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2015年4月26日日曜日

教員免許の国家資格化案に対する意見

 政治系ブログなのにゲームやマッドシティばかりこのところ取り上げていますが、今日は久々に政策に対する意見のような考察を書くことにします。

<教員免許>国家資格に 自民提言へ、資質向上図る(毎日新聞)

 上記リンク先の毎日の報道によると、自民党内で教員免許を現在の都道府県ごとの教育委員会による任命方式から、中央政府による一元的な任命方式に切り替える提案を準備しているそうです。切り替えに当たっては統一国家試験を設けるほか、1~2年程度の学校での研修期間も作ることなどが検討されているそうで、「教員の質の向上」をお題目にしてこれらの改革を行うなどと書かれてあります。
 この政策案に対する私の意見を最初に述べると全く以って反対で、現行制度が正しいわけではありませんがこの改革案だと何も改善が期待できず、また別の問題を噴出させる可能性もあると考えております。

 従来制度とこの国家資格化案とで最も大きな違いはなにかとなると、免許取得までの流れです。従来制度であれば大学で必要な単位を取得することで自動的に教員免許が得られますが、国家資格化案では単位を取得して大学を卒業した後に国家試験があり、その試験通過後にも数年の研修が課されることとなります。仮に報道の通りであれば新制度になると正式な教員として教壇に立つまで現行より数年遅くなることなり、そのかわりにしっかり研修なり教育なりを施すことで教員としての質を高められると考えているのでしょう。

私がこの国家資格案に対して反対する理由はいくつかありますがまず第一に大きいものとして、そもそも数年の研修でそこまで教員の質が上がるのかという疑問です。現在でも40代や50代といった教員として長い経験を持った教師ですら指導能力が著しく低くて問題となるケースを聞きますし、一年やそこらの研修で指導力が上がるかと言ってもそれ以前の問題のような気がしないでもありません。
 そもそも同じ「質の向上」というお題目で始まったものに弁護士資格のロースクール制度がありますが、少なくとも私が効く限りだとロースクール制度が始まってから弁護士の質が向上したなんていう話は一度として効いたことがありません。むしろこの制度で弁護士が量産された末に資格は取得したものの仕事がなく食っていけない弁護士が増え、行きつく先はグレーゾーン金利の取り立てばかりでむしろ前より質が低下していないかと思える状態です。

 話しは戻って国家資格化案に反対する二つ目の理由ですが、これもロースクール制度と被りますが、教員になるまでの期間を延ばすことによって教員志望者の懐というかお金の負担も大きくなる懸念があります。
 知ってる人には有名ですが現在、司法試験合格者は平均で数百万円の借金を背負っているという塔系が出ています。ロースクールに通って試験に合格するまでは全くの無収入で、そこからさらに司法修習生として研修を矯正されるため弁護士として独り立ちする頃には身動き取れないくらいの借金漬けな人が多いそうです。
 仮に教員試験も研修期間を設けるとしたら、その期間の収入はどうするのか。政府が出すのか出さないのか、出さないとしたら奨学金で借金を背負わせるのかという疑問があります。だったらあまり効果があると思えない研修なんてやめてとっとと現場に送る方が社会全体で効率がいいように思えます。

 最初にも書いた通りに現行制度も果たしてどうなのか、教員免許を取る人には効率のいい指導方法を学ぶ機会がちゃんとあるのかという疑問もありますが、少なくとも今回出てきた国家資格化案は何も改善がなく新たな問題を作る懸念が大きいとして今の状態であれば私は反対です。そもそも国家資格として定めることで資格取得者が保護できるか、質を上げられるかとは全く別問題でしょう。
 そもそも近年の日本の士業は先ほどの弁護士、公認会計士、行政書士など、どの資格も取得はしたもののほとんど仕事が出来ない、収入アップにつながらないなど権威の失墜が激しく進んでおります。そういう意味では教員免許だけとは言わず、日本の資格制度を根本から考え直すべき時に来ているのかもしれません。

4 件のコメント:

  1. 全く同感です。
    我が国における資格偏重制度と、
    論外な規制緩和との愚かな相関関係については、
    呆れるというか嘆かわしいというか・・・。
    どうしてこうなってしまったのかなと。
    教師になれる条件も、もう子供が減少の一途をたどっている、
    現状を受け入れて4月新卒定員制というシステムの一切廃止し、
    10年以上民間企業で勤務し実績を残した、
    元予備校教師はもちろんのこと、
    たとえば元銀行員や為替ディーラーの数学教師とか、
    元ベテラン海外ツアーコンダクターの英語や世界史の教師だとか、
    元編集者の国語教師など実践的な教育ができる環境を整え、
    社会に即戦力として貢献できる人材の育成こそ、
    この国の未来を考えた場合、急務課題ではないかと考えます。
    もっとも中国の方が日本よりはるかに、
    超国家資格重視の国ではなかったかと・・・。
    そのあたり花園さんは如何お考えでしょうか?(^^)


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    1.  元々資格はその職業に従事する人間をある程度保護するためにありましたが、最近だと中途半端に資格取得が面倒くさくなって逆効果となっている場合が多いですよね。それならいっそのこと資格取得のハードルを下げ、潮風大使さんの言うように予備校講師や他の職業経験者が教壇に立った方が良いのではと私も思います。

       中国についてですが経理業務は資格取得者しかできないなど厳しく管理されている面もありますが、それ以上に営業許可や事業許可、貿易許可などの方が重要度が高いです。これら許可証を取得するのにコネが幅を効かせており、外資系なんかはそういうコネのある人材をうまく取れるかが結構重要だったりします。

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  2. キミはどんな資格をお持ちでしょうか?

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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