こちら中国ということもありライブ映像は見ておりませんが、本日夜から朝日新聞が会見を行い、前々から問題視されていた福島原発の所長であった故・吉田氏の調書を巡る報道について誤報があったことを認め、編集担当の役員を解任するとともに現社長の木村伊量氏も今後自認する方針であることを示唆しました。
・<朝日新聞>「吉田調書」報道、社長が誤り認め謝罪(毎日新聞)
ちょうどというか自分も吉田調書問題で記事を書こうと思っていた矢先なだけに、いいタイミングで辞めてくれたななどと内心では思っています。もっとも従軍慰安婦報道問題同様、今回も対応が遅れたことによって傷口を広げることとなっておりますが。
問題の吉田調書報道について簡単に解説すると、朝日新聞は今年5月20日付の朝刊のスクープ記事として公開されてこなかった吉田氏の調書の内容を入手したとして、その調書の中には原発事故の最中、吉田氏の指示を無視して幹部を含む原発職員の9割が福島第一原発の現場から第二原発へ勝手に撤退したことが書かれてあったと報じました。結果論から言うとこれは真っ赤な誤報で、真相は外部への放射線量が高まってきたことから当面の現場作業がない人間は放射線量の少ない所へ避難するようにと指示を出したところ、多くの人間が自己判断で第二原発に移動しただけだったそうです。この第二原発への非難について吉田氏は、第二原発に行けとは指示しなかったものの当時の状況では第二が最も非難に適した場所だったと語ったことが調書に書かれていると別のメディアは揃って報じています。
普通の誤報ならともかく、朝日の報じ方は現場作業員が責任を放棄して勝手に逃亡を図ったようなニュアンスで書かれてあり、そしてそのままのニュアンスで海外紙も引用記事を報じて世界各地へと拡散されていきました。しかし朝日の報道直後から当時あの現場にいた作業員や現場取材を行っていた他のメディアの記者などから事実とは異なるなどとの声が上がり、また産経新聞もどこかから件の吉田調書を手に入れて問題の個所を引用した上で朝日の誤報を指摘しておりました。
こうして問題が広がりを見せる中、吉田氏本人の希望もあって当初は非公開とされていた吉田調書を政府は、「誤解を正すため」などの目的の下に公開することを発表。発表されたのが今日この日の9月11日であることから、誰の目にも報道と事実が異なっている点を指摘されることを恐れて朝日新聞は今日になって謝罪会見を行ったと見るべきでしょう。
私がこの問題で気になった点をいくつか挙げると、まずなんで朝日新聞は今回のような誤報を流すこととなったのかという原因です。恐らく何らかの形で吉田調書を手に入れた、もしくは吉田調書を読んだ人間に取材をしたのだと思いますが、担当記者か証言者のどちらかが、「原発作業員は現場逃亡した」と、故意かどうかは別にして判断したことになります。今日の会見でどこでどう間違えたのかまでは恐らく言及されないでしょうから私の勝手な推論を書いていくと、産経の記者も手に入れていることから恐らく朝日の記者は吉田調書をどっかからか仕入れたのでしょう。そしてそれを読み込んだ上で読み違い、もしくは意図的な間違いを行ったのではないかと思え、このうちどちらかといえば前者の読み違えがあったと推測します。ただ読み違えといっても、記者としては現場から作業員が実は逃亡していたという方が記事として盛り上がるので、無意識的に期待するかのような読み方で以って読み間違えたのでは、なんて自分の経験から思います。
もっとも読み間違えたからといっても許されるわけでもなく、また原稿をチェックする上司がちゃんと確認したのか、別の記者と資料を読み比べしなかったのかなどという点で、新聞社として質の低さが伺えます。なお共同通信だと、名前の読み仮名をチェックするために相手の名刺まで上司や同僚に確認されるくらい厳しかったです。
次に気になったのは今回の会見のタイミングです。先程も述べたように今日になったのは政府が吉田調書を全面公開することとなったためで、逆を言えば政府が公開しなかったら朝日は誤報だと認めなかったのでは、という点が気になるわけです。今回の問題は記事掲載直後から批判があり、7月頃にはほぼ外堀も埋まってて明らかに誤報だとわかっていたというのに朝日は何の対応もしておらず、何が言いたいのかというと、こいつらは反省する気なんて始めからないのだと私は思います。
さらに皮肉っぽいことを言うと、「機密保護法が通ると原発事故の原因究明が政府によって隠蔽される可能性がある」なんてよく毎日さんと朝日はしょっちゅう叫んでましたが、その政府が当初非公開だった原発事故の資料を公開したことによって追い詰められるなんてかっこ悪い以外の何物でもありません。むしろ自らの日を隠蔽しようとする朝日の体質の方が問題なような。
最後、まだこの点について突っ込んでいる記事は見かけないのですが朝日は二代前の社長であった箱島信一氏が武富士から5000万円を受け取って辞任しており、間に秋山耿太郎氏を挟んでいるとはいえ、メディア企業の割には不祥事での辞任が多すぎやしないかと思えます。ちなみに秋山氏も自認までには行かなかったものの、就任直後に長男が大麻所持で捕まったのですぐ辞めるのではと懸念されましたが、案外長く続けてたんだね。
それにしてもこのところの朝日の取り沙汰振りにはほとほと呆れてきます。自分も先日に書いておりますが従軍慰安婦問題を巡り池上氏の記事掲載を見送ったり、自社を批判する週刊誌の広告を拒否したりと、狙ってやんないとこんなに問題出てこないぞと言いたくなるくらいの量です。特に従軍慰安婦問題については誤報と認めている上にその影響は今回の吉田調書問題をはるかに超えるだけに、なんでこっちは謝罪しないのかという声は確実に大きくなるでしょう。朝日の社説みたいに最後まとめるなら、「政府を批判する前に自己をよく省みるべきではないだろうか」ってところです。
汚職事件でしょうか?
返信削除汚職ちゃう。難しいけどちゃんと読もう。
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