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2020年5月20日水曜日

黒川高検検事長の賭け麻雀報道について

黒川弘務東京高検検事長 ステイホーム週間中に記者宅で“3密”「接待賭けマージャン」(文春オンライン)

 かくも見事な報道としか言いようがないでしょう。

 詳細はリンク先記事を見てもらえばわかりますが、東京高検の黒川検事長が賭け麻雀をやっていたと報じられています。個人的に麻雀じゃなくドンジャラだったらどうなるんだろうとかよく思いますがそれは置いときますが、ただでさえ定年延長とか検察庁改革でごたごたしている最中の報道だっただけに、報道が正しければ「すべてを無にする一撃」となるでしょう。もっとも、検察を含む関係各所は取材に対して言葉を濁しているので、この状況から報道がデマだったとひっくり返るケースは過去ほとんどないですが。

 この報道を最初見た時、前述の検察庁改革法案で国会の審議が揉めている最中にどうして出なかったのだろうかと、タイミングの点が気になりました。最初でこそ審議で揉めている最中に出せばよかったのにと思いましたが、法案は結局今国会ではお流れになったのがつい先日だったので、文春側としてはもっと法案議論が最終段階になるか、可決となったハイボルテージな段階で出すつもりだったのかもしれません。そう考えると、お流れになったばかりのこのタイミングで出すのも悪手ではないと思え、自分の懸念は間違っていたなとか思いました。

 さてこの報道で何が一番面白いかって、この賭け麻雀に産経と朝日の人間も同席していたってことです。取材に対して産経は自分も取材する立場なのに文春の報道に無回答で、朝日は自粛期間中に外出したことは問題だったと話題をすり替えるなど、いつも通りのダブスタぶりです。結局誰が麻雀で一番勝ったのかくらい応えるべきじゃないかと思いますが。

 何気に、個人的に今回の報道で私が一番腹立たしく感じたのは黒川検事長じゃなく、産経と朝日の人間です。その関係から恐らく記者だと思いますが、検事長が賭け麻雀という超特大の特ダネを抱えておきながら何故それを報じなかったのか、この点が私にとって一番許せない事実です。めちゃくちゃな言いようかもしれませんが、自分が同席していたからとかそういうのは言い訳にはならず、最高の特ダネを持ちながらそれを料理せず腐らせるなんて記者として最低この上なく、自爆覚悟で報じることすらできなかったというのならはっきり言って完全なる記者失格でしょう。
 特に朝日に至っては検察庁改革法案に批判的に立場であっただけに、この報道を行うことによって一発で廃案へと追い込めたというのに何故それをやらなかったのか。本人以外は知らなかったのかもしれませんが、少なくともこの検察庁関連において朝日はしばらく報じるような立場にはないし、いわんや産経もといったところです。

 それこそ「検事長が賭け麻雀?」みたいな見出しでばっと報じて、黒川検事長が報道を否定しながら「誰か見たという人でもいるのですか?」と行った瞬間に「ここにおるぞ!<ジャーンジャーン」と出てきたら最高に格好いいのに。真面目に同席していた記者らは報じなくても記者生命どうせ終わるんだし、最後にどうして一花を咲かせようとしなかったのか不思議でしょうがありません。

 真面目に書くと、自分は記者時代に上司から、「パンフレットに現金挟み込まれることもあるから気を付けろよ。取材相手からは絶対に何も受け取るな」と厳しく言い含められました。それだけ記者は取材相手との距離を保つことに細心の注意を払わなければなりません。ましてや公権力関係者ともなればなおさらですが、その記者としての大前提を守れなかった時点でどの道この仕事は向いていなかったと言わざるを得ません。

  追記
黒川検事長、緊急事態宣言中にマージャン 週刊誌報道(朝日新聞)
黒川検事長 賭けマージャン報道(産経新聞)

 ちょっと調べてみたら一応両紙ともに文春の報道に対する二次報道は既に行っていました。見比べてみたところ、朝日新聞側は末尾にて「おわび」とはっきり書いた上で「黒川氏とのマージャンに参加していたことがわかりました」と書いて事実関係を認めています。金銭授受については調査中でほんまやったらマジ半端ないみたいな感じで「適切に対処します」と書かれてあり、甘いかもしれませんが会社としてはきちんと反省の態度を示しているという印象を覚えます。同席した社員についても、50代の元記者であるという情報も公開してるし。

 それに対し産経はというと、「取材源秘匿の原則を守りつつ、これまでも社内規定にのっとって適切に対処しており、今後もこの方針を徹底してまいります。」と言って、同席の事実関係はおろか何も認めていないし、お詫びの言葉一つ書かれてありません。
 悪質性で言えばハイヤーまで用意した産経の側の方が顕著であるのに、なんでお前そんな偉そうなんだよと言いたくなるような態度です。少なくとも初動の広報対応で見れば、産経は下の下に対し朝日は中の上といったところでしょう。「犯人は社内にいた!」的に完璧に調査して報じていれば、朝日は上でしたが。

 ただそれにしても朝日新聞側の記事では、「産経新聞社広報部は『取材に関することには従来お答えしておりません』とコメント。」とわざわざ産経側の文言を引用しており、見ていて非常によくわかってんなぁと思えて(・∀・)ニヤニヤします。わざわざ産経の側のコメント探さなくてもよくなってて、見る側としては大助かりです(´∀`*)ウフフ


産経サイトの記事検索画面、慌ててんのか同じ記事が三つも表示される

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