先日、毎日頑張っている自分へのご褒美(もう死語?)として、「怨み屋本舗 巣来間風介」の全6巻をまとめ買いしました。この漫画自体は既に読んだことがある作品でしたが、手元に取っておいて何度も読みたいと思っていたことから今回の一括購入に至りました。
・怨み屋本舗(Wikipedia)
この漫画はもう十年以上も連載が続いている復讐代行業を描いた「怨み屋本舗」シリーズの第2シーズン的な作品で、シリーズを通して主人公である女性の「怨み屋」ではなく、横浜支店ナンバー2の「巣来間風助」を主人公とした外伝的作品です。怨み屋本舗シリーズ自体は最新作を除いてほぼ全部読んでおり、こちらも十分にお勧めできる作品なのですが、個人的にはこちらの「巣来間風助」の方がまだ短く、また内容も面白いのでこのシリーズの入門としてはこっちの方をより薦めたいところです。
具体的な内容を簡単に書くと、本編同様に怨みを持つ人間から数百万円で復讐を代行する怨み屋に所属する面々を描いた作品です。復讐には社会的抹殺、実質的抹殺(=殺人)の二つがあり、怨み屋の面々はそれぞれの特技を生かして直接的にではなく間接的にこの二つの復讐を果たしていきます。
本編の主人公である怨み屋はどちらかといえばビジネスライクな性格をしており、自分たちの事を必要悪だと述べた上で、ただ依頼(=需要)があるから処理を行うとおった態度を取ることが多く、過去に被害を受け怨みを持つ人間たちにも突き放すように全く同情したりすることがありません。それに対し外伝の主人公に当たる巣来間はどちらかと言えば脆い性格をしており、悲惨な目に遭った依頼人に同情しては依頼料を負けたり、話を聞くだけで流すなどこれまでと比べて優しい性格をしたキャラとして描かれています。もっとも復讐対象に対しては全く容赦なく、敢えて苦しむやり方で殺害することにも躊躇しません。
巣来間風助版の魅力を敢えて挙げるとしたら、やはりその主人公の特徴につきます。上記の通り優しい性格をしているため全編を通して観世懲悪的な始末屋物語が展開されるため見ているこっちとしても社会で正当に処罰されない悪人たちがバッタバッタと打ち倒されるのは溜飲が下がり気持ちいいです。また復讐の手段として巣来間は、元来がマジシャンという職業を生かして様々なマジックを生かして意表を突くようにして相手を追い込み、昼間は公務員という設定もあって非常にニヒルなキャラクターが確立されています。
惜しむらくはこの外伝以降、本編において巣来間が登場するシーンが非常に少なくなっていくという点です。理由は主人公を食ってしまう魅力を持つこと、あと被ってしまうキャラが本編にいることが原因ではないかと思うのですが、私個人としては定期的に巣来間の外伝をもっと展開してほしいとすら願っています。
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