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2017年10月10日火曜日

神戸製鋼のデータ偽装事件の疑問点

 細かい内容については説明するまでもないですが、神戸製鋼がまた大規模な技術不正ことデータ偽装をやっていたことがばれました。対象はアルミ、銅関連製品とのことですが、関係する納入先が多岐に渡るにもかかわらず関わった従業員は数十人とやや少ないように感じる上、複数拠点で行われていたということも勘案すると発表されている内容はほんの一端なのではないかと疑念を持ちます。過去にも子会社がバネ鋼で同じことをやっていたことを考えると完全に会社ぐるみとしか思えず、多分鉄鋼製品でも同じことやっているとしか現時点では思えません。


 ここ中国でもこの事件は大きく報じられているのですが、神戸製鋼グループ内では上の写真のようなメールを飛ばして日本国外では問題ないと社員に言っているようですが、今回の不正は10年前から行われていたということを考えると、一体何故現時点で問題がないと言い切れるのか理解できません。アルミ鋼ということを考えると中国でも日本材を使う、というより日本材を使わざるを得ないメーカーも多いだけに、詭弁もいいところでしょう。こんなメール送るくらいならもっと内容を精査したり、関係先に詫び入れてくればと思わざるを得ません。
 言い方変えると、未だに現実に目を向けておらず希望的観測でこんなこと言っているあたりあまり誠実な態度とは思えません。

 ざっと神戸製鋼を批判したところで本題に入りますが、恐らく現時点で私と同じ発想に至っているライターは少ないと思うのですが、今回の一件では非常に大きな疑問があります。もったいぶらずに言うと、何故自動車メーカーを含む納入先は今回のデータ不正に気付かなかったのかです。
 メーカーでは通常、納入された鋼材に対してその強度はもちろんのこと、カーボンやマンガンといった鋼材の成分がミルシート(材料証明)や指定規格通りであるかを確認するための受入検査があるはずです。硬度や粘り強さなどはメーカー内でも硬度測定や折曲試験などで割と簡単に調べられます。また成分についてはやや設備がないと難しいですが、第三者検査機関に出せば調べてくれます。というより、多分どこのメーカーでも鋼材の受入検査は工程に必ず入っているはずだし、入っていなければ正直その検査体制を疑われても仕方ありません

 繰り返し言いますが、一体何故どの納入先も今回のデータ偽装に気付かなかったのか。報道ではJIS規格指定の鋼材でも規格を下回った鋼材をミルシートを改竄して出していたとのことですが、ならばなおさら受入検査でどうして気づかなかったのか。検査で規格から外れていることがわかれば即不良品認定されるはず、というよりされなければなりません。
 考えうる状況としては二つに一つです。一つは神戸製鋼が中国鋼材メーカーみたくサンプルだけ良品を出してきた。もう一つは、納入先のメーカー自身も神戸製鋼が出したミルシートを信用して一切受入検査をしていなかったか、ほとんど杜撰だったかでしょう。言うまでもなく、真に影響が大きいのは後者です。

 今のところこの点について指摘するメディアは見受けられませんが、逆を言えば私だからこそこんな指摘ができると思います。知らない人のために説明すると、私は前の会社に営業で入ったにもかかわらず品質管理やらされて、当時こうした鋼材の受入検査もやらされたし、ミルシートの管理とかも日常的にやっていて、鋼材納入プロセスをある程度把握している妙なライターだったりします。

 話は戻りますがすでに先日、日産が完成検査で偽装を行っていたことが発覚しましたが、今回の10年以上前から行われていたという神戸製鋼のデータ不正にどこも気づかなかったことを勘案すると、メーカー、特に大手の検査体制というのは一体どうなっているのか疑問です。下請メーカーに対しては細かく突っ込んできて、「ここの工程の間にこういう検査工程を挟め」とかいちいち指摘してくるくせに、自分たちはどうなんだと真面目に声を大にして言いたいです。でもって神戸製鋼も日産も、国際品質管理規格のISO9001を取得しているし、これ取っていないメーカーはサプライヤーにしないって決まりも持ってるのでしょうが、今に限るわけじゃないけどこういう品質規格ほどまるで宛てにならないものはないと常々感じます。

 最後に、勝手な予想を述べると日産の件は国の抜き打ち検査でしたが、今回の神戸製鋼の件は内部告発が発覚のきっかけではないかとみています。キーワードは「10年以上前から」で、そのような不正実態が明るみに出るとなったら外部チェックでは無理だし、内部監査による発覚でももっと絞り込むと思うことが根拠です。まぁどっちにしろ、中国企業を日本も笑えなくなってきたなというのが正直な感想です。

6 件のコメント:

  1. 世界中に神戸製鋼の不祥事問題が報道されており、同社株価も激しく下落していますので、最終的に国有化されるのではないかと思われます。
    中国では、国有企業の民営化が推進しているが、一方、日本企業の国有化が進んでいるかもしれへん。真剣に見極めたく。

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    1.  それ昨日俺が君に解説した内容そのまんまやんけ。

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  2. 購買製品受け入れ検査もですが
    製品出荷前の検査もしてるはずで
    問題ないから出荷してるはずですよね
    鋼材納入先は

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    1.  コメントありがとうございます。
       おっしゃる通りで、強度でも寸法でも規格に外れていれば本来ならば受入か出荷前の検査でわかるはずだと思います。第一、今回の不正が発覚した後、納入先各社で「受入検査時に問題ないことは確認済み」と発表すればそれまでの話だと思うのですが、何故かそういう発表はどこもしていないのが不思議です。
       タイミングよく日産の検査不正がわかったこともあるだけに、そうとは言えない背景があるのではないか、もしくは単純にそこまでメディアが確認できないだけなのかが見えてこず、今回こうして記事にまとめました。

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  3. こんばんは、はじめまして。
    実は僕も同じことが気になっていました。
    僕は造船関連の仕事をしているのですが船舶ではjis規格だけでなく日本海事協会という所でも検査を受けねばなりません。
    更に神戸製鋼の納入先には防衛関連や厳重な管理体制で有名な新幹線などがあります。
    更に納入先で作られた製品も定期的に検査が入っている筈なので昨日今日の話ならともかく10年以上不正があったと言うのはどうも腑に落ちません。
    そう言えば最近米軍の新型輸送機の話題がちっとも上がりませんね。
    何か関係してなきゃいいですけど

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    1.  マサオミさん、コメントありがとうございます。
       同じ内容書いたJBpressの記事ではヤフコメが荒れに荒れて炎上しましたが、普通の感覚なら1年、2年ならともかく、10年単位の不正に納入先は気づくと思うんですがね。ブログでなら書けますが、昨今の検査不正などといい完成車メーカーは意外と検査体制が甘いんだと思います。
       ただ言及されている防衛関連と新幹線など鉄道業者に関しては、不正に気づかなくてもいくらか仕方ないのかなと少し思う節があります。恐らくこれらの納入先はあらかじめ神戸製鋼の方で加工処理され、多分一枚板で製品を受け取りそのまま機材にはめ込んで使ってたんだと思います。こうした用途の製品なら破壊検査で強度調べたら、線材やロール鉄板と違って製品1枚丸ごと消費することとなり、コストも高くなることから鋼材メーカー保証で受け入れるというのも、経営的にはありうるかなという気がします。
       まぁだったら、最低限の非破壊検査やれよなとも思いますが。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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