本題とは関係ありませんが昨日の中国株式市場は一昨日に続いて続騰し、まだまだ油断はできませんがひとまず今回の山は越えたのではないかと思います。それにしてもたかだか株式市場が落ち込んだくらいで他のマクロデータも分析せず、「これで中国は崩壊する」などと散々騒いでた連中は一体何だったのか。以前にも記事にしていますが「今年こそ中国は崩壊する」という本を毎年同じ人間が出版しており、昔のゲームのセリフを引用するなら「ハエのよーにうるさい奴らね」という印象を個人的に覚えます。前の繰り返しになりますが願望は予測する上で最大の障害で、冷静な思考すら持てない人間はそもそも予測などするべきではないでしょう。
話は本題に移りますが、オリンピックにも使う新国立競技場の建築費が当初予想より大きく膨らむことについて大きく注目されております。別に私がここで語らなくてもほかの人がこの問題についてはあれこれコメントしてくれるので放っておいてもいいのかなという気がしますが、論点を少し整理する必要があるというかほかのメディアがあまりやっていないので、一つこのブログで整理するとともに、誰も言おうとしない数字の裏をこの私が突いておこうと思います。
1、建築費は何故膨らんだのか
新国立競技場の建築費は昨年5月の基本設計段階では1625億円になると見積もられておりましたが、着工に当たって土建屋とそろそろ契約を結ばなければならない今年に入って突然、実際には2520億円くらいかかりそうだということが明らかになりました。
膨らんだ建築費は差し引き895億円(以下、約900億円)ですが、建築費がこれほど膨らんだ理由について政府は、東日本大震災以降は建設ラッシュが続いているため人件費や資材費が高騰していることに加え、もうみんなにとってもお馴染みの「キールアーチ」と呼ばれる屋根部分の施工が非常に難しい設計になっており、高価な特殊鋼が大量に必要である上に施工費用も半端なく、実質的にこれ一つが原因となって大きく高騰したと説明されています。
2、どのタイミングでわかったのか
建築家などの業界間ではもしかしたら早い段階からわかっていたのかもしれませんが、私の記憶する限りだと建築費がこれほどまで膨らむことが初めて公になったのは、5月に政府から舛添東京都知事へ建築費用を東京都にも一部負担するよう申し入れがなされたタイミングだったと思います。この時申し入れられた負担額は580億円ですが、報道を見ている限りだとこの数字には具体的な根拠はなく、政府としてはなるべく多く、受け入れてもらえる範囲でこの数字を舛添都知事に持ってきたのでしょう。
あまりこの点を突いた報道は見かけませんが、基本設計の見積もりが昨年5月に出来上がっていたことを考えると、この都への費用負担のタイミングはあまりにも遅すぎます。何が言いたいのかというと、恐らく政府は早い段階で建築費用が半端なく膨らむことがわかっていた、時期的には昨年内にはわかっていたのではと私は睨んでいます。にもかかわらず今年5月まで黙って発表しなかったのは、急いで契約しなければならないタイミングに明かすことで強引に押し通そうとしたのではと勘繰っています。
仮にそうだとしたら、このサボタージュによって設計を見直せたかもしれない折角の時間を空費したこととなります。こうした点を検証するためにも一体いつの段階で建築費が膨らむ事実がわかっていたのか、はっきりさせるべきだと思うのは自分だけなのかな。
3、誰がこんなクソ設計案を採用したのか
恐らくこれが今一番議論となっている点でしょうが、今回の新国立競技場の設計は2012年の民主党政権時代に国際コンペにかけられた上でザハ・ハディド氏という今一番ホットな外国人のデザイン案に決定されました。このコンペ自体は建築予算は1300億円として募集が掛けられていたようですが、それが応募者にちゃんと伝わっていたのか、選定段階で予算内に入るかどうかを審査したのかがいまいちよくわかっていません。「よくわかっていない」という言葉はこの政治の世界では、「不手際があった」と同義でありますが。
