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2014年12月4日木曜日

美濃加茂市長の公判について

 私はこのブログで七月に「美濃加茂市長の逮捕・起訴について」という記事を書き、現在汚職の疑いで公判が進められている美濃加茂市の藤井浩人市長事件について取り上げました。この記事を書いた時点でこの事件は非常に冤罪の線が濃厚だと書きましたがその後どうなったのかふと気になって調べてみたところ既に公判が始まっており、ちょっと自分の予想を超えた事態に発展していて笑えるので、一度乗った船だし最後まで取り上げようという妙な責任感から今日も頑張ってこの記事を描こうと思います。


 上記リンク先はそれぞれ10/1~2、11/19に行われた公判を取り上げた記事です。
 この事件の概要を簡単に説明すると、藤井市長が市長に就任する前だった昨年の3~4月に水供給設備会社社長から中学校に取りつける雨水濾過機の件で便宜を図るよう依頼され、二回に分けて現金を約30万円授受したとして、今年6月に藤井市長は警察に逮捕されました。しかもその逮捕期間は一ヶ月以上にもおよび、この間市議会も市長不在とあって混乱し、全国ニュースでも取り上げられるような事件に発展しました。

 私は前回の記事の段階で警察や検察が出して来た供述が非常にあやふやであるばかりか確固とした証拠もなく、さらには現金30万円ぽっちという通常では逮捕されるにまでは発展できない金額レベルの事件で一ヶ月以上の拘留が続くというのは警察(前回記事で「国家の犬」とまで書いたが)と検察に負い目があるためと見え、この事件は冤罪の線が非常に濃いという意見を提示しました。先に結論を書いてしまうと、もうこの事件は冤罪であると断定してもよさそうで、次のステップこと足利事件、障害者郵便割引制度に続く第三の大型でっち上げ事件として捜査するべき頃かなと考えています。

 まず10月の公判についてですが、今回の事件の発端となった藤井市長に現金を渡したと自ら証言した水供給会社「水源」の中林正善社長の過去の経歴が明かされ、その経歴を見るにつけどうしたらこんな人物の証言をまともに受け取れるのかと思うようなひどい経歴でした。それはどんな経歴かというと、以前に事務員として勤めていた病院で長年にわたり横領を働き、使い込んだ額はなんと1億5000万円にも上ったそうです。しかも一回発覚していながらもこりずにまたやって、またばれて、結局返済義務を課された挙句に辞めさせられたそうです。
 病院を辞めた後に現在の水供給会社を作ったそうですが、こっちも経営実態は借金まみれて文字通りの自転車操業でした。にもかかわらず経営が順調であるかのように見せかけて中林社長は金融機関に対して融資詐欺を繰り返し不正に得た金額は資本金5000万円の会社に対して数億円にも上るそうで、藤井市長の弁護団は「中林社長が融資詐欺で立件されている件数は不自然に少ない」と指摘しています。
 このように経歴からして真っ黒な中林社長ですが証言もあやふやそのもので公判の最中も、「藤井市長から金に困っていると聞いた」という発言を弁護団からの指摘を受けて、「実は藤井市長の知人から聞いた」とその場で翻す始末で、見ていてなんですが「何がしたいんだこのおっさん?」という気がしてなりません。

 このような怪しい原告側の証言者が特に真新しい証拠や証言を出さずにこれまでの供述を繰り返したのに対し、藤井市長を弁護する被告側は公判で何をしたのかというと、書いてて笑えますがなんと暴力団員を証言者として出してきました。この暴力団員はたまたま留置所で拘留中だった中林社長と房、というか牢屋が隣同士だったため話し込み、仲良くなっていろいろ話し込むうちにこの藤井市長の事件についても本音とも取れる話を聞いたとして、わざわざ証言しに来てくれたそうです。その暴力団員が中林社長から聞いた話というのも、

