先日、マスコミ業界に関わる人間なら知らぬ人はいない電通で入社したばかりの女性が過労から自殺していたことがニュースで大きく取り上げられたことをきっかけに、超過勤務と過労死に関するニュース報道がこのところ増えています。何故か関電にも飛び火して、月の残業時間が200時間を越えていた社員が過労死したことも報じられていましたが、個人的には何故今更になってこの件が報じられるのかなと違和感を覚えました。
さてこの問題について電通の体質、いわゆる「鬼十則」などと並べ立てて報じるメディアやコメンテーターが多いですが一部で言われているようにこの手の話は広告業界ではごくごくありふれた話で、上の関電の例と同じく「何を今更」という感じがしてなりません。断言してもいいですが電通の様に残業時間が膨大だったり無茶苦茶な暴言が飛び交っている広告代理店なんて掃いて捨てるほどあり、この業界で過労死した人間なんていちいち数えてなんかいられないでしょう。
なお余談ですが名古屋に左遷されたうちの親父が仕事が忙しかった頃、過労死した時の証拠となるように勤務時間を毎日メモっておけとうちのお袋に命じられていました。当時は何とも思わなかったけど、今思うと血も涙もない命令だったなって気がします。
話は戻りますがこの件について電通や広告業界の体質をとやかく論じても意味がないと思うしほかの人間もいくらでも論じられるだろうから敢えて違った視点に立って意見を述べると、エイジスはなんだったのかななんて今回思いました。
・ブラック企業と公表された会社、そして私の過去
上の記事は私が今年五月に書いてアップした記事ですが、概要を述べると厚生労働省が直々に、残業時間が非常に長くて改善が見られないいわゆる「ブラック企業」としてエイジスという棚卸代行サービス会社を公表した件について論じています。記事中にも書いてある通り私はこの会社で学生時代にアルバイトをしたことがあり、あくまでアルバイト目線で言えばそこまで変な会社だとは思わなかったし、棚卸代行という業務内容から言って決算前の繁忙期に勤務時間が極端に長くなるのは仕方のない面もあるのではと擁護するような形で記事を書いています。
このエイジスの件を引っ張り出して何を言いたいのかというと、何故電通はこれまでに厚生労働省からブラック企業として公表されなかったのだろうかと言いたいわけです。報道によると電通では以前にも新入社員が過労死する事件が起きており、また超過勤務も当たり前な上に当局から軽く注意を受けるや少なく申告するといった隠蔽工作も行われていたとのことで、何故これほどまでに既成事実が積み上がっていたにもかかわらず「ブラック企業」だと厚生労働省は名指ししなかったのか。少なくとも私はエイジスで過労死が出たという話は聞いたことがありません。
はっきり言えばエイジスなんかより電通の方がずっと悪質かつ問題も底深い上に、上の事例を鑑みるだに反省のかけらもへったくれも見えません。にもかかわらず厚生労働省は電通には名指しでの批判を行っておらず、先のエイジスの件と比較すれはするほど公平性に欠けた対応にしか見えず、真に批判すべき対象はどっちかと問いたくなります。
何故厚生労働省が電通を批判しないのかは言うまでもなく電通がエイジスなんかよりずっともっと大きい会社だからでしょう。逆を言えば批判しても抵抗することが出来ないとわかっているからエイジスをわざと槍玉に挙げてほかの巨大企業については何も批判を行わなかったのが実情だろうで、一言で言えば厚生労働省は弱い者いじめをやっているんだなとこの件で私は思いました。なので真に取材、批判すべき大将は電通とか関電ではなく厚生労働省で、何故これほど問題のある企業を放置してきたと突っかかった上で、いつ電通をブラック企業として名指しで批判するのかをマスコミは聞くべきではないかと密かに考えています。まぁこうした意見はざっと見ている限り自分以外で発信してる人はいないようだし、そこまでやるマスコミは出てこないでしょうが。
最後に、冷たい言い方をすると既に過労死してしまった人間についてとやかく言い続けても仕方のない面があります。それよりは今後、過労死をどうやって減らすか、過労死を生むような会社をどう淘汰するかを考えることの方がより建設的であるというのが私の意見です。
お久しぶりです(^^)
返信削除毎回楽しく拝読させていただいております。
ようやく時間が出来ましたので久々に一筆をば。
過労死を生むような会社をどう淘汰するか・・・
花園さんとまったく同意見です。
それと同時に、過労状態を認めない社会を作る・・・
過労死に至らない為の絶対的な法の整備を整える!
欧米各国では、すでに昔からやってますんでね。
と言いつつ実際問題マスコミ含めて、
どの業界も今や日本では労基違反は常識という、
異常事態です。
いや、むしろ労基違反状態が正常という感じでして。
ですから大手マスコミといった、
報道する側とて過労マヒしているということなんでしょう。
となると我々の方が「異常な少数意見論者」ということに、
なってしまいますが(笑)
それでも、こういうネットメディアといえども、
こうして問題提起し続けることが必要だと思います。
また私の方も取り上げる予定です。
花園さんのご意見を伺って改めて、
心ブレないように気を付けたいと思いました。
いつもながらコメントありがとうございます。コメントは残してはいませんが息子さんのサッカーの話はいつも楽しく読ませてもらっています。
削除この件については法律があるにもかかわらず誰も守ろうとしないし取り締まられていないことに加え、法律を無視していいとするサブロク協定が存在するという点からして、文字通りどこから手をつけていいものやらと思う限りです。