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2018年8月21日火曜日

購入オプション付き賃貸住宅

 経営者や設備管理者じゃないとなじみが薄いかもしれませんが、設備リースには俗に言う「購入オプション」というものが付けられることが多く、リース期間が終了した設備や物件を、追加料金を支払うことで貸主から借主が購入する(所有権が移る)ことが出来ます。
 具体例を出すと、毎月1万円、リース期間が2年のリース料でパソコンをリースし、満2年経過時点でプラス1万円を支払うことで、パソコンを貸主に返却する必要なくそのまま借主が自分のものにする権利のことを、こうした購入オプションと言います。

 この購入オプションは構造的には、借金して設備とかを購入するのと実質そう変わりがありません。100万円のフォークリフトを購入するのに銀行から2年定期で100万円(返済時の総支払金利は10万円)借りるのと、リース期間2年で合計支払リース料が100万円(購入オプション料金は10万円)では、条件的には全く同じと言っていいでしょう。
 だったら銀行からお金を借りればいいのにどうしてこんなリースという形式を取る人がいるのかって話になりますが、リース形式をわざわざとる理由としてはいくつかあり、

1、財務バランス上のメリット(借入金を負債計上しなくてよい)
2、中途解約可能であれば突然の設備更新において有利
3、費用の期間分割

 などなどありますが、これら以上に地味に一番大きいのは金融機関でなくても金利売買取引が可能になる点でしょう。リース業者側にしてもリースする側にとっても、余計な仲介者(銀行)を挟まずに金利取引を活発に行うことができるため、リース会社に必要な設備を買わせて、それを実際に使う企業が後々の購入オプション付きでリースする(ファイナンス・リース)というのも一般的です。っていうかむしろこれこそがリースの真骨頂だし。

 自分の知識整理も含めてまとめましたがそろそろ本題に移ると、住宅の賃貸も一種のリースに含まれますが、真面目にそろそろ購入オプション付き賃貸ってのも始めた方がいいのではないかと思います。もしかしたらもうあるのかもしれませんが、ネットで検索する限りそうしたサービスが見つからなかったので今書いています。

 この購入オプション付き賃貸というのはそのままに、住宅を一定期間借り続けた場合、期間満了時にオプション料金を支払うことでそのまま住宅を購入できるという賃貸契約を指します。
 具体例を挙げると、時価1200万円の住宅を家賃60万円/年(5万/月)を20年借り続けた場合、プラス100万円でその住宅を購入できるというようなのを想定しています。これによってどんなメリットがあるかというと、貸主は時価以上の金額(1200万>1300万)で住宅を販売でき、貸主は賃貸期間に支払った家賃がそのまま住宅購入資金に成り代わるという点が挙げられます。

 賃貸でよく言われるのは、「借りている間に支払ったお金は一切自分の資産形成に寄与しない」という点で、「それならば借金してでも早く家を買った方がいい」という意見が良く出されます。しかしそうして勢い住宅を買ったところ金利や返済に悩まされたり、あまりよろしくない隣人が来てしまったり、最悪なのは災害によって住宅が損壊を受けるというリスクはどうしても付きまといます。
 逆にこうしたリスクに対して強いのが賃貸で、厄介な隣人が出来たり、災害でダメージを受けたりしたら引っ越すだけで逃れます。このようにリスクを入れて考えると、賃貸もデメリットばかりというわけではありません。

 そこでこの購入オプションですが、これだったら気に入った賃貸住宅であれば長く住み続けることで購入、そして資産形成につながるので、多少家賃が高くても購入オプションなしよりは借主は夢が持てます。大家こと貸主にとっても、オプションを付けることでプレミアムがつき、家賃額を引き上げる根拠にできるほか、借主の転居動機を引き下げ賃貸契約関係の維持にもつながります。また償却期間が過ぎ、価値も下がって売却処分のしづらくなった住宅がこの購入オプションによって済み続けた人の手に渡ることで、空き家の低減につながるのではという期待というか狙いが私にはあります。
 同時に、この購入オプション付き賃貸住宅の普及の狙いとしては、日本の住宅相場の健全化です。仮にこの購入オプションが普及したら、間違いなく日本の新築住宅の値段は下がり、中古住宅や賃貸家賃は上がる(オプションなしを除く)でしょう。日本の住宅価格は新築が極端に高いにもかかわらず、一旦購入した後は極端に寝下がる傾向があり、それによってローン破産も誘発しているように見えます。私の狙いとしては新築住宅価格が下がる代わりに中古住宅価格を高め、もっと住宅取引の流動性を高め市場を健全化させたいという狙いがあり、その一手としてこの購入オプションは手段になりえないかと考えたわけです。

 また先ほども言及しましたが日本の空き家問題は非常に根深く、この空き家を減らすとともに不要な住宅を減らす努力も必要です。長く借り続けることで自分のものになる住宅が増えることによって住宅へのケアも高まり、尚且つ余計な住宅は淘汰されるのではという期待もありますが、どこかこういう購入オプションを手広くやってくれないかな。

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