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2014年5月2日金曜日

山田風太郎の日記を読みだして その二

 昨夜自らを「習近平」と名乗る男から電話があり、「ウルムチの件でむっちゃ忙しいねん」と言って自分に早く上海へ来るよう言ってきました。一体、俺に何をしろというんだあの上海人の友人は。

 話は本題に入りますが、前にも書いたように山田風太郎が戦前に書いた日記をこの頃読んでいます。今は1943年の部分を読んでいるのですが、上京してまで浪人生活を続けていたのに山田風太郎はこの年の医学校の試験には受験した二校とも落ちて、さすがにショックだったのか落ちたという事実を記した後は約一ヶ月にも渡って日記を綴るのをやめてます。お世辞にも、当時はあんま勉強してるようには見えないから落ちるのもしょうがないかなって気もしますが。

 ただ不合格のショックから立ち直ってまた書き始めた日記に、読んでてちょっと面白い点がありました。それはどんな点かというとインドのガンディーに関する記述です。

 その日記によると、当時ガンディーはインド独立を認めないイギリスへの抗議活動としてハンガーストライキをやっていたそうです、これに対して山田風太郎は絶賛し、暴力を伴わず断固として独立を要求する姿勢が素晴らしいとした上で、日本もインドの独立を支援するために軍事作戦を今後も展開しないといけないとか、将来ガンディーはブッダやイエスなどの聖人に列するだろうなどと激賞しています。
 ただそれだけべた褒めしてから数日後の日記だと、ガンディーがハンガーストライキで目的の日数を達したとしてオレンジジュースを飲んだ(=やめた)という新聞報道を引用した上で、

「何なんだあの野郎。やるならちゃんと餓死するまでやればいいってのに中途半端に終えやがって、あの感動をどうしてくれるんだ」(意訳)

 という風な感じで、今度は激しくガンディーをディスる内容を綴ってました。気持ちは分からなくもないが、あんだけ誉めた直後にこういうことを書くのもなぁと読んでて苦笑する内容です。

 ここで最初の話に突然戻りますが、先日中国のウイグル族自治区で起きた爆発事件について日本のメディアは中国での発表や報道を引用し、自爆テロであった可能性が強いなどとした上で、実行したのは中国からの独立を目指すウイグル族グループとみて捜査が進んでいるなどと報じています。そのほか解説として現地での独立運動や過去にあったこの地での事件などを合わせて報じておりましたが、この事件をテロ行為だとして真正面から批判するような報道はついぞ見当たりませんでした。

 現地で独立運動があるのは知っていますし、中国がその運動家を弾圧しているのもほぼ間違いない事実です。だからと言ってはなんですが、もし中国政府の発表の通りにこの事件が活動家らによる自爆テロだとしたら、無関係の人間を巻き込むこのような手段には一片の正義もないと私は断言できます。何も暴力なしで革命が達成できるなんていう甘い考えを私は持ち合わせておりませんが、少なくとも多くの一般人もいる公共の場で爆発を起こしても何もひっくり返ることはなく、いたづらに人を傷つけるだけの最低な行為でしかありません。
 なんていうか、日本のメディアの報じ方は素っ気ない感じであるのと、独立運動があって中国政府への反抗としてこういう事件が増えているなどと、ちょっと穿った見方をすると、中国からの支配を脱するためにはやや仕方ないのでは、なんていう言い方をしてるようにも見えます。

 ガンディーの非暴力不服従は言うは易く実行するには難い概念であるものの、アルカイダに始まる一般人を巻き込むテロはもはや何の政治活動でもなく、ただの暴力です。余計な状況説明はいいから批判する一言でも盛りこんだらどうかと、日記帳に付けてこうと思ったわけです。

2 件のコメント:

  1. その通りです。このブログ息子に読ませます。

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    1.  山田風太郎の日記にかこつけてガンディーの思想を紹介しつつ、最後に「日記帳に」という一言を入れられてなかなかいい記事に仕上がってます。
       息子さんにも勧めてくださるとのことでまことにありがたい限りですが、我ながらあんまり若い子に見せるべききじかというとちょっと不安に思うところがあるので、程々な感じに読ませてくれたら幸いです。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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