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2020年2月9日日曜日

ノベルゲーレビュー その三(プレステ時代作品)

 三回目のこの連載。ぶっちゃけため記事として書いているため、掲載時期はいつかまだ決めてないけど書いているのは今2/3です。この日のブログ記事書いて、JBpress向け記事を清書して送って、ようやくこの記事を書き始めたところです。
 今回はプレステ、サターン時代のノベルゲー作品を書いてきます。

1、赤川次郎 夜想曲 評価:C
 スーパーファミコンで「魔女たちの眠り」をリリースしたスタッフらによる赤川次郎原作シリーズの第二段。テイスト的には前作と似たような作風ですが、原作が魔女たちと比べるとそこまでショッキングじゃないので、死人はもちろんたくさん出るけどのんびり楽しめる感じの作品です。
 ただドキッとする演出が比較的序盤の、主人公の知人の顔面ドアップくらいしかないのと、この時代の作品としてはスキップ機能やクイックセーブ機能がないやや時代遅れなUIでこの点は問題としてみるほかないです。「夜想曲2」も出ていますが生憎私はそちらを遊んでいません。

2、厄 友情談疑 評価:E
 超クソ。どれくらいクソなのかはこちらの記事にまとめてあります。
 視点を切り替えるザッピング機能がついてるものの、切り替えたところで話が分岐したりすることはなく、むしろ切り替えると前後脈絡なく場面が切り替わって読みづらくなるだけです。またそのシナリオも電波臭くて全く評価できないし、グラフィックも不気味ではある者の稚拙で、ノベルゲー史上でも屈指のクソゲーです。なのに何故か続編が出ており、クソゲーハンター以外には意味のないゲームでしょう。中古とはいえマジ買って損した。

3、ダブルキャスト 評価:B
 ソニーが出してた「やるドラシリーズ」の第一弾で、記憶喪失の少女と映画撮影のドタバタ系ラブサイコサスペンス作品です。シナリオ自体は比較的ありがちというか王道であるものの、全編にわたりアニメーションと音声が付いており、尚且つ演出もそこそこ優れていて遊んでて楽しかったです。何気にBGMも今調べたら、今じゃアニメBGM業界の超大物である梶浦由紀氏だったし。
 特にキャラデザは当時恐らく最も人気の高かったであろう後藤圭二氏が担当しており、声優らのキャスティングもイメージ通りで、全方面で完成度の高い手堅い名作というのが私の評価です。やるドラシリーズは他にもいくつか作品が出ていますが、生憎私が遊んだのはこのダブルキャストだけでした。「サンパギータ」くらいはやっとけばよかった気がするけど。

 全体的にはラブコメっぽい雰囲気で進むものの、選択肢次第では結構ハードな描写が描かれ、非常にかわいらしいキャラデザと相まってなかなかショッキングな場面は心動かされます。こういっちゃなんだけど、北斗の拳のモヒカンが血反吐を吐くより、美少女とかが血反吐を吐く方が単純に演出としては印象に残りやすいです。そういう意味で美少女とグロ描写というのは実はかなり相性がいいものだと私は考えています。

4、EVE burst error 評価:D
 90年代中盤において伝説的な評価を受けたアドベンチャーゲームであり、今も最新機種に移植版が発売されているこの作品ですが、上記の通り生憎私の中の評価はそれほど高くはありません。この点に関してはファンの方には申し訳ないと思いますが、批判を覚悟で批評を続けます。

 この作品の最大の特徴は政府系諜報員の女主人公と、一介の私立探偵の男主人公がそれぞれ別々に、異なる事件を追っていく中、事件の背景や登場人物が複雑に絡み合って徐々に交差していくというシナリオにあるでしょう。またその交差するシナリオを見せる手段として、二人の主人公を任意の場面でザッピングしながら進める、つまり二人分の主人公の話を同時に進めるというシステムとなっています。
 リリースされた当時、このザッピングシステムが非常に受けたことと、あと他のアドベンチャー作品にないシナリオの斬新さが評価されて名作の名をほしいままとしましたが、時代が下ってからプレイしてみた私からすると、そこまで評価されるほどの作品なのかという疑問を覚えました。

 理由はいくつかあり、一つは90年代と違って2000年代以降は複数のキャラクターをザッピングして進めるアドベンチャーゲームは他にもたくさん出てきて珍しくなくなっていた点があります。次に、シナリオの内容も当時としては斬新であったろうものの、時代が少し下った後であれば、そこまで斬新性を感じられるものではなくなっているように私には思えました。またゲームシステムも昔ながらのコマンド総当たり方式で、やはり冗長さを覚える仕様であることから、現代における評価としてはDになるというのが結論です。

5、この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO 評価:C
 こちらの作品もリリース当初は伝説的評価を受けた、「EVE burst error」と同じく故管野ひろゆきの代表作です。評価された点は非常に複雑なシナリオと、主人公が行うタイムリープをゲームシステムに組み込んだ点で、多分当時批判でもしたら袋叩きにあったくらいの高い評価を受けていました。版権関係が複雑であったことからその後なかなか日の目を浴びなかったものの、少し前に最新ハードでリメイクが出されています。

 さてこの作品もやや批判寄りのCという評価を付けましたが、理由としては「EVE burst error」同様に、「当時だから評価されたのでは」と思う節があるからです。自分がこのゲームを遊んだのは2000年以降ですが、ゲームシステムとUIの古さは仕方がないにしろ、シナリオ面に関してはそこまで崇拝されるほどのものかと正直疑問に感じました。
 具体的に述べると、この作品では近親相姦やカニバリズムといったタブー的なテーマが数多く出てきますが、90年代であればそれらタブーを組み込むことは勇気がいるし画期的だったと思うものの、現代においてこれらテーマのタブー要素はやや薄れ、他にもシナリオに組み込んだ作品は既に数多く出るようになっています。実際私も他の作品でこれらタブー要素を見聞きしていたこともあり、「YU-NO」をやった際もそこまで意外性は感じませんでした。

 また先ほどの「EVE burst error」同様に、謎解き要素が設けられていることもありますが、単純にゲームとしてのテンポが非常に悪かったです。当時だからということもできますが、「かまいたちの夜」なんかはそういうテンポの悪さは感じなかっただけに、ゲームシステムを優先するあまりシナリオのテンポを崩してしまっている面が菅野ひろゆき作品には顕著であると感じます。やったことはないけど、「エクソダスギルティ」もそんな感じだと聞くし。
 そういう意味で「EVE burst error」及び「YU-NO」はどちらも、時代に愛された作品であり普遍的な名作足り得ないというのが私の見方です。

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