・藤井社長に贈収賄をしたことにすれば融資詐欺事件の捜査を警察はストップしてくれる
・藤井市長とは二人きりの時に現金を渡したと話したが、警察からその場にはもう一人同席者がいたと言われ怒られた

 などなど警察や検察とさも癒着して藤井市長を敢えて追い落とそうとするような内容を事を話した上で、この証言者に対して中林社長はわざわざ手紙を書いて同じことを伝えていたそうで、この手紙については中林社長も実際に書いた出したことをすでに認めています。この暴力団員の証言者が何故わざわざ弁護側の証言台にたったのかについては、中林社長は出所したら韓国人を相手とする人材派遣業を始めようと考えたそうで、証言者の身内に対して事業に協力するよう勝手に動いてたことに強く不満を感じたためだと本人が説明しています。

 このほかにも内容を追って行ったらまだまだ証言と捜査のボロがどんどん出てきますが、これ以上何を探ろうってんだという気持ちが私にはあります。そもそもこの事件は中林社長の証言以外に事件を立証するものは何もなく、しかも中林社長が自ら現金を渡したと告白したことに端を発します。何故こんな怪しい親父の証言を警察と検察は信じたのか、いやそもそも何故岐阜県警、愛知県警、検察の三者は藤井市長を追い落とそうとしたのか、そろそろこの点について考えるべきポイントに達してきたように思えます。藤井市長は全国最年少で市長に当選しており、こういってはなんですが妬むような人間は確かに多そうで、そうした人間と上記の三者がタッグ組んでチンケな詐欺者の訴追を見逃す代わりに事件をでっちあげた、なんて考えたくなってきます。

 最後に極め付けと言ってはなんですが、11月の公判の最後でこんな間抜けなやり取りがあったそうです。該当箇所を弁護士ドットコムの記事からそのまま引用します。

「最後に郷原弁護士が『今回の尋問のために何度も検事と打ち合わせしたのではないか』と問うと、2人の検事が『異議あり』と声をそろえ、『何度も、ではない』と主張。『では何回か』とあらためて聞かれた中林社長が『6、7回』と答えると、傍聴席から思わず笑いが漏れた。」

  追記
 コメント欄から指摘を受け、アップロード時に「警察」と書いた箇所をほぼ全部「警察と検察」に変え、「岐阜県警」と書いたところを「岐阜県警、愛知県警、検察」と修正しました。この事件、岐阜県の事件なのになぜか最初から愛知県警が捜査に加わっててなんか妙だなと感じたことをすっかり忘れてたよ……。
 あと同じ方からの指摘で末尾の、「傍聴席から思わず笑いが漏れた」というところは実際の現場では大爆笑だったそうです。そりゃまぁ検察との密会した回数を聞かれて、「6、7回」と正直に答えられたら面白いに決まってますし、普通のギャグセンス持ってたら爆笑すること間違いなしでしょう。それにしてもこのおっさん、傍から見ている分には凄い面白いな。

12 件のコメント:

  1. 拝見しました。11/19公判結果は下記ブログ2件の方が、検察の醜態ぶりが顕著です。
    <郷原信郎が斬る>美濃加茂市長事件、「検察の迷走」を象徴する実質審理の幕切れ
    http://blogos.com/article/99656/
    <公判後の郷原弁護士インタビュー>美濃加茂市長贈収賄事件 警察、検察から供述の誘導はあったのか>
    http://www.videonews.com/press-club/141119_gohara/

    検察の品格も威信もないなりふり構わない言動として、下記などが述べられています。
    -弁護側請求の証人尋問なので、中林被告と接触しないよう公判担当検察官の指導監督を求める要請書を送付したにも関わらず、不当に6~7回事前打合せした。
    -中林被告は巨額の詐欺にて追加起訴予定なのに保釈:本公判の打合せのため?!
    -中林被告が前回と異なる供述:打合せで知った内容?!裁判長も指摘。
    -裁判長の注意も聞かず前回の証言と重なる質問を続けた。
    -B氏(対質した留置場の知人)に対する反対尋問で、傍聴席との遮断措置をとるなど配慮しているのに、名誉を著しく傷つける質問を何度もした。