ただこの問題におけるいわゆる「戦犯」が誰なのかは私も興味があるところで、差し当たっての候補ナンバーワンと目されたのは有名建築家の安藤忠雄氏でした。安藤氏はこのデザイン案を決める審査委員会の委員長を務めており、一部報道では安藤氏の推しが決定打となってこのザハ案が決まったとされています。このように批判が出始めている中、安藤氏は7日に開かれたデザインを一部見直すための有識者会議を急遽欠席し、下村博文文化相からは実質的に、責任逃れなどせずきちんと出てきて説明しろ、とコメントされる始末でした。
私自身も反論もせずこのタイミングで欠席するということは安藤氏は自覚ありなんだなと思ってましたが、本日放送されたテレビ番組にFAXを寄せ、以下のようなコメントを出されました。
・建築予算が1300億円だということはきちんと伝えてあり、応募者も理解していた。
・総工費とデザイン費用を別々にしてはいない。
また安藤氏とどうも個人的に付き合いのある番組司会の辛坊治郎氏によると、以下の様にも発言していたそうです。
・デザイン決定後の基本設計などには一切かかわっていない。
・何故これほど費用が膨らんだのかわからない。
更にその上で辛坊氏は、安藤氏がいろいろ出てきて話したいこともあるそうですが周囲に止められていると話していることを明らかにしました。
仮にこの番組での安藤氏のコメント内容が事実であるとすれば、誰が戦犯なのかやっぱりわからなくなります。私個人の意見を述べると、少なくとも基本設計後に予算が膨らんでいる事実を隠していた人間は確実に存在するのでまずそいつを叩きだした上で、設計者のザハ・ハディド氏と安藤氏をこの際国会に証人喚問して真実を確かめた方が良いかと思います。やり過ぎではと言われるかもしれませんが、これによって900億円近くの金が動くことを考えると決してやり過ぎだとは私は思いません。
仮にゴルゴ13が一人の暗殺を5000万円で引き受けるとしたら、900億円あればなんと1800人もゴルゴ13に暗殺してもらえる計算となります。私はこうした計算を勝手に「ゴルゴ指数」と呼んでどれだけその金額が途方もないのかを考える目安にしているのですが、1800人もゴルゴ13で暗殺できる費用ということを考えると一人や二人の人生とか経歴とか命とかを無視してでもきちっと区切りをつけるべきだと思います。
なおこの知恵袋によると、ゴルゴ13の平均依頼料は20万米ドルだそうです。だからなんだと言われたら困りますが。
4、何故膨らんだ費用は895億円という数字なのか
恐らくこんなことを取り上げるのは私くらいでしょう。こんな風に見るのも案外中国にいるせいかもしれませんが、この「895」という数字に強い作為を私は感じます。どんな作為かというと、数字を小さく見せるための作為で、言うなれば「900億円」と言うよりは「895億円」と言えば実質的な差額は5億円でも見た目の印象からするともっと低いように見えます。逆に言えば、膨らんだ費用が「約900億円」ではなく「約1000億円」だったら、見る人の印象はもっとずっともっと違ったんじゃないでしょうかね。
何が言いたいのかというと、増加した建築費用は現時点の見積もりであっても実際にはもっと大きいのではないかと疑っています。それこそ1000億円は軽く超えているものの、世論の反発を恐れて桁数を一段低くして、さらに「900億円強」とせず「900億円弱」とするためもう一回り小さくした、なーんて言う風にみえて仕方のない数字が「895」です。
そもそもこういう箱物建築は予算を上回ることが当たり前で、断言してもいいですが最終的にかかる建築費用は2520億円を必ず上回り、下手すれば3000億円以上(ゴルゴ指数で6000人以上)になるかもしれません。だからこそ後腐れのないよう、こんなクソな計画を立てた責任者は今のうちにいろんな世界から退場してもらわなければならないと強く考える次第です。
最後にやや期待し過ぎな言い方なのかもと自分でも思いますが、小泉元首相だったら設計見直しを即決断していただろうなという考えが頭をよぎります。それこそ、「どう考えたっておかしいじゃないかこれは」なんて言いながら。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。
注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。