アメリカではなんでも「ポーランド人は馬鹿だ」という内容のジョークがあると聞きます。また二次大戦前に何度も国土が分割され、二次大戦中もユダヤ人を始めとした死者数が500万人以上も出すという(国別死者数では4位という説も)悲劇的な歴史を持ちながらも何故か同じヨーロッパの国々からポーランドはそれほど同情されず、それどころかそのような歴史を歩んだのもやや自業自得みたいに言われているなどとも聞きます。
なんでポーランドがこんな風に馬鹿にされるのか理由はわかりませんが、以前にちょっとこの辺で気になったのでポーランドの歴史をこの前ネットで調べました。西欧史については一通りやっていて大まかな流れはわかっているものの個別の国々の歴史となるとまだまだ勉強不足であることを痛感したのですが、改めてポーランドの歴史を見てみると意外に面白く、さすがにブログでまとめることはしませんけどドイツ騎士団とプロイセンの歴史くらいなら一つのテーマでまとめてもありかもしれません。
折角なのでポーランドの歴史について簡単に触れると、あまり知られていませんが中世、具体的には13~16世紀くらいまでは間違いなく欧州最強国家と読んでいいほどの繁栄ぶりをみせております。当時のポーランドはヤゲウォ朝と呼ばれる国家体制で他のヨーロッパ諸国に先駆けて絶対王権を確立し、軍事力においてもポーランド騎士団と呼ばれる軍勢を保有して文字通りに現在のロシア地域にいたスラブ民族、並びにオスマントルコを筆頭としたイスラム勢力との抗争でキリスト教勢力の最前線を担う役割を果たしておりました。
残念ながらというか16世紀以降はロシアやプロイセン、オーストリアが勢力を拡大した上に内戦もやらかしてしまったことからポーランドは国力を落としてしまうわけですが、それ以前のポーランドがまさに帝国と呼ぶほどの繁栄を誇った理由については様々な要素が挙げられており、私の視点で述べるとそれらは「寛容性」という言葉にまとめられるように思えます。
当時のポーランドは一応はキリスト教を国教とする国であったのですが他のヨーロッパ諸国と比べてその強制性は非常に弱く、むしろ他の宗教や民族に対して非常に寛容であったことはほぼ意見が一致します。一番代表的なのはユダヤ人に対する態度で、13世紀の時点でユダヤ人の人権並びに政治的自治を認める法令を出しており、それを聞きつけたことによって他のヨーロッパ諸国で弾圧を受けたユダヤ人が移民してきたことによって学術的にも文化的にも発展したそうです。
そのほか現在のリトアニアに存在した、ギリシャ正教を国教とするリトアニア大公国と14世紀に連合を結び「ポーランド=リトアニア連合」という国家連合を作ってポーランド王家は領土や権力を大きく高めたのですが、この際にポーランド王国にやられてばっかだったドイツ騎士団が「異教徒と手を組んでいる」などとバチカンに訴えてきます。この際にポーランドは、「異教徒とはいえリトアニアの人間も同じ人間で我々と同じ人権を持つ」なんてかっこいいことを語ってバチカンにもその正当性を認めることに成功します。にしてもドイツ騎士団はカッコ悪いな。
このように異教徒、異文化、異民族に対してとにもかくにも寛容に受け入れていったことがポーランドの躍進に買ったと現在では評価されているのですが、こうした寛容性は何もポーランドに限らなくてもほかの歴史でも同じ傾向がある気がします。
一番卑近な例は現代の米国で、20世紀には黒人差別問題が大きく残っておりましたがそれでもほかの国々に比べればそうした民族的差別はまだ小さいように私には思え、黒人のオバマ氏が大統領になれたり、有色人種の人口が白人を追い抜いたりなどとしている状況を見るにつけ帝国と呼ばれるだけの多文化性、多様性を孕んだ国と言っていいでしょう。同じく帝国とくれば「テルマエ・ロマエ」で同じものローマ帝国も同じで、奴隷制によって成り立った経済構造でしたが植民州出身の人間でも兵役を終えればローマ市民権を与えたりして、いわば異質な文化の地域を取り込むような政策を実施しております。
私は帝国と呼ばれる国というのは歴史的に、異質な文化や民族を取り込むから帝国であって単独の文化を保持し続けハイ手的な主義を取る国は帝国とはなり得ないと前々から考えております。その上でさらに続けると、やはり発展性という意味では帝国の方が圧倒的な強さを持ち得ます。
現代の米国がいろいろな意見があるもののそれでも最強国として君臨し続けているのは毎年大量の移民を受け入れ、また学術や文化面で多くのものを取り込みつつ変化しているからだと思います。もちろんこんな帝国性を持つのは生半可な努力じゃ出来るわけなく日本なんて島国という特徴からもまず慣れるわけありませんが、それでももっと寛容性というものを意識し、異質な文化や概念を取り込むことで国家として民族として強くなれるということを少しは考えてほしいと陰ながら思います。
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