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2018年11月17日土曜日

消費税10%の軽減税率について

 来年に10%への引き上げが予定されている消費税ですが、この引き上げとともに一部の食料品への課税率は現状の8%を維持するという軽減税率制度も導入される予定です。結論から言うと私は引き上げには賛成で軽減税率には反対という立場で、この件に関する世間の報道も生ぬるいとみています。

 そもそもなぜ軽減税率が導入されるのかというと、食料品などは生きてく上で必須であるため所得の低い層がそうした面で困らないためとされています。しかし8%と10%との差はわずか2ポイントしかなく、はっきり言うがこの程度の差だったら同じく現代社会で必携ともいうべき携帯電話料金を引き下げた方が低所得層にとっても実入りは大きいと断言できます。
 一方、この2段階の消費税率は処理場で多大な手間を要求されます。先日勉強がてら読んでみた日本の税制度解説本で、日本の税制度で最も優れているのは消費税が一律課税である点だと指摘しており、税率がこれまで8%で一律であったことから処理方法はどの事業所でも共通しており、社会における認知も非常に浸透していたと書かれていました。逆を言えば、社会認知が非常に高いこともあって消費税は日本で最も課税されている感(≒嫌悪感)の強い税金となっているのですが。

 こちらも断言しますが、恐らくこの2段階の税率を用いることによる事務処理コストは増税収入を大きく浸食し、不正に適用する事例なども出てくるでしょう。一律10%にするのに対し、事務処理コストは下手すりゃ数百億円単位で差が出る気がします。

 なのに何故軽減税率を導入するのかと言ったら、恐らくは公明党の差し金でしょう。内容といいやり方といい、これまで公明党の主導でやらかしてきた地域振興券やポイント制度と酷似しており、低所得者層への配慮とは名ばかりで自分の支持層への成果アピールとして無理やりねじ込んだものと思われます。しかし上記の多大な事務処理コストは社会が負担することとなり、回り回って納税者が負担することとなります。そのように考えると余計な手間を作ることは国全体でマイナスであり、ほんの2%の差であれば無視して一律10%にすることのほうが長い目で見ればお得です。

 何もこの軽減税率に限らずとも、今審議されている入管法なども合わせて、一体誰がこんな杜撰な法案を出してきたのか、そこら辺があまり報じられないのが最近不思議です。やはり法案を推すというにはそれなりの責任が伴うわけで、前提となるデータ自体が間違っているのに法案を起草した官僚政治家の責任者はきちんと名乗り出て、自分が無能であることを世に晒すべきでしょう。こういう過程がないから政治家の選別淘汰が起こらないわけで、その辺の背景を報じない政治記者についてもいろいろと不満を覚えます。

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