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2023年5月12日金曜日

2027年までに台湾有事が起こる確率

 最近また仕事が忙しくなってきて暴れちゃいそうです。ストレスたまってるのか、まだ作っていないキットあるのにまた別のプラモも買っちゃうし……。っていうか仕事でもずっとキーボード叩いているのに何で家でもまたブログ書くのにまたキーボード叩き続けてるのか意味不明です( ;∀;)
 話は本題ですが米軍は2027年までに大陸の中国が台湾に攻め込む台湾有事が起きると予想していますが、結論から述べると自分は逆に、2027年までは台湾有事が起きる確率はもはやほぼないと楽観視しています。

 まず今回の予想の大前提として、中国が台湾を占領するに当たっては去年の2022年が千載一遇のチャンスの年であったと私は確信しています。このチャンスはそれこそ十年に一度と言っていいほどの奇跡的なもので、準備不足だったとはいえ中国がみすみすこのチャンスを逃したことから、2027年まで台湾有事はもう起きないだろうと自分は予想しています。

 何故2022年が中国にとってのチャンスだったのかというと、言うまでもなくウクライナ戦争の影響です。ロシアに侵攻されたウクライナに対し米国は多大な軍事支援を行った結果、本国においても予備の弾薬が払底する有様でした。そのため仮に去年のうちに中国が台湾に軍事攻撃をかけたとしても、ただでさえウクライナへの支援で手一杯の米国には台湾を支援する余裕はなかったでしょう。下手すれば沖縄にいる在日米軍ですらあまりの備蓄不足により、台湾への攻撃を目の前で眺めるだけとなっていたかもしれません。

 その米軍の弾薬不足状況は今年2023年においても続いてはいるものの、すでに米軍は補充に向け軍需メーカーに発破をかけており、その資金調達のためか日本にもデッドストックとなりつつあったトマホークミサイルを買わせたりしており、少なくとも去年よりは台湾を支援するリソースが整いつつあります。
 またウクライナ情勢についても、ロシアの劣勢がもはや明確となっており、戦闘種類も今後は戦車などが中心となる地上戦に移行していくとみられ、米国の支援の種類や形態もこれまでとは変わってくるでしょう。

 このほかウクライナ戦争の別の影響として、ロシアの威信や影響力の低下もまた、中国が台湾を攻略する上のハードルを上げています。現在戦争中のロシアは中国がある意味支えていますが、台湾有事の際に中国がロシアに期待していたのはまさにこの役割でした。
 しかし今回のウクライナ戦争によりロシアは経済制裁を受けて国際影響力が低下しており、半同盟国だったインドだけでなく、手下のように見ていた東欧諸国にすら距離を置かれる有様です。仮に中国が台湾有事を起こして欧米と関係を悪化した場合、国際社会で中国を支持して支えるだけの影響力はもはやないでしょう。恐らくこれから起こるウクライナの反転攻勢によりますますロシア、そしてプーチンの威信は落ちるとみられ、中国が有事の際に頼れる同盟相手としての役割を果たすことはもはやできないでしょう。ほかに頼れそうなのになるとあとはもう反米同士のイランと北朝鮮だけでしょうが、むしろ足を引っ張る存在になりかねません。

 以上の要素に加え、対中国包囲網が着々と構築されつつあります。先日にインド空軍が日本に来たりもしましたが、それ以上に大きいのは韓国外交の180度転換です。前のムンジェインが極端な左寄りだったのに対し、かわって大統領となった尹大統領は日米との関係を重視してその連携を深めています。

 何気にこれまで台湾有事を分析する上で自分にとっての最大の不確実要素は、韓国がどう出るのかがわからない点でした。ムンジェインの頃であれば確実に台湾が攻められるのを傍観し、在韓米軍に対してもその行動を阻害してくるとみられました。下手したらもっと中国寄りの姿勢を取り、自衛隊や在日米軍に対し露骨な妨害もしてくる可能性も考えられたでしょう。
 しかし新しく大統領となった尹大統領は北朝鮮にも突き放す態度を取り、中国に対しても脅しに屈さぬ態度を見せています。ぶっちゃけ自分からみて韓国としては今の尹大統領の外交方針こそがその利に適うと思え、日米をバックにすることで中国の強請りにもある程度対抗しやすくなると考えています。それ以前に韓国の半導体産業にとっても、TSMC擁する台湾を守る必要性と価値は十分あるでしょう。
 恐らく今の尹大統領がいるうちならば、中国が台湾有事を起こした場合は日米との連携を実現してくれると期待できます。

