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2022年6月14日火曜日

プレサンス前社長の冤罪事件について


 日本で上のニュースに関心を持っている人がどれだけいるのか、そもそもこの裁判がどれほど知られているのか、中国にいる立場からいまいち把握していませんが、密かに自分はこの裁判に深く注目しています。一体この裁判は何なのかというと、明浄学院事件に纏わる大阪地検特捜部の冤罪事件の第2ラウンドといったところでしょう。

明浄学院事件
山岸忍(Wikipedia)

 今回の裁判のきっかけとなった明浄学院事件については上の二つの記事に詳しく書かれていますが、簡単に自分の方からも説明します。

 事のきっかけは2016年、後に明浄学院の理事長となる大橋美枝子がデベロッパー企業、プレサンコーポレーションの社長だった山岸氏から18億円を借り入れたことでした。この借入について山岸氏は、大橋が勤めていた学校法人明浄学院への貸付だと認識していたと述べていますが、後に特捜部から大橋個人への貸付と認識されたことで、冤罪事件に巻き込まれます。

 大橋はこの借りた18億円を明浄学院への寄付に使ったり、当時の理事長に配ったりと、端的に言って理事長の座を得るための運動資金として使い、その甲斐あって理事長に就任します。ただこんな金の使い方するだけあって頭のねじは吹っ飛んでおり、校舎建て替えのため売却した用地代金21億円をそのまんま流用し、関係者に配ったり、上記の山岸氏への借金返済に使ったりとまるまんま着服してのけたそうです。

 その後も大橋は学校法人の金を1億円ちょろまかして仮想通貨につぎ込んだものの、仮想通貨の暴落で穴が出たところで内部告発され、理事長の座を下ろされることとなりました。なお告発した理事はその後、大橋の取り巻きの理事らによって辞めさせられたそうです。
 大橋はこの後、この1憶円の横領だけでなく21億円の着服の件もバレたことで、大阪地検特捜部に背任や業務上横領の罪で立件され、一審で執行猶予なしの懲役5年6ヶ月の判決が下されています。

 ここで話をプレサンス元社長の山岸氏に向けます。
 上記の通り、山岸氏は社長時代に大橋に18億円の貸し付けを行っていますが、この貸付を山岸社学校法人に対するものだと認識しており、大橋に貸したつもりはなかったそうです。しかし結果的にこの金は学校法人には直接渡らず、大橋の私的目的のため使われてしまいました。

 また18億円の貸付後に行われた、明浄学院による校舎建て替え目的で売却した用地は、仲介会社を通じてプレサンスが購入することとなりました。こうした経緯からどうも大阪地検特捜部は、

山岸氏が大橋に個人融資を行って機嫌を取る
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山岸氏のお金で大橋が見事理事長になる
↓↓↓
理事長となった大橋が見返りとして学校用地を山岸氏(プレサンス)に売却
↓↓↓
ついでに用地売却金から最初に個人融資された18億円を返済する計画だった

 といったような構図を立てたのか、山岸氏を逮捕するに至ります。なお学校用地の売却に関しては事件発覚後に契約解除となり、21億円は返金という形で清算されることとなりました。もっとも支払われた21億円の現金は行方不明なため、負債のまんまでしょうが。

 話を戻すと、検察は他にも逮捕したプレサンスの子会社社長や仲介会社らに、「山岸氏は大橋に個人的に(利益誘導を目的に)18億円を貸した」と証言させ、これで山岸氏を有罪に追い込めると思ってたようです。
 ところがどっこい、実際の裁判で山岸氏は無罪を勝ち取りました。

 何故山岸氏が無罪となったのかというと、まず18億円の貸付時の書類にはっきりと、借手が「学校法人明浄学院」であり、大橋個人への貸し付けでないことが明記されているという確固たる証拠がありました。また「大橋個人へ貸し付けた」と証言したその他逮捕者らは捜査中、大阪地検特捜部に「そう言え」と証言を迫られていたこともわかりました。
 特に滑稽なのはある逮捕者の録画録音された取り調べシーンで、その逮捕者が「山岸氏には学校法人への貸付だと説明した」と証言したら検事が、「そうじゃないだろう」的に特捜の見立て通りの証言をするよう強要するシーンがばっちり映ってたという点です。

 こんな風に客観的証拠がある上に他の逮捕者の証言が全く信用できないことから、一審の段階で山岸氏には無罪判決が下りることとなりました。さらにその後、検察も控訴を断念しており、恐らく特捜側も無理やりな逮捕で有罪に追い込もうとしたことを認識していたのでしょう。でなきゃ控訴しない選択肢を連中がとるとは思えません。

 こうした無罪判決を経て、冤罪に対し山岸氏が補償を求めたのが冒頭の記事に報じられた裁判です。山岸氏のWikiページによると弁護士は大阪地検特捜部を「厚生労働省の村木厚子氏の冤罪時から何も変わっていない」と批判したそうですが、実際その通りだと私も思います。この批判に対し検察側は「反省はするけど、ちゃんと改革はしている」と返事したそうですが、何も変わってないからまた冤罪引き起こしたというのに、本当に反省感のない呆れた発言だと感じます。

 最初の18億円の貸付に関して、もしかしたら山岸氏に何かしらの裏心とかそういうものがなかったのかもという可能性は、人の心に関することなので私には断定できません。しかしこの件は上記の通り不法なやり取りではない明確な証拠がはっきりある上、証言者も当初は山岸氏が共犯ではないとする証言を行っていたことからすると、証拠捜査的には絶対にあってはならない逮捕であったということは断言できます。

 この逮捕の結果、山岸氏はプレサンスの社長から降りることとなったそうですが、それ以上にも逮捕による社会的打撃はきっと大きなものがあると推察します。この点に深く同情する一方、前述の弁護士の発言の通り大阪地検特捜部が未だに証拠を無視した見立て捜査で無関係な人間を無理やり有罪に追い込もうとする姿勢を持っているという点は、一個人としては見ていて許せない怒りを覚えます。
 なお村木氏の冤罪事件で証拠を捏造した元検事は、今したり顔でYahooの刑法関連ニュースにオーサーコメントを書いたりしており、個人的に呆れています。こんな厚かましい人間だからこそ平気で証拠を捏造して無実の人を苦しめられるのだなと思うととに、こんな最低な人間にオーサーコメントを許するYahooニュースに対しても管理が緩いのではと密かに見ています。

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