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2016年6月30日木曜日

中国がミサイル攻撃してきたとかいう与太記事

中国軍機、空自機に攻撃動作 「ドッグファイト回避、戦域から離脱」 空自OBがネットニュースで指摘(産経新聞)
【阿比留瑠比の極言御免】「中国が攻撃動作」これが日本の現実 危機を直視せず「ヘイト」で集う野党の愚(産経新聞)
中国軍 空自機に攻撃動作 空自OB指摘(毎日新聞)

 なんか解説するのも馬鹿馬鹿しいなと思う出来事なのですが、なんか産経と毎日のカス二紙が東シナ海上で中国軍戦闘機が自衛隊機に向けてミサイル攻撃を仕掛けてきたと報じています。産経の方は「防衛省幹部は産経新聞の取材に対し、大筋で事実関係を認めた」と書いて、毎日の方は「政府関係者は記事のような事実があったことを認めている」と書いていますが、実際には日本政府、中国政府共に事実を公式に否定しています。

空自元幹部「中国機が攻撃動作」 官房副長官は否定(日経新聞)
「東シナ海上空で中国軍戦闘機が空自機に攻撃動作」報道は事実無根=中国大使館公使が記者会見、「人為的に煽るのは中日友好に悪影響」(ライブドアニュース)

 このようにメディアと政府で主張する内容が食い違っているのですが、結論から言えば「事実ではなかった」と判断するべきだというのが私の見方です。理由は非常に簡単で、元記事があまりにもおかしいからです。

東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動
中国機のミサイル攻撃を避けようと、自衛隊機が自己防御装置作動(JB PRESS)

 産経の馬鹿も毎日のアホもニュースソースを「インターネットのニュースサイトで」と書いていますが、上のリンク先がソースであることはまず間違いなく、でもって何故これを見て情報を鵜呑みにしたのか本気で理解に苦しみます。その点、朝日、読売、日経は恐らく妙な内容で裏付けが取れないと判断したからこそ掲載を見送ったと思われ、如何にこの二紙が部数だけでなくニュースの質でも劣るということが見て取れます。

 私が何故このニュースを見て事実だと信じなかいのかというと、理由は大きく分けて二つあります。一つは一目見てすぐデマだと判断できたのですが、このニュースの掲載元が「JB PRESS」だからです。ここに掲載される記事はどれも高所ぶって書かれていますがどれも内容はお粗末というか明らかに何の根拠もなく書かれているというのが手に取るようにわかる記事ばかりで、むしろ真実を書いてある記事を捜す方が難しいくらいなんじゃないかと思うほど馬鹿げた記事に満ちています。恐らく裁判で、「うちの記事を真面目に信じる読者なんていない」と自ら証言してのけた東スポよりも真実性がないんじゃないかな。
 なもんだから最初の発信元がJB PRESSだと分かった時点で、「ああこれデマだ」と私は即判断できました。真面目に疑問なのですがどうして産経も毎日もよりによってJB PRESSの記事を信じて引用記事を書こうと思ったのか、誰も止める人間はいなかったのか、っていうか裏付けもまともにできてないのに何を考えているのか不思議で仕方ありません。もし自分が記者時代に同じようなことしてたら冗談抜きで、「てめーこの野郎!(メ゚皿゚)」って言われながら窓から放り投げられてたことでしょう。マジで。

 こうした情報ソース元々の不審さに加え、「これで騙される奴がいるのか?」と思ったのは元記事に書かれた妙な記述です。元記事によると、「(自衛隊機は)自己防御装置を使用しながら中国軍機によるミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱したという。」と書かれてありますが、全文を読んでもどこにも中国機がミサイルを発射したという記述は一切なく、何故発射もされておらず接近があっただけで「ミサイル攻撃を受けた」と断定的に書けるのか、素人ながら強く疑問に感じました。第一、発射されていない段階でチャフとかフレアって打つもんなの?内容からすればフレアが今回は適当かもしれませんが。
 挙句にこの元空将を名乗っているおっさんは、「空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイトであった」と書いていますが、接近されただけでドッグファイトが成立するってんなら冷戦期だっていくらでもあったろうと思えてならず、また軍事の専門家でないためよくわかってはいませんが、普通ミサイルを実際に撃つ前には前にも事件になった誘導レーザーを射出するのではと思うのに、その件については何故か一切触れていません。誘導レーザーを受けたら前みたいに証拠として糾弾できるだけに、これに触れないということはまず有り得ないと思うのですがね。

 あとこれは蛇足ですが、接近されただけでドッグファイト、準交戦状態となるのであれば、最近ヨーロッパで米軍機に異常接近しているロシア機もミサイル攻撃してるって言えるのかってことです。あれなんか動画で異常接近している状態が取られていますが、抗議はするものの「ミサイル攻撃された」って米軍が言ってるのを聞いたことがありません。

 もっともJB PRESSなんて前からこういう与太記事いくらでも載せてるのでその点には何も驚きがありませんが、それを産経と毎日が真に受けたというのが私にとって何よりも驚きで、本気でこの二紙はメディアとして大丈夫なのかと疑問に思えてなりません。何故疑問に思わなかったのか、誰も掲載前に止めなかったのか、言ってはなんですがあんな記事内容を信じるなんて判断力がないって言ってるようなものでしょう。中国が挑発的な行動をしてきていると批判しながら、ありもしない架空戦記をほんとの様にいって煽ってるのはどっちだとこの件に関しては言いたいです。

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