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2020年12月26日土曜日

広州の停電に関する真偽確認

 先日に日本で流布された「上海で大規模停電発生」というデマについて言及しましたが、その後も同僚などに確認しましたが、「上海で停電?どこで?」という風に、停電の事実はおろかデマが流れていたこと自体把握していませんでした。友人一人がデマの存在を知っていたのものの、「広州や浙江で電力不足というのは事実だけど、上海で不足しているなんてことは聞いたことがない」という見解でした。
 以上を総括すると、やはり停電は配線や設備の修繕などに係る、一部区画に限定した停電措置が拡大解釈された、それも意図的にというものでしょう。一方で前回では真偽確認出来なかったために敢えて言及しませんでしたが、この上海の停電デマが広がった背景としてそれ以前に、「広州で大停電が起きている」という情報が流れていたことがありました。このん天について今回確認した内容をまとめます。

 結論から言うと上記の広州大停電もデマと言っていいでしょう。今回、ゲーム業界の取材などマジでめちゃ頼りになる広州の友人に、「ヘイミスター、広州の停電について何か知ってるかい?」とストレートに尋ねたら、「停電?何それ(。´・ω・)?」とリアルにで返されました。そこで具体的に荔湾区とかで停電したと一部日本のサイトで報じられているのだけれどと伝えましたが、「あったのかもしれないけど聞いたことがない」という返事でした。
 いろいろ出ている情報を確認したところ、恐らく民間送電において広州の一部地域で停電が起きたことはほぼ間違いないと思います。ただ私が確認した停電時間は夜中の12時半からで、この時間帯からすると設備補修などの計画停電の可能性もあります。

 逆に少なくともいえることは、その停電規模は同じ広州市内の人間ですら目に耳にしない程度のもので、非常に限定的であったことでしょう。中国人は何かあったらすぐチャットで情報を共有する癖があることを考えると、ただでさえ情報の感覚に鋭い私の友人が同じ市内で大規模停電が発生していたというのに気づかないはずはありません。恐らくは上海同様、一部計画停電の通知、若しくは一部地域での停電を拡大解釈して、「広州市内で大停電が起きている」とデマをまき散らした人間がいたのでしょう。

 ただ補足すると、その広州の友人が後から送ってきた情報によると、中国各地で電力が不足し、工場を中心に行政が稼働を止めるよう要求する形での計画停電は現在も絶賛行われているようです。これは上海の友人も同じく言及しており、背景には日本で流れた上記デマ関連の報道で触れられていたように、中国政府がケンカしてオーストラリアから輸入する石炭量を制限したためと言われています。
 実際に石炭輸入制限が起きているかなどはさすがに現場にいないので確認できませんが、石炭関連の電力不足報道は確かに中国語媒体でも見られます。ただこの話、よくよく考えてみると単純に石炭がないからというわけではないという気がします。

 一体どういうことかというと、工場の稼働率が高すぎて電力が足りなくなっている節もあるということです。これこそまさに日本で報じられていない事実ですが、現在中国の製造業は絶好調もいいところで、ほぼ全業種にわたって残業お構いなしのフル稼働が続いています。好調な理由は国内消費がこのところ活発であることもさることながら、コロナによって各国で工場が稼働できなくなり、その分の製品注文が中国に回ってきていることが指摘されています。
 具体的にはインドなどは今、コロナが世界最大規模で大流行しており、生産どころじゃないでしょう。インドが生産しない場合、インドのみならずインドから製品を買っていた他の国にも製品が回らなくなることは自明で、その分の注文が中国に来ている可能性は私も高いとみています。

 実際に友人などに話を聞くと、化学品の原材料の中国国内における取引額などは上昇し続けており、在庫も払底するようになってきているそうです。少し話が脱線しましたが、恐らくオーストラリアからの石炭輸入制限はある程度中国政府も見越して行ったものの、国内製造業の想定を超える活発化により、電力不足が各地で深刻化しているのではというのが私の見方です。

 なお広州の友人が参考にと送ってきてくれた中国語記事は、「今シーズンの電力不足は1年半前に予想されていた」として、電力受給論文の作者を「事前諸葛亮」と呼んでいる記事でした。この「事前諸葛亮」という言葉は普段は逆の「事後諸葛亮」という言葉で使われています。この言葉は日本でも一部で話題になりましたが、日本語に直すと「後出し孔明」、つまり事件が起きてから「やはり、こうなることは見えていました」的に自分はわかっていた、予想していたという人を揶揄する言葉です。

 実際に使うシーンが多く、孔明っぽい口ぶりがまさにぴったりということから中国でも流行り、日本でも一時ネットで話題になりましたが、その後は定着したようには見えません。私自身も足りない部分を埋めるいい言葉であるように思えるだけに、もっと定着してほしいです。

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