    最後の方で一部誤りあります。
    -岐阜県警⇒愛知県警
    -警察⇒検察 捜査記録によれば検察に持ち込まれ検察主導で事件を捏造
    -思わず笑いが漏れた⇒爆笑が起こり裁判長から「静粛に」と注意

    なお、ご指摘の本事件を検察に持ち掛けた黒幕は、藤井市長となったことで既得権を脅かされたある団体と政治家だと目星が十分ついています。
    以上(美濃加茂市民)

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    1.  コメント、並びにご指摘ありがとうございます。地元の方にも読まれているなんて、ライター冥利に尽きます。
       ご指摘を受けた箇所に関しては早速記事本文を一部修正した上で追記にその経緯を載せました。結構いい加減にいつも書いているので、こうやってご指摘いただけるとほんと助かります。ただ一点だけ言い訳させてもらうと、「笑いが漏れた」と書いた箇所は弁護士ドットコムの記事からの引用で、自分の文章ではありません。にしても弁護士ドットコムのやろう、ニュアンス抑えて書きやがって……。

       いつもコメントの返信に逆質問をすることはないのですが地元の方ということで一点だけお聞きしたいことがあります。その質問というのも、地元メディアはこの事件をどのように報じていますでしょうか?いくつかの岐阜県の新聞は視聴側に同情的な立場で記事を書いているようですが、印象としてどう感じるのか、もし教えていただければ幸いです。同時に、美濃加茂市の市議会議員などの反応もわかるようであれば聞きたいです。確か市長が逮捕された当初、職務遂行に問題があるとか言って辞職させようとした動きがあったような気がしますが。

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    2. 1.警察、検察について
      捜査記録によると、本件は元々検察に話を持ち込まれたそうで、初動捜査も検察主体だったそうです。
      警察も、愛知県警と岐阜県警の合同とはなってはいますが、実質的には愛知県警のみです。

      2.新聞報道について
      中日新聞と岐阜新聞が大半となりますが、朝日新聞、毎日新聞含め何れも愛知県警、検察から垂れ流し情報をもとに、特に逮捕時は有罪視した報道ばかりでした。
      下記ブログのようにその際に証拠とされたものが全て誤報であり、結局は中林被告の証言のみが証拠となります。(勿論それも怪しいが、)
      http://gohoo.org/14112302/
      http://gohoo.org/14112401/
      http://gohoo.org/14112501/
      なお、公判が始まっても、誤報ではないけど論調は相変わらず有罪視した記述ばかりでした。
      http://lite.blogos.com/article/94786/
      朝日新聞、岐阜新聞は、最近やっと中立になってきましたが、中日新聞は検察との強い癒着のためか相変わらずです。

      3.市議会について
      元々市議会の過半数をしめ、市長戦で負けた会派であり、黒幕と強く繋がっているとされる当時の森議長が、いないうちに市長辞職を試み、8/17には共産党も含めて問責決議案を可決させました。
      http://lite.blogos.com/article/91541/
      しかし、8/25に市長が保釈されてからは、9月末の市議会選も含め、市長が完全復帰したのでおとなしくしています。無罪だと信じてはいるが、事件に巻き込まれ信頼を失ったことが問題とは主張していますが、、推定無罪という人権尊重を無視していますね!
      何れにせよ、何であんなもので逮捕され起訴されるのか? また黒幕のことも多くの市民が知っていますので、大半の人は市長は無実と考えています。

