昨日取り上げた「ハコヅメ」は、「実写化が向いていそうな作品」というレビューで知りましたが、今日取り上げる「正直不動産」はもっと複雑な経緯から知りました。
サンデーで以前、「LOST+BRAIN」という誰がどう見ても「デスノート」のモロパクリ作品が連載されたことが有り、実際に読んでみると死神のリュークに当たるものが出てこないだけでそれ以外の構成はほぼほぼデスノートというひどい作品でした。そのためか連載当時からも評価は悪く、さっきAmazonでみたら古い作品でもないのに未だに電子書籍化されていない、っていうかハードコピー版も正規販売されておらず、闇が深いです。
ただ、この作品でひどいのはストーリー構成で、作画に関してはそこそこ良くまとまっていた印象がありました。この漫画は原作と作画の人が別々で、それだけにとんでもない作品の作画任された大谷アキラ氏は災難だったなと半ば同情していたのですが、その後の大谷氏の活動については比較的評判がよく、今連載されている「正直不動産」も評価が高いと聞くに及びました。
もともと日本の不動産業界の慣習について興味があり、「不動産屋にだまされるな」という本も読んでいたことからこの作品にも興味があると、中二病時代に風水師目指していた友人に話したところ、友人もすでに「正直不動産」を読んでいて面白いと太鼓判を押したことから先日、大人買いして一気に読んでみました。
それにしても友人は風水師目指しただけあって、不動産にもやはり興味が強いようです。
この作品の概要を簡単に説明すると、口八丁で不動産会社のトップ営業マンとして活躍していた主人公はある日、取引用地に置かれてあった石碑を蹴り壊したところ、その石碑の祟りを受けて一切の嘘がつけない、っていうか本音が口を出てしまう呪いを受けることとなってしまいました。そのため、嘘ついてなんぼの不動産営業において致命的なハンデを背負うこととなり、トップだった営業成績も途端に急降下していきます。
うだつの上がらない成績に退職すら考えていたところ、主人公にとって明かすことで不利となるような不動産取引におけるデメリットもスラスラ話す主人公に対し、好感を持つ顧客も現れはじめ、主人公自身もこれまでの虚飾にまみれた営業とは違う、顧客に感謝されるような正直な営業でやっていこうと決意する、というのが大まかなあらすじです。
分かる人に早いですが、不動産屋が顧客に対して口にする内容は嘘ばかりで、顧客をいかにダシにして不動産屋が儲けるかというセールストーク、言い方を変えると口からのでまかせで契約にこじつけられることが多いです。先程挙げた「不動産屋にだまされるな」は不動産業界専門の会計士が書いた本で、まさにこの分野の不動産屋の手口について警鐘を促す内容となっています。
「正直不動産」の場合、主人公が嘘をつけないという特徴、つまり本音を言ったらまずい部分が強調されて描かれています。これは読んでいて非常にうまいと思ったのですが、不動産屋がどのような言い回しで顧客を騙すかというセールストークと、「本当のところはこうなっている」というからくりとでしっかりと対比されるように描かれ、読んでる側としても非常にわかりやすいです。ただ私の場合は「不動産屋にだまされるな」で予習していたこともあり、「レインズ」などの単語も注を読まずに読み進められるという背景がありますが。
やはりほうぼうから話を聞くと、真面目な不動産業者は確かに存在するものの、圧倒的多数の不誠実な不動産屋に覆い尽くされているのが現状のようです。それだけに利用者の側もしっかりと知識を身に着けて対抗していく必要があるということが作中でも何度も強調されており、業界全体の異常さを知るにつけ、実に適切な指摘だと思えます。
それだけにこの作品も「ハコヅメ」同様に是非読んでもらいたい作品で、これを気に不動産業界のモラルが良くなることを切に願っています。
なお五巻にて描かれている、封印されし過去が暴露されたときのヒロインの表情は見物です。
さて、また不動産業界の暗部が明らかになりました。 本来自宅用ローンにしか使えない
返信削除フラット35が、投資用不動産の購入に使われるという事件が発覚しました。 この手の
話は昔から噂レベルでは聞いていましたが、5月4日の朝日新聞の記事で大々的に報道
されました。 確かに一般人でも自宅用ローンで家を買い、それを賃貸にだして家賃収入
を得ている悪質な人間はいます。 投資用不動産の融資金利と(本来であれば借りる事が
出来ない)自宅用ローンの融資金利の差額で儲けています。 しかし、朝日新聞の報道に
よれば、不動産会社が年収の低い若者や借金を抱えた者に対してネットや投資セミナーで
不正融資を勧誘したようです。 不正融資を受けた若者達も、不正をしているという認識
のないまま、不動産会社の言われるがままに手続きをしたのでしょう。 結構名のとおった
会社もこの不正融資に関わっている噂もあり、この話がどこまで大きくなるのか注目です。
ちなみに私は昔あまり風水は信じていませんでした。 しかし、裁判所の競売物件を多数
見るうちに、その考えを改めました。 競売にかかる家は大抵物があふれています。
台所や食事用テーブルは調味料や洗剤で埋め尽くされていますし、部屋には、衣類等が
積み重なっています。 テレビドラマに出てくるような片付いた家はまずなく、
ドン・キ〇ーテの陳列棚のように物が多い家が競売にかかりやすいのです。
家が片付いていると金運が上がるという風水の教えを逆の意味で証明している競売物件
をみて、風水を信じるようになりました。
実はそのフラット35申請詐欺もこのレビュー記事と絡めようかと考えながら見送っていたのですが、非常に的確かつわかりやすく補足いただき、ありがとうございました。おっしゃられている通り、申請詐欺の利用者の大半は不動産会社や銀行に「財テク」と言われ、詐欺を行っているという認識がないまま関わったのではないかと思われ、真相の解明が待たれます。なにげにこの件でも、朝日の報道は大したものだと目を細めています。
返信削除風水に関するその指摘は面白いですね。確かに、汚い部屋に住み続ける金持ちは想像できず、片付いているから金運がつくのか、金運が付く人が片付いているのかは議論の余地あれど、片づけと金運は確かに相関しあっていると思います。