以前にあれこれ相談を受けていた知人から、「面接を受けに入った会社があるのですが」と、スカイプのチャットにて就職相談を受けたことがありました。その求人の待遇は悪くなく、というより仕事内容に比してやけに良すぎるように覚える内容だったため、残業代や勤務時間などがしっかり管理されているのか確認した方が良いと私からアドバイスをしたところ、
「残業に関してはサブロクで何とかするそうです」
という、答えが返ってきました。
一見して奇妙さを覚えた私はこの知人に、「お前、サブロクの意味知ってんのか?」と聞き返したところ、そいつはあろうことかウィキペディアの記述をそのまんまコピペして私に返信してきたので、「これ、お前の言葉じゃねぇだろう。なんで素直に知らない言えないばかりか、自分が理解してもいない内容を説明の根拠に使うんだ」と、ちょっとキレ気味に問い詰めたことがありました。
普段からそれほど温厚でもない私ですが、以前にもそいつは質問した内容に「知らない」と言わずどっかから引用した言葉をそのまま貼り付ける行為を繰り返していただけに、この時は猛烈に怒った上で二度とするなと最後に吐き捨てましたが、改善できるほどの人間じゃなかっただけに多分今も同じように「知らない」と素直に認めず、無駄にプライドだけ高いまんまでいる気がします。
今日、どうしてまたこんな妙な私の激怒エピソードを引用したのかというと、リンクを結んでいる「笑う蜘蛛の糸」の潮風大使さんの記事に、上記の「サブロク」こと「三六協定」が出てきたのを読んだのがきっかけです。この三六協定とはそもそも何なのかというと、簡単に言えば労使間で労働条件を協議して自由に決めていいとする法律です。具体的には会社側と全従業員から一定の支持を得ている労働組合の間で合意が出来た場合、労働法で規定している最大残業時間や残業代の算定方法を無視し、自分たちで自由な規定を作ることができます。
この三六協定は聞いてる限りだとほとんどの大手企業で実施されているとされ、昔に読んだ記事だとソニーとかでもこの協定によって月間の最大残業時間を超過してもよいことになってるそうです。まぁワタミにおいては「従業員は皆家族だから労働組合なんて必要ない」と言って、自由に法律ぶち破って労働条件を会社側が決めたりしてますが。
三六協定について話を戻すと、労働組合にいたりそこで活動をしていた人間なら大抵知っていますが、そうじゃない人なら労働法を勉強していたか人事関連の仕事をしてないとまず知る機会はないでしょう。冷凍たこ焼き好きの友人は後者で、彼自身は間違いなく物知りな人間でありますが、その方面の仕事に関わらない限りは永遠に知らずに終わっていたと述懐するほどです。
なのになんで私はこのサブロクを知ってるのかそれは置いといて、潮風大使さんの記事では過酷な勤務で有名な大手バス会社を例にとり、国はバス運転手の勤務に対してあれこれ規定を設けているものの、現行法では「二週間に一回の休日取得」が義務としてあるものの、「十三日連続勤務」は合法であって実際やっているところがあると指摘しています。これ以外にもあれこれ規定はあるもののどれも意味をなさない規定が労働法に多く、旅行バスで事故が起こるのも不思議なことではないとまとめられています。とりあえずW社のバスはもう乗らないことにしよう(゜-゜)
この潮風大使さんの指摘には私も深く同感しており、そもそも日本の労働法はそもそも存在する意味があるのかといつも疑問に感じております。先程の三六協定をひとつ取っても「合意があれば法律を無視していい」というジャーマンな投げっぷりですし、またそれ以外の規定も年金の取り立てはやたら細かくかつしつこい癖に、不法就労や違法な労働条件の摘発は本当にやってるのかと思うくらい何もせず、はっきり言えば労働関連の省庁にいる人間はお前らみんな給料泥棒だと罵りたい思いすらあります。
私が必死で取り上げた派遣会社のマージン率公開規定も、何も罰則がないためかネット上で正直に公開している企業の方がレアなため正直者がバカを見ている現状です。この状況に注意喚起はおろか、派遣労働者の方々にこういう規定があるということの広報すらしない辺り、厚生労働省も本音ではあまり公開されないでほしいと願っているのかもしれません。
この記事で言いたいことを一言にまとめると、日本の労働法は規定がいい加減である上に執行が徹底されていないことから実質的に機能不全な状態にあると断言します。ブラック企業の横行は言うに及ばず、新卒就職者から大量の離職者が出るという異常な状況について何にも対策せず、法律を守らない人間が一方的に得する状態が続いていることが当たり前とする、異常であることが正常に感じる事態にまでもう至っているでしょう。
どうしてこうなったのかといえば一番悪いのは厚生労働省で間違いなしですが、もう一つ挙げるとすれば労働について真剣に議論して考える政党がないということも大きいように思えます。社民党などは正社員にとっては味方ですが現在多数派となりつつある非正規雇用の人たちからすれば確実に敵と言える存在ですし、またほかの政党も全体経済を優先するあまり労働生活の向上などは二の次にしか考えてないように見えます。
まぁこの辺、本気で議論したらまた長くなるのでそろそろ締めますが、自分も大学時代から現在に至るまでよくもまぁこんなに長く労働問題に関わるもんだなとそろそろ呆れます。まぁそれだけ、いい恩師に会って影響を受けたということなのですが。
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