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2020年9月14日月曜日

雇用統計記事の裏側

実は関西人の「来ない」の言い方で、関西のどこに住んでいるかがだいたい予想できる。(アルファルファモザイク)

 本題と関係ないけど上の分析にめっちゃ感動した。実際、記事を見るまでもなく、「京都はきーひん」とすぐ想像ついた。


 というわけでまた自分の記事の紹介ですが、この内容は以前にこのブログで軽く問題提起した内容を磨きなおしたものです。あのあとやはり気になるので他の関連報道や分析を調べた上でデータも見比べたりしましたが、コロナ流行以降に正規雇用が増加しているという点について言及したのは労働政策研究・研修機構の高橋康二氏のみで他のメディアやシンクタンクはすべて言及を避けていました。断言しますが彼らはこの現象を認識しながら完全に黙秘スルーしており、その証拠に5月データがで前年比マイナス1万人となった時だけは「正規雇用も落ち込みが……」みたいな感じで急に口開いています。何故彼らが黙ったのかというと、やはり数字の背景が読めなかったためでしょう。

 それで唯一この現象に早くから着目、言及していた高橋氏ですが、言及したのが前年比マイナス1万人という結果の5月度データが出た6月時点だったことから、これから正規雇用も非正規雇用同様にマイナストレンドに入るのではという風に分析しています。恐らく私も高橋氏の立場だったら同じような結論に至っていたと思いますが、その後6月、7月に正規雇用は二桁万人増という大幅プラストレンドを再び見せるようになり、この一点をとっても特異なデータ傾向を示しており、これを報じないとは何事だとドラクエの王様的に言いたくなります。

 ただこのデータ傾向と背景を読むのは、少し時間はかかる気がします。ヤフコメなどを見ると雇用助成金目当てで名ばかり社員の登録が増えているせいではないかと言及している人が何人か見られましたが、私も当初これが原因ではないかと睨んでいました。しかし結論から言うと、この雇用助成金目当てが原因というのはほぼりえないくらいに可能性は低いです。
 というのも休業中の従業員に対する雇用助成金は本来正規従業員にしか支給されないものの、コロナ対策の政策によって現在、非正規従業員にも支給されるようになっているからです。仮に名ばかり従業員を大量生産して雇用助成金をかすめ取ろうというのであれば、正規雇用者数を水増しする必要はなく、非正規雇用を水増しするだけで事足ります。またその後の隠蔽工作、または解雇手続きにおいても非正規の方が圧倒的に利便性が高く、正規雇用を水増しする理由はほとんどありません。

 また記事中でも言及しているように、現在何が一番おかしいかって全体雇用者数、非正規雇用者数の両方が大幅に落ち込んでいる一方で、正規雇用者数が急増しているという点です。先ほどの雇用助成金目当ての水増し、恐らく実際にそういうケースもあるのではないかと思いますが、それ絵も非正規雇用者数は大幅減が続いているわけです。その点を考慮すると、正規雇用者数が大幅に増加しているというのはますます特異に見えてきます。

 そんなわけで二日くらい考えた結果、新卒採用者の入社時期がずれ込んだことが要因として大きいものの、人手不足と在職マインドの上昇が加わってこんな結果になったという風に自分は分析しました。記事中にも書いてあるように、実際これを証明するとなったらもうちょっと追加調査が必要となるわけで、ならそんなあやふやな推測を言うなとか思われるかもしれませんが、正規雇用が前年同月比で52万人も増加しているという現況を全く報じない奴らよりかは自分は真摯に報道へ向き合っていると自負します。推測とはいえ仮説もきちんと入れてるわけだし。

 ヤフコメの反応を見ているとやはり意外な結果だとみている人は多いようで、調査自体が間違っているなどデータの信憑性に疑義を呈す人も見られます。実際私も日本の統計はあまり信用しておらず、最初見た時私もデータ調査で何かしら手心が加えられたかとか疑いました。もっとも全体雇用者数が激減しているデータも出ているわけだから、政権が実績アピールのために手心を加えた可能性は低いとも見ています。
 とはいえ信じがたいデータというのは違いありません。ただ私に言わせると、たとえデータが弄られた統計であっても、今回の私の様に月次でグラフにしてみて現れた特異な傾向というのは、必ず特異な理由があってそうしたそうした傾向が現れるものです。捏造されたデータであってもそうした傾向が出るからには必ず背景があり、それを読むことは捏造されたデータであっても現状分析には役立つと、中国のいろんな統計を見ていていつも感じています。

 そういう意味で実際私もデータに疑わしさを感じつつ、報じて分析することに意味があると考えたからこうして記事化しました。個人的には上記に上げたように、雇用助成金詐欺を疑ったり、データの信憑性に疑義を感じたりなどこの雇用統計について考えるきっかけを与えたことは価値があったと自分で思っています。その上で、他の日系メディアはどうしてこれほどまで特異なデータを「わからないから」で無視するのか、その姿勢にははっきり言って反吐が出ます。
 また自分が調べた限りでは、直近1年間の各雇用者数をグラフ化して報じているメディアは一つもありませんでした。はっきり言ってグラフのない雇用統計記事なんて8割方価値を失っていると思え、何故どこもグラフを作って載せないのか、NTTドコモの対応並に理解できません。ついでに書くと前月比データについてもドコモじゃなくてどこも報じておらず、不動産価格と雇用は水物だから、私個人は前年同月比よりも前月比比較の方がずっと重要だと思うのに無視されまくっています。

 総括的に書くと、さも事態は大変であるかのようにコロナ解雇を報じるのは結構ですが、その一方でデータを切り取らずに、こうした特異な状況についてちゃんと報じろよとメディアに対する苦言的にこの記事は書かれています。真面目な話、これだけ特異な特徴を見ていながらスルーしたとしたら、その一点で以って記者失格だし、仕事を早く変えた方がいいでしょう。
 あとどうでもいいけど「総括」って言葉はすごく好きです。あと数字の語呂合わせは「2943(憎しみ)」が一番好きで、適当な数字を割り振るよう指示されたレポートですべて「2943」で統一して出したことがあります。

2 件のコメント:

  1. リモートワークへの移行などの理由もあるかもしれないですね。
    リモートとなると端末の貸与などより高いセキュリティ意識が必要になるので、非正規雇用ではリスクが高い側面がありますし。
    非正規でもリモートやってる企業は多くありますが、緊急事態だったため派遣会社などとちゃんとルールを作る時間がなく、何かあったときの全責任を派遣会社が負うことになっていたりして、それではかなわんと撤退する派遣会社もあるらしいので、事実上正規雇用の再評価が進んでいる可能性は考えられます。
    人権費減の名のもとに平成では非正規化か大きく進みましたが、令和ではその動きがまた変わってくるかも?

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    1.  リモートワークの視点は全く抜けていました。おっしゃる通りに、リモートワークをきっかけに正社員へ昇格させたという可能性も十分あると思います。
       実はもう一つ、派遣社員の正規切替えもあったのではないかなと思っていろいろ探ってみたのですが、この仮説を裏付けるデータはなく、また正規と非正規の増減から判断できそうな傾向は見当たりませんでした。この辺はむしろ、非正規から正規への切替え数などもきちんと統計にとってほしいです。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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