・「所有できない電子書籍」問題 サービス閉鎖後、購入者はどうなる?(ねとらぼ)
ちょうどこの記事を準備していたら上のニュースが出ましたが、電子書籍を購入する上での最大のハードルと言ったらやはりこれこと、サービス停止後への不安でしょう。使い始めた人間についてはもはやこの先一蓮托生みたいな諦観が生まれますが、まだ始めていない人間からしたら運営会社が倒産したりしたらどうなるのか、購入した本が読めなくなるのではという不安を持つのも無理ないでしょう。
実際、この問題については既にサービスを停止した業者が出ておりその顛末についても上の記事には書かれてありますが、サービス受益者からして一番望ましいのはサービスの引継ぎ、つまりサービスを停止するA社からそのサービスを引き継ぐB社が配信などを継続する形だと思います。実際やるとなったらそこそこ大変ですが。
ただこうした対策よりも、もっと抜本的な対策となるのがプラットフォームや、データの規格化です。要するに配信する電子書籍データの規格を日本国内で統一することで、サービス停止にあっても規格に対応したビューアーを使えばその後も閲覧を継続できるという形に持っていくことです。この場合、配信する書籍データはすべて共通で、サービス運営主というか配信業者は実質完全な小売業者となり、競争上の観点からもこうした形態の方が望ましいと思います。
少し懸念となるのは、書籍データが共通化するため違法配信などが起こりかねないという問題がありますが、現在行われている配信サービスのように各データの閲覧権限を購入アカウント等でビューアーと連動させ、アカウントが一致しない消費者には閲覧できないような処理を施すような対策で大体クリアできるのではないかと思います。この方法だったら不特定多数に閲覧させる人間もアカウントから追え、バンすることで犯罪行為も止められますし。
このように、電子書籍業界で今何が求められているかと言ったらやはりこのプラットフォームや規格の統一化だと思います。しかしこの方面の議論は全く起こらず、かつて日本は業界を跨ぐ規格化が強かったと言われましたが、そんなの嘘ちゃうかと疑いたくなるくらい電子書籍配信業者は統一化に消極的です。そしてその結果生まれる問題というのが、不便な電子書籍ビューアーというソフトウェアの問題でしょう。
このブログでも散々愚痴っていますがAmazonのKindleビューアーはお世辞にも使いやすいとは言えず、むしろなんでこの問題に気が付かないと思うくらい問題が多いです。しかも改善が施されるのも遅く、あと突然停止するバグもよくあります。さらに細かいところを挙げるとビューアーのスキン変更すらできないって90年代かよって言いたくなります。
これらは殿様商売のAmazonだからなのかな、だからと言って先ほどの配信サービス停止が怖いので寄らば大樹の陰とKindleを使ってきましたが、つい最近に「Kindleなんてだっせーよ、他の業者の方が絶対いい」という話をネットで目にし、先月からDMMのDMMブックスを使い始めました。
まず何に驚いたのかというと販売割引が非常に広範かつ多く、またAmazonに負けず新刊書籍の配信が早いことから、費用対効果の面で今後はこちらをメインにして使っていこうと考えています。そして何より私にとってメリットが大きいのは、中国でのデータダウンロードの速度や効率がAmazonよりDMMの方が安定しており、この一点をとってもこちらを取る理由になります。
しかし、ことビューアーに関してはDMMもひどいレベルです。コミックスは基本作品ごとにまとめられるのはいいですが、各巻の表示がタブレット版だと昇順か降順を選べるというのにPC版だと降順一択。また各画面切り替えボタンの反応や更新が悪く、必然的に何度も同じボタンを押したりすることとなる上、所有書籍一覧画面一つとってもあんま意味ないのに「購入済み」、「ダウンロード済み」に分かれててこのビューアー設計した奴は馬鹿じゃないかと本気で思うレベルでクソです。
そのほか書影ダウンロード中に何らかの要因で中断した場合、データがあってもバグが起こって開けなくなる再現度100%のバグもすでに発見しています。あと細かいところを挙げるとビューアーのスキン変更すらできないって90年代かよって言いたくなります。大事なことなので二度言いました。
