・やる気のある無能
上の記事は昔に書いたものですがサラリーマンにこの内容を解説すると毎回受けがいいです。うちの名古屋に左遷された親父も左遷先の名古屋でこの記事を同僚に紹介したそうですが、「こういう奴、いますよね」という意見でみんな一致したそうです。
この「やる気のある無能」に当てはまる人材も会社組織にとって十分有害ですが、仮に有害さで比較を取るとしたら、もっと有害なタイプの人材がいます。さくっと言ってしまうとそれは「派閥を作る人材」で、時と状況によっては全力で排除すべき人材ではないかと私は考えています。
派閥を作る人材とはどんな人かというと文字通り、自分を頂点とした取り巻きを率先して作ろうとする人間です。とはいっても、人間は社会的な生物であることから集団が一定数に達した時点で自然と集団内部のサブ集団こと派閥というものが自然と出来上がってきます。問題はその発生要因が、集団内の方針や部署の違いなどであれば弊害がまったくないわけではないもののまだ許容できるものの、派閥主の単純な自らの権益、発言力の拡大のみを目的としてできたものだとやや危険です。
具体的にこの手の派閥を作る人材がどのように派閥を作るかというと、中には自分より格上の人間との距離を詰めて、その人物を旗頭とすることもありますが、大抵は自分より格下、具体的には後輩に当たる人物を世話するなどして取り込み、舎弟関係を作って派閥を作ります。こうやって舎弟数を増やして一定規模に達すると、ほぼ間違いなくこの手の派閥を作る人材は自らの影響力を社内(組織内)における駆け引きに使い始めます。具体的にはサボタージュや、地位待遇の保障、です。
実際にこういった例と言えるか微妙ですが、あるプロ野球チームの有名元選手がまさにこのような人間だったらしく、スタメン入りメンバーである舎弟を従えて、自分もスタメンに入れなければ舎弟ともども試合にでないなどボイコットすると監督を脅していたそうです。実際そう見える節があり、堀内氏も苦労してたんだろうなと思えてなりません。
話は戻りますが単純に派閥が出来上がる、それも自分の権益拡大のみを目的とした集団だとすれば組織にとっては非常に不都合なことこの上ありません。またこのような派閥を作る人材は概して権力欲が強く、自らの実力以上にこうした自派閥を背景とした影響力によって権力奪取を図ろうとする傾向があるだけに、やる気のある無能以上に組織にとっては非常に危険な人材だと思えてなりません。
その一方、こうした派閥を作る人材は後輩を取り込むという目的もありますが、基本的には世話焼きで、下の人間に慕われやすいという特徴を備えていることも多いです。なので一見すると面倒見がよくしっかりした先輩型人材に見えて、上の人間は評価してしまい、そして最後裏切られるという結末も実際あったりします。
何が難しいかというと、こうした派閥を作る人材と、実際にただ面倒見がいいだけの人材を区別することです。後者は紛れもなく組織にとっては好都合な人材で大事にする価値もあるのですが、前者は一定規模の自派閥を持ったところで反乱を起こす可能性があるだけに、あまりにも地位を引き上げてしまうと後々問題となる危険性があるのですが、両者を見分けられるかとそこら辺の人に聞いてもすぐ回答できる人は多分少ないでしょう。
私が考える見分け方としては、自派閥ではない人間に対する態度である程度見えてくると思います。やはり派閥を作る人材ほどウチ・ソトの概念が強く、ソトこと他派閥の人間に対しては理由もなく攻撃的な態度を取ることが非常に多いです。一方、権力欲が低く派閥を自ら作らず(派閥に属すことは充分ある)、ただ面倒見のいい人材はというと、ソトの人間に対する当たりがまだ柔らかく、中立的な距離を保つ人が多いと思えます。この当たりの態度の違いで、「面倒見のいい」という特徴を持つ人材の危険性がある程度測れるでしょう。
最後に、恐らく日系企業は理由もなく嫌って絶対に会社組織に入れまいとするでしょうが、派閥に属さず、誰にも阿らずに距離を保つ独立心の強い人材は、数人程度いると組織は締まると思います。まぁこんな発想は日系企業はしないでしょうが。
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