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2020年10月21日水曜日

歴史シミュレーションゲームの能力表示の不自然

 いちいち突っ込んだらきりがないですが、信長の野望とかで地味に不自然だと感じる点として、能力値が数値として全部表示される点が気になっています。それこそ戦闘100だとか魅力86など、前キャラクターの能力値が一つのもれなく誰でも簡単に閲覧できる状態とされており、この時代の人達は全員もれなくスカウターを標準装備してるのかというくらいこまごまと能力値が序列化されて表示されています。

 もちろん現実には戦闘力を測るスカウターなぞ存在せず、社内の同僚がどれだけ戦闘力を持っているかを把握することなぞできません。その上で、身内のスタッフがどれほどの能力を持っているのかを手探りで探り、それぞれに適した仕事を割り振ったりするのはマネジメントの醍醐味というか非常に重要な構成部分です。これは何も現代に限らず戦国時代、というより戦国時代の方がこうした能力の見極めが重要だったと思われます。
 具体的には優秀な人材の選抜や、割り当てる軍隊の人数、あとは工事予算の管理や運営など、各人の適性や能力を見極めることは自身の浮沈を大きく左右する要因であったことに間違いありません。しかしそうした能力の見極め作業は、少なくとも私が知る限り、歴史シミュレーションゲームの中で反映された例は一つとしてありません。

 何故ないのかというと、表示済みの能力値をベースにやりくりすることがゲームの大前提(面白味)となっていることと、能力値まで完全にマスクデータ化したらゲームプレイが非常に困難になるという配慮からだと考えられます。ただその辺も最近の技術だったらある程度克服できるように思え、なんとなく気になっていることからもやはり能力値をマスクしたゲームが出てこないかと最近思います。

 一応というか、部分的にマスクデータにしたゲームはこれまでにも出ています。先ほどの信長の野望などは「裏切りやすさ」を左右する義理度というデータがマスクデータになっています。ただこのデータは後々公開もされていることから斉藤道三や藤堂高虎を始め「義理ワン」武将がかなり有名となってて、もはやマスクにする必要あんのかって疑問もありますが。
 また能力値に関しては、現在の能力値はきちんと表示するものの、今後の成長度合いというか成長の早さに関してはマスクデータにしているゲームはいくつか見られます。現在は能力値は低いけど、使っていくうちに呂蒙みたくぐいぐい能力を高めていって頼りがいのあるナイスガイへと変貌していくキャラなどはまさにその恩恵を受け、またプレイしている側も「今はパーだけど将来性を見込んで……」などと考えて使えるので、割かし感情移入も強まります。

 この成長度合いをマスクデータにしている「ギレンの野望」シリーズではこのほか、ガンダム作品の代表的概念である「ニュータイプ」という特殊能力についても完全にマスクデータにしています。このニュータイプはゲーム上で確認できる情報からは全く分からないようになっていますが、見分ける方法はないわけでもなかったりします。具体的には、ニュータイプだと表示されている能力値以上にその実力を発揮するため、戦闘アニメーションを見ると他のキャラの倍くらいビームライフル打ち込んだり、サーベルで切りかかったりするため、こうした実際の現場での戦いぶりからニュータイプであるかどうかがわかるようになってて、この辺は憎い演出だと思います。
 なお昔パワプロのマイライフモードで作ったプロ野球選手の名前は「旧型」と書いて「オールドタイプ」と読ませていました。ゲーム中で生まれた子供は「新型」、「最新型」、「未来型」、「究極型」としていって、後半は段々追い詰められていきました。

 話を戻すと、そこまでリアルに徹する必要があるか議論の余地はあるものの、通常の能力値もマスクにしたシミュレーションゲームもあっていいんじゃないかと思います。では各キャラクターの能力をどうやって判別するかですが、先ほどのギレンの野望みたく実際にコマンドを割り振ってその働きぶりや実績からそれとなく判断させるというのが最もストレートです。
 ただ信長の野望みたいなゲームだったら、同僚同士の評価などを聞くコマンドを設けてみるのもいいような気がします。「あいつについてどう思う?」的なコマンドがあって、それによってキャラクター同士に能力を評価させあって、みんなから評価が高い奴はやっぱり使える的に判断材料としてみたら面白いかもしれません。

