結論から言えば倒産するリスクもはっきり出て来たのでは、というのが私の見方です。
・ホンダ、新モデルでタカタ製エアバッグ使用停止(読売新聞)
・タカタ取締役「ホンダの意向は確認していない」 ホンダ開発車種の取引中止で (日経新聞)
かねてからエアバッグの不良問題で騒がせていた自動車部品メーカー大手のタカタについて今日、タカタの最大顧客で一部出資も受けているホンダが「今後一切タカタ製のエアバッグを使用しない」と発表しました。この発表理由についてホンダは、詳細こそ報じられていませんが報告されたデータに不自然な点というか故意に弄られていた点があったとして、強い不信感をのぞかせるような書かれ方がされています。
一方、当事者であるタカタはこのホンダの発表を事前に聞かされていなかったようで、日経新聞の記事ではちょうど今日米国政府との和解金について記者会見を開いていており、その席で通知のなかったことを認めています。この点をとっても、ホンダ側のタカタに対する不信感を強く感じます。
・日産、8車種を再リコール=エアバッグ異常破裂で(時事通信)
このホンダの動きにいち早く追随したのが上記の日産です。最初に発覚した運転席側のエアバッグの不具合に続いて助手席側でも日本国内で異常破裂が起こり、乗っていた人が怪我をしたという事故が起こりましたが、これへの対策として既に一度改修が済んでいる車両も含めてもう一度リコールを実施すると発表しました。もちろんこれの一部費用もタカタへ請求が行くでしょうし、ホンダや日産以外も続いていくことでしょう。
最初に発覚したエアバッグの不具合や米国の制裁金などの経緯についてはこの記事では省略しますが、私見ながらこれまでのタカタの対応というか態度は見ていて疑問を感じずにはいられないものでした。いくつか具体的に述べると、一つには米政府への報告書に数百ページものとんでもなく分厚い報告書を出して委員からは、「報告するつもりというか読ませようという気が感じられない」と駄目だしを喰らいました。多少経験ありますが、いくら何でも不具合対策書で数百ページはいかないだろうなぁと個人的に思います。
二つに、この不具合に対するタカタの言い分です。言ってはなんですが「米国政府との認識の違い」という言葉が何度も繰り返されており、製品に欠陥があったとは何故か素直に認めようとしてなかったように見え、どこか他人事のように言うなと感じました。でもって米政府唐の再三のリコール実施要求についても、「それは自動車メーカーが決めること」として突っぱね続け、反省する態度は微塵も感じられませんでした。
最後三つ目ですが、今年の株主総会でこのリコール問題について説明する、報道陣に対しても外部モニターで中継して公開すると事前に発表していましたが、何故か当日になって急遽中止して非公開でやってのけており、普通に「なんで?」と思うような妙な対応を見せています。それにしても、我ながらいやらしく覚えてるなこんなことも。
総じて述べるとタカタの対応はどれも誠意、危機感に欠けると感じるところが多く、それだけに最近杭打ちでも多いですがデータの偽造が行われていたというホンダの発表を見ても正直、「やってるかもしれない」と思わざるを得ません。
今回のホンダの発表を受けてタカタの株価は今日、郵政三社の新規上場で市場が盛り上がる中で13.4%もの大幅下落を記録しました。むしろこれまでのタカタの株価は巨大な不具合発覚にも関わらず思ったよりは落ちていなくて友人と共にすごい奇妙に感じており、主要顧客のホンダあたりが買い支えているんじゃないかなどと余計な邪推をしておりましたが、その後ろ盾であるホンダが今回このような行動を取ったことからさすがに今度は落ちるところまで落ちるのではという気がします。
今後の先行きについても、報道で見ている限りですとタカタのエアバッグインフレーターは他社と比べても独特で、すぐ不具合に対応した製品を作れるかと言ったら難しく、また安全用具であるだけにこれだけのイメージダウンはもはや致命的でシャープと共に「次はあそこか」と見られるには舞台が整ってきたのではと思います。
最後に余談ですが、これで再びタカタ製エアバッグを搭載した車種の大量リコールが起こると予想されますが、一部の記事で一連のリコールに対応した補修作業で現場はへとへとだという記事が見受けられます。労力的には確かにへとへとでしょうがうちのどうでもいいことをよく知っている親父によると、リコール補修を対応するディーラー点としては作業費を請求することが出来るため、経営的には逆に助かっているという話を聞き、私もそれが事実だと思います。風が吹けば何とやら、不具合が起こればディーラーは助かるといったところでしょうか。
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