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2015年7月9日木曜日

世界遺産登録会議での韓国の行動について

 この件について書くつもりはなかったのですが昨日友人から尋ねられたのでちょこっとだけ見解を書いておくことにします。

 先日の世界遺産登録会議において韓国側が日本との事前の約束を保護にして日本国内の候補地の登録に反対したことは皆さんの記憶にも新しいかと思います。この約束は日韓の外相間ではっきり確認されていたものですが、日本の報道によると韓国側ではうまいこと出し抜くことが出来たと報じられているとされ、少なくとも韓国政府の対応を批判するような声は少ない気がします。
 それに対し日本側ではメディア、市民揃って今回の韓国の行動に強く憤っており、ネット上に至っては韓国の口車にまんまと騙されて、あの国を信じるなんて以ての外だなどと外務省を批判する声も出ております。

 この件に対する私の見解を述べると、少なくとも日本、韓国の候補地は登録に至ったのでそれはそれとして、恐らく日本側はこの件の怨みをそうそう簡単には忘れないだろうと思います。

 近年の日韓関係悪化に関して最も致命的だったのは李明博全韓国大統領の「天皇土下座発言」であって間違いないですが、この一件はかねてから日本人から嫌われていた朴槿恵政権をさらに嫌う一打になることは想像に難くなく、予想で述べればこの前決まったばかりの日韓首脳会談も多分流れるのではないでしょうか。仮に予定通り行ったところで、日本では安倍首相への批判が増えることでしょう。

 ただこれだけの内容であれば誰でも語れるのでこの件についてこれまで触れなかったのですが、少し深く掘り下げるというべきか、この事件において真に議論すべき点は「どうして韓国はあからさまに日本に嫌われるような行動を取ったのか?」という点ではないかと思います。普通に考えて外相間ではっきり約束した内容を土壇場で保護にする(ギリシャは首相が反故にしたが)というのは国際外交上では失礼極まりない行為に思え、私からすればどう考えたってあのまま素直に賛成票投じていた方が総合的にプラスだったのではと思えて仕方ありません。にもかかわらず何故日本側の態度を硬化させるような行為に出てきたのか、韓国だからと言われればそれまでですが、私はこの背景には案外、朴槿恵大統領が直接関わっているのではと考えています。

 本来なら韓国政治の専門家でもない野次馬的な立場の私が述べるべきだとは思わないのですが、一個人のたわごとだということ前提にして述べると、朴槿恵大統領の決断の仕方には私は一つの特徴があるように感じます。朴大統領が日本を嫌っているということは言うまでもなくこれまでも告げ口外交をアメリカに注意されるまで続けてきたことは誰もが知っている事実で、今回の土壇場での登録反対もそうした流れで起こったと言われても自然です。
 しかし一度は外相間で賛成票を投じ合うという約束を行っており、私は少なくとも約束が交わされた時点では横紙破りをするつもりはなかったのではと思います。何故なら、初めから裏切るつもりなら初めからそう言っておけばいいだけで、そもそも最初から約束なんてしない方が日本側に批判する口実を与えずに済むからです。なら何故土壇場で方針をひっくり返したのか、理由はほんとそのまんまで、土壇場で「やっぱり反対しよう」と考え直したからではないかと私は考えます。

 このように考えるのも、朴大統領を見ているとはこれまでの任期中で異常なくらいにドタキャン行動が多いからです。他国要人との会談欠席はもとより会見や式典も予定されていたものをしょっちゅうドタキャンしており、本人が「必ず出席する」と述べていたセウォル号事件から1周年の哀悼式典にも直前になって外遊の予定を入れてすっぽかすなど、友達にいたら「t.A.T.u」ってあだ名つけられそうな位な常習犯です。一体何故これほど多いのか、本当に勝手な予想ですが、こうした行動を取るのは朴大統領が最後に会った人の話を聞くタイプの政治家だからじゃないかと考えています。

 たまにこういうタイプの政治家ってのが世に出てくるのですが、どれだけ事前にメリットやデメリットなどを総合的に説明して本人も、「わかった、それでいこう」と承諾しながらも、最後にあった人が「いや、こうした方が良い」というと、「わかった、それでいこう」と決断をひっくり返す政治家というのがいつの時代にもおります。私が見ている限りだと朴大統領もこのタイプであるように思え、一度決めた内容を最後まで貫徹するのではなくその場その場で言われる度に考えを変えるタイプじゃないかと、側近政治と批判されている点を取っても感じられます。
 笑えないのは日本にも鳩山由紀夫というそのようなタイプの政治家がいたってことです。まぁこの人に至っては他人に言われなくても自分一人で決断を180度ひっくり返すことも多かったが。

 なので今回の世界遺産登録会議の事件も、外相同士が約束した後で恐らく、「会議の際に反対しても日本側は態度を硬化させない。でもって国内では支持が上がる」なんて入れ知恵が直前でなされたんじゃないかと勝手に疑っています。決断したのは朴大統領なのか側近なのかはわかりませんが、少なくともこの政権はドタキャンのデメリットを全く考慮せず躊躇なくやってくる政権だと見て間違いありません。

 その上で述べると、仮に朴大統領がそのような「最後に会った人の話を聞く」タイプの政治家であるとすれば、日本にとってはこの上なく都合のいい大統領で、なるべく長く政権が維持できるよう陰ながら応援するべきだと思います。何故ならこういうタイプの政治家だと動きが読みやすく、またゆさぶりなどの戦術も効きやすいからです。
 反例と言ってはなんですが、全く人の話を聞かないタイプの政治家ときて真っ先に思い浮かぶのは小泉純一郎元首相です。彼なんか外国の首脳からしたらかえって扱い辛かったろうな。

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