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    3.  質問に対するご回答、誠にありがとうございます。検察が主体、愛知県警が乗り気で捜査など自分の聞いている情報とも一致しており、事態の把握に自信が持ててきました。また市議会についても、これなんか大手メディアだとなかなか手に入らない情報だけに教えていただき大変参考になりました。
       新聞メディアはどう伝えているのかを何故聞いたのかというと、日本では都心部はともかく地方では地方紙が案外実力持っててそれによって世論も変わってくる傾向がある一方、地元の有力者と癒着した報道をすることも多くみられるため、果たして岐阜新聞とかどうなのかなと考えたからです。自分がネットで見ている限りだと岐阜県内の新聞は逮捕当初はともかく、大分市長側に動いてきているのでまだまともかなと思っていましたが、中日新聞はまだおかしな報道をしていると聞いて、「これは好都合……」と思わずほくそ笑みました。
       私は中日には個人的にも借りがあるだけに、ちょっと気合入れて各報道を調べた上で今後もこの事件を追って行くことにします。書く時期は不定期になりますが、今後の記事でも何か気づく点などがあれば遠慮なくご指摘いただければ幸いです。

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  2. 証人尋問は、対質した11/19で終了し、
    12/19検察側の論告公判、12/24弁護側弁論で結審です。
    その際の各新聞の報道を比較してみてください!

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  3. 中国の周永康公判と比較したら、メッチャ小さいcaseと思いますわ。

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    1.  実際そうだよね。こっちの汚職事件とか日本とはけたが二つ三つ違うし。

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  4. 新情報です。別途改めて論議展開して頂ければ(美濃加茂市民より)

    #検察なう (438) 「美濃加茂市長事件アップデート~贈賄供述者の判決の重要性」 12/18/2014
    http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/blog-entry-795.html

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    1.  新情報ありがとうございます。
       早速リンク先のページ行って記事読んできましたが、一言で言って非常に読み辛い文章であったため辟易しました。具体的にどこがまずいのかというとこの人、文章で主語と目的語をほとんど明示しないどころかごっちゃにして書いているところがあります。私に言わせればこれは頭を使って内容を読み解かねばならない暗号です。ご紹介してもらいながら申し訳ないですが、こんな暗号みたいな内容を基には記事を紹介することはおろか意見を書くことはできません。
       予定通りに行われるならまた明日公判があるので、そっちの方に集中してこの事件はおってくつもりです。つっても明日忘年会だから書くのは明後日かな。

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    2. との併用で、検察のここまでやるかという横暴が分かりやすいと思ったのですが、、難解ですか?!
      12/19は検察側の論告求刑だけですので、12/24弁護側の弁論が終了してから議論してもらった方がよいと思います。

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    3. 申し訳ありません。冒頭に下記が消えたようです。
       「郷原信郎が斬る」

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    4.  うーん、難解というか、はっきり言って文章が汚いと言うほかないですね。自分でもなんでここまで批判するんだという気がしますが、真面目にここ数年内で見た中で断トツにひどい文章で、裁判内容という敏感な問題を取り上げるにはちょっとひどすぎるのではと思います。
       また予備知識がある自分なら内容は把握できますが、もし予備知識なしだったら前述の通りに主語と目的語が曖昧でないまぜになっていることから、内容を読み違える人も出てくる可能性があると思います。そうした点を考えると、ちょっと紹介したくはない記事でした。
       あと証人と検察が結託している疑いについてはこれまでに出ている材料でもわかるため、紹介してくれたブログの様に新しい材料が出てきたとしても、それが確固たる証拠でない限りは無理して取り上げるまでもないでしょう。この手の裁判ネタというのは材料が半端なく多いため、出来るだけ核心がわかる材料をしっかり選び、簡潔に書くことが読者に周知する上で大事だと思います。郷原さんの記事も悪くはないんですが、ちょっとごちゃごちゃしている印象を覚えますし。
       この点はスタンスの違いと割り切っていただければ助かります。自分は読者に対しては余計な情報を与えず、如何に身近に感じてもらって短時間で理解してもらうか、こういう方面に変な執念燃やすタイプです。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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