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2015年8月27日木曜日

中国における軽自動車市場

 また本題とは関係ないですが先日Yahooニュースに出ていた時事通信の記事で、リアル不沈艦だった雪風の乗組員だった方のインタビュー記事があり、非常に興味深く読ませてもらいました。その一方で今日、新護衛艦「かが」に中国は反発するのではという記事が出てましたが、これ読んで思ったこととしては「てめー加賀さんディスろうってのかよ?」、「ボーキサイトなめんなよ」といったところで、もし何か中国が文句を言って来たらこっちのサイトにある画像を大量に送り込めばいいのではと思いました。
 ってかなんで、「艦これ」の中でも「加賀」だけさん付けなんだろう。なんとなくしっくりきますが。

 そういう軍艦トークは置いといて本題に入りますが、一昨日かいた軽自動車の話について中国の軽自動車業界について質問があったので今日はそれほど詳しくないですが私の持ってる知識の範囲で少し語ろうと思います。結論から述べると中国では軽自動車というカテゴリーの市場はなくはないですが非常に小さく、今後も伸びるかといったらあんま伸びないだろうってのが私の味方です。

 細かい話をする前に中国の自動車業界について少し解説すると、まず日本における自動車税というのは存在しません。中国では自動車を購入する際に税金が課される消費税のような形の自動車税はありますが、保有する自動車に対してかけられる資産税型の税金はなかったりします。何気に住宅に対しても資産税が基本的にないから最初知った時はほんと驚きました。
 一応、そんな消費税型の中国の自動車税では排気量に応じて納税額は変わりますが、はっきり言ってそんな大きな差ではなく、排気量の小さい小型自動車だからと言って日本市場の様に特別大きな恩恵はありません。なので自動車メーカーも小型自動車を作ることにはあまり積極的ではなく、中国では道路の舗装も悪いことから大型で乗り心地のいい車が人気となるため市場に出される車種もそれほど多くはありません。

 ただ全く売れていないわけではなく、奇瑞自動車(チェリー)の「QQ」という車は一時期爆発的に売れて中国の国民車と言われるほど好評を博しました、かつては。この車はデザインはシボレー・スパークという車をモロパクリしたものですが、パクッた甲斐あって車両価格は非常に安く、日本円にすると大体40~50万円くらいで1台購入できます。なお排気量は約1ℓです。
 この車は2010年に中国政府が販売奨励策を打ち出した時期に大変売れて、確かこの年の販売台数でトップにもなってます。しかし好評だったのは本当に一時期だけで、販売奨励策が期限切れでなくなるや否や売れ行きもだだ下がり、一回モデルチェンジして再びあの栄光の日々を狙った節がありましたがやっぱりあんま売れなかったようです。多分、地方へ行けば購入する人もまだいると思いますが、少なくとも私の周り(上海周辺)だと最近は路上でもめっきり見る数が減って、なんか古いQQを三輪車に改造したのばっか見たりします。

 一体何故QQは売れなくなったのかですが、やはり一番大きいのは販売奨励策が打ち切られたことが大きな原因でしょう。QQ自体が一般市民にも手が届く値段でというコンセプトで作られた車ですが、本当にこの車を買いたい購入層は販売奨励策なしでは購入できないほど所得が低いんだと思います。逆にQQを買うことが出来るほど所得のある層はもっといい車も買えるくらい余裕があるためQQをわざわざ選ばず、なんていうかターゲット層に対する価格と質が変な所に挟まっちゃったのが現状のように見えます。
 コンセプト自体は決して悪くはないのですが、インドのタタモーターズが作った超格安車も発売当初は話題になったもののその後の売れ行きはそれほどでもなかったと聞くだけに、案外この手の小型自動車市場ってのは優遇政策なしには成立しないものなのかもしれません。

 このQQ以外だとダイムラー傘下の二人乗り自動車メーカー「スマート」の車はまだ路上で見ますが、やっぱりこれもレアな部類です。そもそも中国は自動車に対して見栄を追及して車体の大きい車が尊ばれるのと、半端なく事故が多いため頑丈そうな車が好まれます。その点で小型自動車は最初にあげた乗り心地の点でもハンデがあるため、今後もこの市場が伸びるかといったら何かしら独自性が無ければ難しいのではという気がします。

 と、ここまで割と悲観的な予想ばかり述べてきましたが、前向きに見られる要素もなくはないです。その要素はいわゆるセカンドカーの需要で、街中を見ていても女性がやけに高級な車を運転しているところを見ることが多く、多分所得の高い旦那の車を運転しているんだと思いますが、奥さん専用車としてなら軽自動車はまだ需要があるような気がします。
 そしてもう一つ、先ほど必要だと言った独自性なのですが、そこそこ市場で独自の地位を築きつつある車種が一つあり、その名は「北斗星」といってわかる人にはもうわかってニヤニヤされてるでしょうがこれはスズキ「ワゴンR」の中国名です。

 作っているのはスズキの合弁会社で以前自分も頑張って取材したことのある昌河鈴木で、中身の装備は日本とは異なっているようで中国サイトでのカタログを見ると排気量が1ℓと1.4ℓの2タイプになってます。でもって燃費も悪いし。
 ただこの車、中国のサイトを見ていて話題に取り上げられるのをたまに見たりします。このような軽自動車カテゴリの車種が少ないというのもありますがその中でもデザインが割と洗練されている方だし、何より日系車ということで性能についても程よく安心感が持たれているようです。私も街中でたまに見ますが、小型車自体が少ない中国の道路だと一目で目を引くボディとデザインで、それでいて持ち味である広い車内スペースを鑑みると目下対抗馬がいない車種なのではと思ったりします。

 生憎ながら中国でも物凄い売れているというわけではないのですが、セカンドカーとしての価値が認められればワゴンRは売れるんじゃないかなという気がします。しかしそうなるためにはなんといっても政策の優遇が必要でしょうが中国政府がわざわざこのカテゴリーに限定して優遇策を出すことは考えづらいだけに、やはり前途は厳しいでしょう。今の所、奇瑞汽車以外でこのカテゴリーに新車を出そうとするメーカーもおらず、多分最終的にはスズキの合弁しか供給しなくなる気がします。
 ただこれは逆に言えば、軽自動車というのは日本らしい見事なガラパゴスなカテゴリーだとも言えます。前回記事でも書きましたが私は日本の軽自動車は見事な設計で素晴らしい可能性を秘めていると思えるだけに、中国市場にローカライズした軽自動車を作って新たな市場を作るような試みを是非やってもらいたいと、密かにスズキさんに期待しています。

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