決戦とは一言では言うものの、全戦役やその後のパワーバランスを決定的に決めるようなものとなると実際には限られてきます。
私は世界史上ではナポレオン戦役におけるワーテルローの戦いこそがまさに決戦と呼ぶにふさわしいと考えており、英仏両軍ともにどちらも一手のミスで勝利がどうなったかわからないくらいの拮抗ぶりはもとより、この戦闘の結果によってその後のヨーロッパ秩序はまず間違いなく大きく変わったでしょう。
では我らが日本の太平洋戦争というか戦役における決戦とは何になるのか。真っ先に浮かぶのはミッドウェー海戦でこの戦闘によって日米両国の攻守が逆転したと紹介されることが多いですが、攻守逆転どころか、結果論ではありますが実質的にこの戦闘結果によって日本の勝利は事実上なくなったと判断してもいいくらいの敗戦ぶりです。大雑把に見ても工業力的に再生産することが事実上不可能な主力空母(赤木、加賀など)を一度に喪失し、それに付随して戦闘経験の豊かなパイロットもいなくなり、尚且つ活動制海権まで奪われる始末だったのですから、実行することは不可能だったとしてもあの時点で降伏するという判断が最適解だったでしょう。
一応、その後も太平洋戦争における決戦としては、兵器投入量では史上最大の海戦に当たるレイテ沖海戦などもありますが、影響力といい、またワーテルロー同様に米軍側も一手間違えれば大敗する可能性もはらんでいた博打的要素の面から言っても、ミッドウェーこそが太平洋戦争最大の決戦とするべきが私の見方です。まぁ米軍としては、負けたところで最悪ハワイが陥落したとしても、本土まで攻撃する能力は日本にはなかったのではありますが、米海軍としては負けていたら立つ瀬はなかったでしょうね。
こうして書いていて思うこととしては、陸上での決戦は事実上、太平洋戦争にはなかったんだなぁということです。太平洋戦争における陸戦は陸軍と海軍のグダグダな絡み合いもあって必要性の低い戦いも多く、インパール作戦といいそもそも何故始めたのかという点で疑問な戦闘も少なくありません。強いて言えばサイパン、硫黄島の戦いは防御上で非常に大きな陸上戦となり、硫黄島における栗林忠道の奮戦ぶりに関しては日本陸軍最高の戦いぶりだったと思えてなりません。
・インパール作戦に抗命した将軍(陽月秘話)
なお余談ですが、上記のインパール作戦について先日NHKでなにやら特集番組が組まれていたそうなのですがこの番組ついて立花隆氏が今月の文芸春秋にて、「蛆のたかる死体など当時の映像をよく取り入れており戦場の生々しさをよく伝えている」としながら、「インパール作戦を語る上で、佐藤幸徳将軍の抗命(命令拒否)事件を取り上げないのはあり得ない」という批判をしていました。
この意見には私も同様なのですがさすがは立花隆氏というべきか、昨今の北朝鮮問題と絡めて「現地部隊が命令に反する事態にどう対応するのが」ということを考える重要性を訴えるとともに、自衛隊では先の抗命事件について熱心に研究しているということを書かれていました。
最近また疲労が激しいもんだからなんかやたらと二次大戦絡みの話ばかり書いている気がします。今日も取材で2時間くらい電話かけてましたが、つくづく思いますが広報によって当たりはずれあって、当たり引かないと本当に苦労するって気がします。
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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。
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