 もっともキャラクター全員が正しい評価したら結局意味がなくなるので、キャラによっては自分より能力が高い相手に対して、「あいつなんて大した奴じゃないですよ」みたいなことを言う奴も入れておくとなお楽しくなるでしょう。っていうかこういう奴、現実にもいてリアルだし。
 逆に、どんなキャラに対しても公平に評価するようなキャラクターとかいれば、人材運営面では非常に重宝することになります。こういうシステムがあったら、三国志の闞沢みたく人相見系キャラはもっと輝く気がします。逆に諸葛亮や石田三成とか元々優秀過ぎるキャラには敢えて、どんなキャラにも「あいつは大した人物じゃありません」と言わせたりすればなおいいでしょう。真面目にこういうゲーム、作ってくれるとこないかな。

3 件のコメント:

  1. シミュレーションゲームはCS版三國志Ⅶくらいしかまともにやったことがないのですが、同系のゲームで納得いかない部分としてやはりキャラ性能が見え過ぎることだと昔から考えていました。さらに、このシリーズにおけるキャラのステータス要素についてもいまいちピンときません。個人の戦闘能力がなぜ大軍を率いる戦争の上手さに直結するのかとか(後作では統率力というステータスが付与されたらしいが)、知力が高いとなぜ戦術の成功率が上がるのかとか(知力というなら教授の資格を持ってる宮台真司は知力90台で火計や連環の計が絶対成功することになる、知識量と仕事の出来は別問題では)、
    などなどツッコミどころ満載です。無論、リアル性とゲーム性はトレードオフな関係に陥りがちですから、ある程度リアルさを妥協する必要はありますが、ゲーム機の処理能力が向上した現在の技術ならば複雑な計算処理により、リアルさとゲーム性を両立させる余地はあるのではないかと思います。
    ヒマなので、私が妄想しているゲームを紹介します。三國志Ⅶの身分プレイ、成長要素やトロピコ3という独裁シミュレーションゲームの計画経済/民営化プレイが参考になります。

    タイトル:ゲルマン人のお引っ越し(仮)
    メーカー:エニックス
    ジャンル:君と制覇する仮想戦記シミュレーション

    プレイ人数:1人~2人(PvP要素あり)

    時代背景
    古代から中世、若しくは近世から近代まで ヨーロッパからアジア、アフリカまでをモデルにした仮想の大陸 人種から言語まで異なる国家が出現する。

    キャラクターデザイン
    NPCはランダム生成され、名前やポートレート、キャラ性能がゲーム毎に決定する。また、キャラ評価はキャラクターの視線を通して行われる。例えば、キャラAの性能を見るには、キャラAからAへの自己評価と、キャラBからAへの客観的評価をそれぞれ確認することができる。評価の正確性はキャラ毎に依存する。

    キャラステータス
    ・武力=純粋な戦闘力。戦闘フェイズにおけるキャラの生存率に直結する。内政面においては高いと治安維持効果が上がる。
    ・知識=専門性の高さ。攻略においては、これ単体だとほぼ役に立たない。以下の「能率」と掛かることで政治能力に関わる。
    ・能率=仕事の出来の良さ。武力にかけ合わせると戦闘フェイズでの指揮能力に、知識にかけ合わせると政治能力に反映される。能力単体では、受注されたタスクの単純な成功率に関わる(専門性の低いタスクの処理に有効)。
    ・魅力=人格面での魅力。上記いずれの能力とも結びつかないが、高いとキャラ本人の人物評価が高めに、低いとやはり低めに評価される傾向にある。攻略においては、交渉フェイズでの成功率にやや関わる。
    ・特殊技能=三國志シリーズ恒例の要素。人物評価によりマスクされる可能性がある。過大評価はされない(よほどの詐欺師でなければ)。

    キャラ一例
    日大アメフト将校 井上奨
    武力90 知識25 能率40 魅力50

    大日本帝国軍人 辻正信
    武力73 知識86 能率44 魅力75

    フィンランド軍最高司令官 カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム
    武力83 知識87 能率96 魅力89