サービスやってる連中からしたら何も気にならないかもしれませんが、これらビューアーのレベルの低さは確実に消費者離れにつながるレベルでひどいものです。仮にデータ規格の統一化が図られればビューアーも各業者ごとに紐づけられなくなり消費者は自由に好きなビューアーを選べるようになり、サービスの質も上がるのではないかと思います。もっともこうしたデータ規格の統一は恐らく今の日本の出版社には期待できる余地もないため、各業者に改善を促していくほかないでしょう。
つくづくこういう様を見ていて思いますが、日本人は本当にお金を稼ぐ気があるのか、商売しようという気はあるのかと疑問に感じます。他のサービスや製品についてもそうですが、驚くくらい消費者目線に立たず、全業種にわたって殿様商売を演じている節があります。
電子書籍データが読めなくなるという不安さえ払拭できれば皆安心して電子書籍を買う
返信削除ようになります。 すでに音楽の世界ではそうなっています。ダウンロードした音楽
は配信元が倒産しても聞くことができます。 音楽を聴くのにCDを買う必要もなければ
家に大量のCDを保管する必要もないのです。 今の時代にCDを買う必要があるとすれば
アイドルの握手券を手に入れる、アニメの初回特典が入ったファングッズとしてのもの
でしょう。 でも電子書籍が一般化するとブックオフなどの中古書店は苦しくなる
だろうなと思います。 みんなが電子書籍を買う≒紙形式の本を買わなくなるので、
中古書店が本(商品)の仕入れをできなくなるので。
忠古書店は現在でも最大手のブックオフが苦境にあると報じられるなど、芳しい情報は聞きませんね。私なんかは海外生活で且つ引っ越しが非常に多いことからもう今後は場所を取らない電子書籍しか考えられませんが、やっぱ次第に他の人もこうした流れに乗っかるのではないかと思います。そうなるとハードコピーの本は恐らく教科書や参考書、問題集くらいしか成立しなくなるように思え、教育関連に特化していくかもしれません。
削除日本の企業はほんと規格の統一に関しては全くダメですね。中国をまねたQR決済も店ごとに独自開発してますし、無料Wi-Fiも店ごとに新しいパスワードを入れて違うものに繋がなきゃいけませんし。
返信削除どうも日本人は「インフラを占領して客を抱え込み、選択の余地を奪ってから色んなものを売り付ける」という商売の仕方をしてきたようで、簡単には変わらない商習慣ようです。
その場で自然とルールを作って守れる民族なのに、みんなで同じ規格を作るということは自然にできないのが不思議です。
まだ自動車業界はトヨタが音頭を取るというかある程度規格化がなされますが、それ以外の業界は全く対応できないというのは、リーダー役の不足もあるのかもと勝手に考えています。
削除それにしても指摘されているように、自然とルールを守ることが出来る民族なのにとはよく言ったものです。この辺は簡単に「空気」と言い切ることが出来ますが、もっと深く考察すべき箇所かもしれません。
中国では電子書籍はどういう現状なのでしょうか。海賊版が流行り過ぎてるきらいがありますが、市場規模は無視できないほど大きいので将来性はあると思います。
返信削除申し訳ないのですが中国語の電子書籍はほぼ全く買わないため、具体的な市場規模や特徴についてはわからないというのが本音です。まぁこれを機に勉強して、次の記事につなげるという手もありますが。
削除現段階で言えることとしては、中国の出版業界はご指摘の通りに海賊版があまりにも横行しており、作家も出版社もほとんど儲からないというひどい状況が続いていたと聞きます。なお故渡辺淳一が「失楽園」の海賊版の版元を調べたところ、正式に版権を打った出版社の子会社だったという笑い話がありました。
これまでこのようなひどい状況だったのですが、かえって電子書籍化によってもしかしたら以前よりは著作権者にお金が回るようになってきている可能性があります。なお中国人は基本本読みで、電車内を見回してもスマホでジーっと読書している人は少なくありません。そうした点を考慮すると、おっしゃってるように将来性はあると思います。