衛隊の合憲化は望むところであって、むしろ早く憲法を改正するべきだという立場です。ですが安倍首相が堂々と改正案の方向性を示さず96条の改正から先に手を付けようとするのを見ているとどうもこれ以外にも変えようとする腹案があるのか、そんな風に勘繰らざるを得ません。

 一方、公明党を除く野党らの主張に関しても不満があります。9条がどうたらこうたらとヒステリックに言う社民党の主張はこの際というか相手しなくていいですが、その他の野党の96条改正に対する反対意見はどれも鋭さがありません。大体が硬性憲法と軟性憲法の比較をした上で憲法は国民を守るために政府を規制するものであって、改正しやすくするなんて言語道断だという意見なのですが、改正には国民投票も必要なのだから発議条件が二分の一にハードルが下げられても一応は政府を規制できるのではと思います。
 またそれ以上に、ここからはあまり報じられない私の意見となりますが、そもそも硬性憲法であったことから一度も改正されずにいたがゆえに起こる問題に意識を払わないのかと野党の人には問いたいです。

 他の先進国は米国やドイツ、あとお隣の韓国(時の為政者にいいように変えられたケースが多いが)などはこれまでに何度も憲法を改正しております。改正条件も日本同様に議会で三分の二以上の同意が必要なところも多いためにあくまで私が見る限りだと、ほかの国では改正が必要だからこそ改正しているように見え、やはり時代に合わせようとする姿勢が見えます。
 それに対して日本。日本はこれまでに一度も改正していませんが、憲法が作成された頃と比べて時代はかなり経ております。これだけ時代を経るとやっぱり憲法自体がいろいろと現実に合わなくなってきているところも増えてきており、卑近な例というか誰も言わないけど私がよく思う点として、選挙権が20歳からなのに衆議院に立候補するための被選挙権は25歳、参議院は30歳からと、小学生へのひっかけ問題にしか使えない無駄な年齢条件などがあります。

 こうした経年劣化に対して日本はこれまでによく、憲法の解釈を変えることで対応をしてきました。同じ条文にもかかわらず解釈を変えることでそれ以前は違憲だと考えられた行為を合憲にするという事を繰り返してきており、はっきり言ってしまえば憲法の意味ないじゃんと言いたくなるようなことをかなり繰り返してきました。
 こういう風な解釈主義に陥った原因はやはり日本の憲法が改正し辛い、さらに言えば一度も改正されたことがないためだと私は考えているのですが、同時に解釈主義から早く脱しなければと思います。というのも解釈でどうとでもなるのであれば憲法が空文化する恐れもあり、昔の上司の言葉を借りれば、「自衛隊は憲法上、存在しないことになっているという事の方が危険なんだ(法律に縛り辛いから)」とも言えます。

 こうした現状に対し野党の意見はとかく、憲法は変えてはならない、絶対神聖不可侵という精神主義が見られ、非常に問題だと私は思います。昔なんかは議論すること自体を許さない雰囲気があったのでそのころと比べると大分マシにはなりましたが、野党の反対意見はそのころから変わっていないというか、幼稚で合理性が含まれておらず、いい加減にしろと強く言いたいです。反対するにしてももう少しまともな言い分もあるというのに。

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