 その上で想定されるシナリオとしては、中国が台湾のみに攻撃を行う場合、沖縄の在日米軍(場合によっては自衛隊も)が出動して台湾を支援し、この場合は台湾と中国間の海上が主な戦場となるでしょう。
 問題なのは在日米軍が出動する沖縄に対し、中国が攻撃または海上封鎖をしてくるというシナリオです。この場合、確実に自衛隊も台湾防衛戦に参戦することとなり、台湾と沖縄諸島が戦場になってくると思います。

 どちらのシナリオにおいても、韓国がどう動くかは大きなファクターになると思います。一番韓国に期待したいのは中国と韓国に挟まれる黄海における中国軍艦に対する航行妨害で、これがあるかないかで戦況はかなり変わってきます。また中国が沖縄を攻撃して自衛隊が参戦した場合、韓国軍も参戦するか否か、これは文字通りに戦況を左右するだけのファクターでしょう。
 韓国軍が参戦するかという可能性は、その影響力のあまりの大きさから、実際に参戦するかどうかにかかわらず「場合によっては参戦してくる」という可能性そのものだけで、中国に対する大きな抑止力になると断言できます。それだけに今の尹大統領が日米、特に軍事面で強い連帯感を示し、いざとなれば韓国も黙ってないよという姿勢を見せることは、中国に台湾有事を躊躇わせる大きな要因になると思います。

 以上のような分析から、今の尹大統領の任期が切れる2027年まで中国が実際に台湾有事に踏み切る確率は、去年からのロシアの国際的影響力の低下、韓国の外交方針転換を受け、今や大きく低下したと私は考えています。正直、たった1年でこうも状況が変わるのかと思うくらい確率が低下したように見え、それだけに去年、特に韓国大統領選が決まるまでの間のチャンスを中国がみすみす逃したのは、中国に「状況はどんどん悪化している」と意識させ、台湾有事をあきらめさせる上で非常に大きいという気がします。

 無論、ウクライナ戦争の勃発のように予測されなかった事件が起きることで状況がひっくり返り、中国にとってより有利な状況に転んで台湾有事が起きてしまう可能性も十分あり得ます。それだけに今の状況、中国から見て「分が悪い」と感じさせる状況をもっと作り、維持するため努力を払うことは非常に重要です。

 日本においては当事者である台湾との連携を深めるほか、「仮に沖縄の在日米軍基地が攻撃されたら自衛隊はほぼ確実に参戦してくる」という観測を中国に持たせることが何より重要です。台湾のみが攻撃される場合も、公海での中国軍艦の妨害をどこまで行うかはかなり重要になるでしょう。
 また前述の通り、韓国との連携も台湾有事を防ぐ上で非常に重要です。日米韓が台湾防衛に異常にやる気を見せれば中国もまず台湾に手出しできないと予想されるだけに、三ヶ国揃って「俺たちの台湾に何してくれんだ」という姿勢を見せることが、戦争回避のため最も重要だと私は思います。

 なお仮に台湾防衛に韓国が参戦する場合、北朝鮮がどう動くかはやや未知数です。ただこの場合、反対に台湾有事が起きるや韓国軍が北朝鮮に攻撃を仕掛けるというのも、中国にとってはかなり痛いシナリオになってくると私は思います。場合によっては韓国は台湾有事が起きるや北朝鮮攻略を優先して祖国統一に動く方が、中国への妨害という面で価値を持つかもしれません。なおこの構造は冒頭に挙げた「ウクライナ支援に手いっぱいで台湾に手が回せない米国」の立場に今度は中国がなるということを意味しており、中国が逃したチャンスを韓国は逃すべきではないと密かに思います。

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