    奴隷商 竹中平蔵
    武力39 知識91 能率76 魅力13

    ホラッチョ ショーンK
    武力61 知識77 能率68 魅力85
    備考:特殊技能詐称

    主席 毛沢東
    武力95 知識45 能率90 魅力92
    備考:毛補正で(本人からみた)人物評価があべこべ

    プレイヤーの身分
    プレイヤーはゲーム開始時に自らの身分を設定可能。身分はゲーム中で変動することがある。

    君主(民主制では指導者)=国家元首。国家主権を握る。直接戦闘や諸外国との外交にすべて参加するわけではない。どの部下を信頼するかが鍵となる。
    軍師=外交や立法の権限を持つ。単なるアドバイザーにするか、実際に権限を持たせるかは君主が決める。複数任命可能。
    武将/兵卒=戦闘フェイズの主役。戦場での指揮権に差がある。兵卒は向かってくる敵を倒すことしかできない。武将クラスから部下育成が必要になってくる。平時は暇なので、成長の機会が多い。
    太守/役人=内政フェイズの主役。やはり指揮権に差がある。役人は任された仕事を放棄できない。戦場に駆り出されないので突然死のリスクは低いが、都市の治安が低いと野盗との戦闘イベントが発生する。武将との連携が重要。太守プレイでも部下育成は必要。
    民間人=商売などで乱世を立ち回る。敢えて仕官せず、財や名声を成すことで権力を握ることも不可能ではない。

    国家体制
    国家元首の地位にあるプレイヤーは理想の専制政治を敷くかあるいは民主化を進めることが可能。叛乱により体制が専制から民主へ、民主から専制へ移行することもある。以下ゲームにおけるそれぞれの性能 

    専制政治:外交や経済、福祉など国家主権(=ゲーム要素)のほぼ全てをコントロール出来る。プレイヤーの不手際で政治が破綻するとゲームオーバーに直結する。国が貧乏になると叛乱が起きるのはお約束。

    民主政治:憲法と議会の制定により君主制が廃される。君主にとっての主な利点は、民主制が機能する限り内政をある程度自動操縦できる点にある。都市の経済力や技術力も発展しやすい。任期毎の投票結果次第でプレイヤーの行政権が奪われることがあり、ゲームが楽にはなるが難易度が上がる。また、体制を維持するのに国民の教養・福祉レベルを高い水準に保ち続ける必要がある。それらが低いと扇動政治家に国が乗っ取られる可能性がある。投票をある程度操作することは可能。憲法と投票制度を(武力によって)いつでも廃止できる。

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    1.  メーカーがエニックスなのにキャッチコピーが「君と~」のテイルズ風なのが最初に気になりました。
       真面目な話、こうした国家シミュレーションゲームのデザイン作業は現実にある要素を如何に数値化して処理するかという点では非常に価値のある作業です。もっとも数値化された国家指標としては税金がありますが、これもゲーム中でどのように税金を管理、徴収して、ゲーム内の国家の強さに反映させるかという作業は、現実に応用できる点が少なくない気がします。
       自分も子供の頃は某かそういうシミュレーションゲームを作ってみたいと思ったことがありますが、最近は年取ってきて、ネットで直接購入できる単純なゲームを好むようになりました。複雑という概念に対して忌避感を感じつつあり、その点は自分も老いを覚えます。

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  2. マイナス技能
    マイナス技能は特殊技能「人物眼」を持たない限り本人にもマスクされる。

    マイナス技能の一例
    ・自信過剰/過小
    自己評価に+5~30ポイントのパラメータを上乗せ(引き下げ)して表示する。
    こちらからの評価に影響は与えないため、他人についている分には無害だが、自身についた場合、正しい能力値がわからなくなるため、適性を見誤ったり、武力80で安心したら本当は50しかなくて武力70の敵に殺される危険などが出てくる。実践を通じて本当の実力を計るか、信頼できる他人の評価をあてにするしかない。

    ・嫉妬
    相手の能力値の中で自分より高い部分を-10~40ポイント過小評価する。

    ・権威主義/マルクス主義(イデオロギー)
    人物の出身や階級によって人物評価を誤ってしまう。どちらも総じてあべこべになる傾向にある。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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