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2016年5月12日木曜日

三菱自動車のルノー・日産連合入りについて

 見出しは普通に「日産傘下に」出もよかったのですが、今回の提携に伴うインパクト説明する上ではやはりルノーの名前は外せないでしょう。

 既に報道も出ている通り、また燃費不正をやらかして私も「来年には経営破綻する」と予言した三菱自動車に対し軽自動車(+ディグニティ)で提携をしていた日産自動車が本日、三菱自動車に出資すると両者揃って発表しました。今回の出資は新株発行方式によって行われ、これにより日産自動車は三菱自動車の発行株式の三割強を握り筆頭株主となるため、事実上、三菱自動車は日産傘下の子会社になります。またそれに伴い、日産の親会社である仏ルノーと合わせるとトヨタやフォルクスワーゲンといった世界大手グループとも販売台数で肩を並べるようになり、「日産が三菱を救済した」というよりは「ルノー・日産連合が世界大手グループに並び立った」という風に見るべきニュースでしょう。

<出資準備はいつから?>
 それにしても気になるのは一体いつからこの出資提携を両社、特に日産が準備していたかという点です。
 カルロス・ゴーンがいくら決断が早いとはいえ一朝一夕で2370億円もの巨額の出資を決められるわけはなく、恐らく三菱の先月20日の記者会見以前、具体的には日産から三菱側へ燃費不正の疑いを持ちかけた今年二月頃から両社で入念に準備していたのではないかと思います。

日産自動車と三菱自動車、戦略的アライアンスを締結 日産、2,370億円で三菱自動車株34%を取得へ(三菱自動車)

 上記は三菱自動車のプレスリリースですがその内容を子細に見てみると、今回の出資金額の根拠となる株価について、「株価は、2016年4月21日~2016年5月11日までの期間の出来高加重平均とします。」と書かれてあります。
 先にも書いたように三菱自動車が燃費不正を発表した記者会見は4月20日で、翌21日から昨日までは株価はストップ安を決めるなどほぼ一方的に下がり続けていた時期でした。直近という意味では非合理ではないものの、このタイミングを見る限りだと記者会見以前から日産と三菱の間で出資提携に関する協議があらかじめ進められており、日産の出資額を低く抑えられるようにスケジュールを組んでいたのでは、というのが私の見立てです。仮にそうであれば三菱グループからの了解も最初の記者会見以前の段階で日産は取り付けていたとみるべきでしょう。

 日産側からすればこれによって比較的安価で三菱自動車を傘下に収められ、三菱側からすれば一見すると低い出資額で甘んじるように見えるものの、日産の救済が無ければ業績は低迷したままで株価も下がり経営破綻待ったなしな状況であったのも真実で、特に既存株主の三菱重工や三菱商事からすれば株価を一気に回復させられる手段であるのならばやむを得ないと判断するのも無理な話じゃないと私には思います。
 以上で語った内容は私の推論ですが、仮にこの通りであれば実に周到に準備されたディールであってその手際の良さには皮肉ではなく真面目に大したものだと感嘆させられます。逆を言えば被買収まで散々すったもんだした挙句に債務超過もやってのけたシャープとは、段取りや裏準備の仕方で大きな差があり、さっき友人にも言いましたが大人の会社と子供の会社の違いがはっきり出ています。

 最後に今後気になる点として、どこのグループにも所属していない残った日系三社のホンダ、マツダ、スズキはどうなるのか。スズキは多分デマだと思いますが縁を切ったフォルクスワーゲンの代わりにこの前トヨタと提携話がでていると報じられましたが、マツダもスズキも高い技術力を持ちながら資金と販売力のない会社で、組むとしたら「金はあっても技術のない」ところが一番相性がいいです。そういう意味ではトヨタの軍門に下るというのも非合理じゃありませんがどちらもオーナーシップの強い会社なだけにそうそう簡単には身代渡しはすまいでしょう。
 となるとフォルクスワーゲンはこの前やらかしたし、残ってるのはGMとの浅い提携とかかなとも思いますが、その辺は今後の展開を見ていくしかなく予想といえるレベルでは何も語れないのが本音です。しかし今回の三菱のルノーグループ入りは上記三社にとっては大きな衝撃になると思え、今後業界再編がさらに進むこととなるかもとは言えそうです。

2 件のコメント:

  1. 片倉(焼くとタイプ)2016年5月15日 10:03

    シャープは東証の規定を適用すれば東証2部に降格するようですね。

    三菱自動車に関しては私の予想はすっかり外れました。激オコの日産が三菱自動車と手を
    切り、スズキと再度手を組むものと思っていました。(ホンダは普通4輪で競合するし、
    ダイハツは株式買収で名実ともにトヨタの子会社だし)

    まあ、今回の事件での一番の被害者は三菱自動車株を空売りした投資家かもしれません。


     

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    1.  自分も今回は予想を大きく外してしまいましたが、言い訳するとそれもしょうがないかなという気すらしてきます。片倉さんが立てた予想も無理がないというか、最初の記者会見の後だと日産は明らかに三菱に対して不信感を持つような素振りを見せており、恐らくあれは不仲であるように敢えて演出していたんだと思います。私はもし書いたら三菱自動車の軽部門だけ日産が買収するか、片倉さん同様にスズキと手を組むかとも考えていましたが、まさか丸ごと買い取るとは本当に誰も予想していなかったでしょう。
       そういう意味では空売りした投資家も、今回ばかりは同情します。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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